なぜかワインが充実している天麩羅店、清壽

飲食店紹介雑誌を読んで楽亭で修業した人の独立店と知りました。でも、20年近く楽亭へ通っている友里、「弟子なんていたかな」と疑問を持ったのです。
この10年ほど、若い衆を1名置くようになりましたが、せいぜい下ごしらえが担当でして、客前で天麩羅を揚げてはいなかった。しかも数年単位で交替していましたから、修業したといえるのか。検証のため早速訪問したのは今春であります。

この店のもう一つのウリキャッチはソムリエールのいる天麩羅屋。本家の楽亭より余裕のL字型カウンターに揚げ手の主人とソムリエールが常駐しているのです。
驚いたのはワインリスト。日本酒の種類は少ないのですが、ワインのラインナップは充実していて下手なフレンチより立派です。ノンヴィンシャンパンが7875円からと良心的値付けでありました。ワインの所有では世界一の天麩羅屋と言っても良いのではないでしょうか。

天麩羅は1万2600円のお任せ1本のみ。鰹のタタキのあとスタートした天麩羅は、海老が2尾しかでませんが、途中に白ウニ(箸休め)と渡り蟹のもずくを挟んで〆の天丼(天茶も可)まで16品。
傑出さを感じない天麩羅でしたが、グラスワインを頼んでの支払いが一人当たり2万円チョイとまずまず満足したのであります。

本家の楽亭のクオリティ低下(主人のお歳によると判断)を確認し、東京で天麩羅屋を探す羽目になった友里。よこ田、深町など有名店を回ってからこの店を再訪したのは初秋でありました。

病み上がりだったので日本酒が飲めずワインを選択しようと今回はマジマジとリストを見て私はあらためて驚いたのです。NVシャンパンは8900円になっていましたがクリュッグのグランキュヴェが2万3000円とお安い。思わず頼んでしまいました。カリスマ造り手のワインも含めて値付けはやっぱり安かった。

この日も最初は鰹の土佐造り。主人は鰹好きのようです。
天麩羅以外の小鉢2つも健在。ホウレン草と松茸のお浸しと前回もでた渡り蟹ともずくです。天麩羅も前回より良い食後感で小鉢もまずまず。高いシャンパンを頼んで支払いは2名で5万円を突破しましたが、CPは悪くはありません。

鰹と渡り蟹が苦手でない方、今東京で天麩羅店を訪問するとしたら、この店をオススメします。