東京最高の過大評価店か、アニュ

焼き肉や総合格闘技などがテナントとして入る広尾商店街はずれの垢抜けないビル。その一階にブロガーやヨイショ系ライターが絶賛するフレンチ「ア・ニュ ル トゥルヴェ・ヴー」があります。

広尾の場末とはいえワンフロア(60坪前後)のオープンですから私はその自信の大きさに驚きました。坪2万円前後(入っているSR広尾ビルのネット募集より)ですから、賃料だけでも月120万円。
オーナーシェフと自称する下野昌平氏、独立前の代官山の「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」雇われシェフの時訪問して、その料理の不可解さ(はっきり言うと美味しくない)に唖然とした友里。
資金力とネットの高評価が理解できす早速情報集めに徹したのです。

シェフ本人は隠しているようですが、彼の奥さんは誰でも聞いたことがある飲料メーカートップの令嬢だとか。高額ワインも大人買いする資金力の根源は奥さんの実家だと業界内ではもっぱら噂であります。

ではネットの高評価はなぜなのか。それは有名ブロガーの懐柔という新戦略。自己顕示欲旺盛なセミプロとも言えるレストラン訪問ブロガー、下手なライターより有名で影響力もあるようで、彼ら(彼女ら)をタダ飯で釣って高評価を引き出しているだけなのです。

初訪問で頼んだ1万5000円お任せコースは奇を衒っただけのサプライズ料理の連続でありました。意味不明な一口アミューズのあとに出てきたのがベーコン粉末のタケノコ。アスパラのブランマンジェは人工的なトリュフオイルの匂いが強すぎです。
蒸し上げ鮑は塩胡椒のジュレが添えられ、フォアグラは苺のソース。再び出てきたアスパラ、今度は揚げておりました。シェフは「串の坊」でも修業したのでしょうか。

稚鮎のフリットも低温揚げなのか生っぽい外観で不気味であります。そしてオマール(ロースト)の後の〆は予想通り低温調理のような仔羊でありました。
時代遅れになりかけている泡仕立てのソースに振り掛けられた山椒の葉の量が半端ではありません。山椒や泡ではなく、仔羊にはもっと最適な調理があるではないか。
シェフにはパリの3つ星「ランブロワジー」で仔羊を食することを是非オススメしたい。

この手の店の先駆者「カンテサンス」と同じく、引き出しの少ないシェフと判断した次第であります。