あの店は今・・・、Ryo-ri Genten

オープンして2年近く、しかし一向に浮上の気配が見えない「Genten」。山本益博氏がプロデュースした事で当初はかなりマスコミに取り上げられました。日本の「エル ブジ」と持て囃された小皿の創作和食。マスヒロさんは定期的に雑誌で煽り続けていますが、客がまったく押し寄せません。秋田は角館で小さいながら全国区的人気だった「一行樹」を引き払って銀座へ勝負に出た料理人と、マスヒロサンの紹介でスポンサーになったと思われる「genten」ブランドのバッグを作っている会社「クイーポ」は、「こんなはずではなかった」と頭を抱えているでしょう。人気店メーカーを気取ってのいい加減なプロデュースをしたマスヒロさんの罪は大きい。立地の妙で実力以上に評価されてその気になった純粋な料理人が、自分の名前にちなんだ店名を捨て、バッグの販促の為に奇天烈な店名を受け入れて退路を断ってのオープンでもなぜ客が入らないのか。それは、価格の割に美味しくなく量が少ない。これに尽きるのです。ホールスタッフの男性が歳取り過ぎ、外から丸見えで高級感ない、中からも紅虎餃子房の看板やスタバが見えて興ざめだからドレープでもかけろ、といった瑣末な提案はさておき、早急に料理の改善が必要です。久々に確認に訪れてその必要性を強く感じました。
1万3千円のコースはデザートを除くと小ポーションでわずか8皿。本家の「エル ブジ」は1万5千円超ですが、30皿は出ますからCP感は雲泥の差です。赤座海老の湯葉揚げは想定内の調理。醤油のムースやジュレに浸かったざる豆腐はあまりに少量。マツタケのポタージュ、新栗と秋野菜、黒ムツの照り焼きは悪くないですが量が足りない。鴨と短角牛も3切れです。未だ出しているイブリガッコのミルフィーユにスープに浸った秋田こまちのキリタンポで〆ても、まったくお腹が膨れません。エルブジと似ているのは少ないポーションだけ。皿数少なく、醤油のムースや粉末アイスはありますが、意外性ある創作料理も少なくなり面白みがなくなりました。シェフのモチベーションが落ちてしまったのか、可もなく不可もない想定内の料理。これで1万3千円では客が入るはずがありません。同じく集客に苦しむラ・ソース古賀でカレーを食べ直してやっと満腹になりました。