2011年版ミシュランガイド東京・横浜・鎌倉版がひっそりと発売されました。今さらこの本を購入するのは、星をつけて貰った横浜と鎌倉の店関係者やその親戚だけだと思うのですが、無茶苦茶な評価基準で乱発した星付き店の中でも特に突っ込みたくなったのが、3つ星に昇格したこの「臼杵ふぐ山田屋」であります。
今現在の料理を食べて「山田屋」に最高評価を与える人はミシュラン調査員以外にいないのではないか。
昨年までは支払い額(コースは2万円?)を考えると満足する天然ふぐの店として友里は評価していたのですが、来春出版予定の友里征耶として初のオススメ本で掲載しようと今秋確認のため訪問して、私はその食後感の劣化に愕然となったのです。もちろんオススメ本への掲載は見送りました。
造り置きの先付けは許容範囲でありましたが、肝心のフグが登場してからがいけません。
まずは刺身(薄造り)。見た目と何もつけないで味わった直感では、限りなく畜養か養殖に近い質。昨年までも最高質の天然フグとは言えませんでしたが、ここまで質が凡庸とは思わなかった。
よってポン酢の力を借りて食べたのですが、このポン酢がまたいけません。まるで添加物を入れたような不自然な甘さとしつこさなのです。入り口で発売されていた自家製ポン酢のラベルを見て、鰹出汁と昆布入り醤油を使用していることがわかりました。おそらく使用している醤油に添加物が紛れ込んでいるか、鰹と昆布の割合が強すぎた結果の不味さなのでしょうが、食も進まなければ酒も進みません。接待だったのですが、客人たちは食べ残してしまったのです。
フグの焼き霜もポン酢が濃すぎ、唐揚げは衣の味がきつすぎる。そしてちり鍋に出てくるポン酢もあまりに甘すぎです。
昨年までは、ポン酢を含めてここまで異様な味付けではなかったのではないか。ファストフードを食べ慣れた人や、味のわからない放送作家はじめ業界人にはこの味付けで良いのでしょうが、まともな舌の持ち主に支持されるとは思えません。
雑炊は鍋を厨房に持ち帰ってしまい、調味料の無添加を証明しないスタイルだけは健在な山田屋。このフグと味付け(ポン酢含む)では、3つ星昇格どころか無星になっても文句が言えないと思う食後感でありました。