予想外にも食後感は悪くなかった、エキュレ

美食の王様こと来栖けい氏の経営とシェフが予約困難な3つ星店「カンテサンス」のスーシェフだったことがウリの西麻布のフレンチ。ヨイショライターだ、食事会開催でサヤ抜いているはず、と批判してきただけに、私の顔を知っている来栖氏の対応を連れの男性達は楽しみにしおりましたが、来栖氏はじめ男性スタッフの接客は終始一貫それは丁寧でありました。我々が王様厳選のデザート6種に特別なコーヒーもつくフルバージョン1万6000円コースを選択したのは言うまでもありません。

まずは「カリッとした脂」と称するハモン・イベリコの揚げ物。最近よく見るものでイマイチ。「カロチン」と称する人参スープにはミカンとカダイフで揚げたあんぽ柿が入っていてまったく理解不能。ここまでは予想通りのダメ出しでした。

「美白」とはカワハギのカルパッチョに肝とポルチーニのパウダーをかけたもの。これがフレンチかとの疑問もありましたが、塩も効いていてまずまず。続く「ホタテパン」はカリカリにしたパンでホタテを挟んだ一品。塩が利いていて最初の失点をこの2皿で挽回してしまいました。「シュー・クリーム」とは揚げた春キャベツ(シュー)にフォアグラを乗せたものでケイパーが利いていて○。「燻煙」は鰤に薫香をつけたポテトを泡状にしたものをかけてあります。凝りすぎで空回りと判断。肉料理は「来日」と名付けた鴨のローストです。好きではない低温調理でしたがこれまた塩が利いていて悪くはなかった。タルトタタン(と言っても林檎のアイス)に味濃い5種のパンを食べると1皿のポーションは小さいけど大食いの私でもお腹一杯となり、王様厳選のデザートは持ち帰ることになったのです。

顔バレなので塩を効かせた調理は特別待遇だったかもしれませんが、6500円のワインペアリング(白4種赤1種)もすごかった。有名造り手や特級畑のブルゴーニュワインまで出てきて、連れの喜びは半端ではなかった。これらの調理やサービスが恒常的なら友里的にオススメ店としたいところでしたが、2ヶ月前(11月下旬)に訪問した「すずきB」という放送作家の食べた料理と8皿中4皿被っている事を知りシェフの引き出しの少なさを再考して、「一回の訪問で充分」との評価に格下げです。