ギャグではないが一回行けば充分、さんだ

牛の内臓は、炭火焼きステーキや焼肉などの店で食べた経験がありますが、専門店があるとは知りませんでした。「東京カレンダー」という飲食店宣伝専門雑誌にも掲載されていた、「和牛懐石さんだ」。当初は興味がなかったのですが、焼き鳥「バードランド」の和田氏、すき焼き「今半」の高岡氏、山本益博氏に近い兼業ライターのマッキー牧元氏の4人で訪れベタ褒めしている副業ライター古川修氏のコラムを見て友里は興味を持ちました。ヨイショしか能のない古川氏や牧元氏の評価がアテにならないのは周知の事実ですが、過大評価されているとはいえ焼き鳥店や知名度高い牛肉料理のプロが褒める内臓料理とはどんなものなのか。しかし、季節毎にまったく変化しない料理内容で、一回だけの訪問で充分との結論となりました。
予約の際、電話応対がよくないと感じたのですが、カウンター内の料理人も客を値踏みするような態度で感じは悪い。まずはポン酢のアキレス腱、中華風味の大動脈、ハチノスの胡麻和えの小皿。どこの部位だか聞いたら食べ終わってから教えると言うスタッフの言葉に私は憤慨しました。闇鍋ではないのですから、内臓部位に詳しくない客には、最初に説明するべきではないか。強気の対応で、純粋な客をひれ伏せる戦略なのでしょうが、一家言ある客には反発をくらうだけです。いずれも濃い味付けで、食感を楽しむだけのものでした。軟骨の入った団子のスープには上品な旨みがありません。肺、子宮、雌の生殖器は造り置いているらしくやや乾燥気味。タルタルの山葵はチューブでしたから、J.C.オカザワも認めないか。レバ刺しは2センチ四方角の小さいもので、味わいを楽しめません。はじめから温かったスジ煮込み、ツメの緩いシチューに続き、すい臓やほほ肉の焼き物がでてタンやシビレといった部位のシャブシャブ、そしてその出汁のラーメンで〆となります。
珍しい食感でしたが、季節感をまったく感じないメニュー構成。6500円均一のコース1種は、ヨイショライターの宿命とはいえ、不自然なほどの美辞麗句の飾り言葉で賛美するほどのものではありません。それにしても、あのラーメン。出汁の旨さが特筆ものだとありましたが、いつまでも続く変な後味は「化学的」ではないでしょうか。