雇われシェフになってコンセプト混乱、アルヴィナール

雑誌では恵比寿にあったイレールの島田シェフが白金高輪にオープンしたフレンチと紹介されていました。黄色いトーンの奇抜な内装ながら、クラブミストラル(昭和30年代生まれのフレンチシェフの親睦会。当時は活きの良い若手料理人が多かった)の三代目会長にもなった島田氏、イレールノのオープン当初は結構話題となっておりました。その勢いで洗足や二子玉川に支店を出すも結果は閉店。恵比寿の本店での評判もまったくも聞かなくなったと思っていたのですが、それもそのはずいつの間にか閉店しておりました。

今回は新しいスポンサーを見つけたようで、以前とはまったく違う店を出してきたのです。食べログの店舗情報にも「オーナーは別会社」とありました。
木、ワイン、肉をテーマに、大箱(個室も2つあり)で木を意識したシックな内装、肉類のグリル料理の多さ、グラスワインの豊富さ(白赤とも5種ほど)を特徴としたコンセプトとしております。
今時フレンチで「グリル」をウリにするのは時代遅れと思ったのですが、HPを見ると前菜やメインにビストロ的な料理がありまて、ビストロ好きな友里としては楽しみな訪問だったのですが、メニュー構成(不自然にグリル料理が多いなど)を見て、期待は一気にしぼんでしまったのです。

アミューズ、前菜、メインと一通り食した感想は、味濃いけど深みが足りないものばかり。オマールのゼリー寄せはウニを載せていましたが凡庸。田舎風パテは肉の香りが強いながら、塩味濃いだけで旨みがない。
期待の牛テールと鎌倉野菜を使ったポトフ、テールのボリュームは半端でないほど大きいけど、煮込みが足りないのか骨から外すのに一苦労です。しかもかみ切れないほど堅すぎ。
その割にはスープがやけに味濃かったのが不思議でありました。テールのポーションの割に、ウリの鎌倉野菜の量と種類も心許ない。テールを減らしても野菜類をもっと増やした方が良いのではないでしょうか。

ビストロ料理にするのか、下ごしらえ不要のグリルをウリにするのか、狙いが中途半端。
きょうび、フレンチでグリルをウリにするのに大きな疑問。オーナーの意向でしょうが、コンセプトを間違えたと判断します。

近隣フレンチの驚異にまったくなっていないというのが業界内での結論です。