友里と因縁のあった古川修氏が「京料理と純米無濾過生原酒を合わせる別天地」と絶賛していた名古屋の和食店。主人自身も「京料理」と思っているようですが、ネットに出ている料理写真を見る限り「京料理」とは思えなかった友里が、関西在住の食べ仲間と弾丸ツアーで訪問したのは4月の下旬でありました。
まずは予約電話でビックリ。夜のコースは4800円からあると言うではありませんか。
いくら名古屋とは言え、「京料理」を夜に5000円以下で提供できるものなのか。我々は後で文句を言われないよう、最高値の1万2000円コースを選択しました。
一軒家ですが、カウンターに置いてあるドラえもん人形やテーブルに設置された灰皿を見て、限りなく「居酒屋」に近いと判断。現に地元客はしっかり喫煙しておりました。
奥の個室では幼児の「雄叫び」。別天地の定義がここまで古川氏と異なるとは思いませんでした。
突き出しのサロマ湖のウニ。よもぎ豆腐とうすい豆が添えられていますが、盛り付けと質は正に居酒屋レベル。お椀のタネはアイナメで、揚げて旨みのない質をカバーしています。予想通り出汁はかなり濃い味でした。
造りの主役はキャビアを包んだ脂くさい鯛。鯛の質が良ければこんな細工は必要ありません。最高値のコースを頼む客がいないので、慌ててキャビアで付加価値をつけたのか。
焼き物はホタルイカや貝柱を熱した石で客自身が焼き上げます。石が薄いのですぐ冷めてしまい生焼け状態。
琵琶湖の稚鮎はなんと「ワタ抜き」で提供されます。もっとも鮎らしい部位を外す理由は何なのか。伊勢エビの具足煮も京都の有名店で食べた経験がなく甘すぎる調理で美味しくなかった。キスとコシアブラの揚げ物もベチャベチャ、「国産牛」の牛鍋は、すき焼きとしゃぶしゃぶの中間のような調理でこれも甘すぎ。黒七味を多用して食べきりました。
どこにも京料理の片鱗を見出せなかった「京加茂料理」でしたが、濃い、甘い、といった居酒屋料理には、同じく味が濃すぎる「純米無濾過生原酒」が合うのでしょうか。
こんな強い味の酒を置いている真の京料理店はないはずですので、「別天地」とは名古屋にある単なる田舎料理店と最終判断。
この店が真の京料理と思い込んではその後の外食人生を踏み外すでしょう。
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