ビストロにしては高すぎだ、コジト

西麻布や広尾にある「アルモニ」、「マルシェ オー ヴァン ヤマダ」グループの新しい店。雑誌ではビストロと紹介され、看板の山田シェフはホールで常連などの客対応に徹しています。シェフが厨房にいないのでは、スタッフが一人余計に必要になりますから、CPは悪化するでしょう。
料理は4800円から1万円までの4コース。アラカルト風のメニューの中から好きなものを選ぶもので、料理は前菜6種、魚4種、肉6種ほど。子羊ロースト、ほほ肉赤ワイン煮、トリッパなどがありますが、ビストロ定番の鴨コンフィ、牛ロース、豚足、クスクス、シュークルートやリエットが見当たりません。コースといってもチーズやデザートは含んでおらず、各料理のポーションも小さい。私は前菜2、メイン1つの6500円コースを頼みましたが足りずに1品メインを追加しました。ビストロという割にあまりに量が少なすぎ。「ジャボン パセリの煮凝り」はラヴィゴットソースが薄味すぎる。「アスパラとホタテ」も凡庸で、スペシャリテと薦められた「牛ほほ肉の赤ワイン煮 ブルゴーニュ風」は肉がトロトロでしたがソースはツメが緩いもの。追加で頼んだ「鴨 フォアグラミンチ パイ包み」(3800円)はあのボリーさんのスペシャリテに似ていますが、マディラベースのソースが物足りません。ビストロ料理とはいえ、ボリューム少なく味付けは物足りず、価格も決して安くはない。酒類もグラスワインが高過ぎ。バタールモンラッシェが3千円を超えていましたが、ビストロで特級畑のグラスワインが必要なのか。安いものでも2千円前後ですから呆れてしまいます。ワインリストはブルゴーニュだけのものも別に用意され、1級や特級が1万5千円から4万円。そして圧巻はグループ全体で所蔵しているワインリストです。50年以上前から近年までの有名造り手が並んでいましたが、いずれも価格が表示されていません。市場価格に連動させて相対で値段を変える戦略なのでしょう。料理もそうですが、ワインもまったくビストロとはかけ離れた設定の店といえます。安いグラスとボトルワイン、6500円コースに一品メインを追加してサービス料10%で2万6千円。一人の値段ですからビストロとしてはあまりにCP悪過ぎです。