あの店は今、エノテーカ・ピンキオーリ 銀座

名古屋店とは違って、銀座店は料理がそれほど悪いとは思わないのですが、世間の目はやけに冷たい。2年ぶりの久々の訪問でしたが、この日もホールに客は数組。90年代は一世を風靡したイタリアンのグランメゾンなのに、それは寂しいディナーでありました。

冷たいのは日本の客だけではありません。ミシュランにこれほどコケにされた3つ星シェフがいたでしょうか。完全に埋没した「ミシュランガイド 東京版」ですが、2007年の初年度の熱気は大変なものがありました。春先の出版発表や秋の出版記念に世界の3つ星シェフを招聘。東京に提携店を持つ3つ星シェフは高い星格付けを願い馳せ参じたのは言うまでもありません。提携店であるフィレンツェの「エノテーカ・ピンキオーリ」からも、シェフのアニー氏とオーナーであるピンキオーリ氏の夫妻が駆けつけました。ところが蓋を開けると3つ星どころか現在までまったくの不掲載。食通から相手にされない汐留の「ゴードン・ラムゼイ」でさえ1つ星ですから、この仕打ちはひどすぎます。

思い切った支出の覚悟を持って訪問すればの話ですが、この店の一番のウリはワインサービスです。ボトル売りの値付けは安くはないですが、他店にないCP良いサービスがあるのです。「テースティングコース」と銘打つもので、一人1万円から設定されたワインのプリフィクスコースみたいなもの。白、赤ワインを3?4種選んで飲めるシステムで2名からのオーダーとなりますが、必ず新ボトルを目の前で抜栓し、おかわりも原則自由。普通のグラスワイン対応とは違うのです。2万円以上のコースでは、フランスやイタリアのレアワインをラインアップしているので、特に2名では1?2本分の支払いで4本以上が実質飲み放題と同じになるのです。酒量が多い有名ワイン好きにはたまらないシステムであります。

料理はアラカルトもありますが値付けが高い。コースにある料理と被りますから、1万円から2万円までの3コースの中から選んだほうが良いでしょう。限りなくフレンチに近い料理は以前ほどの主張を感じなくなりましたが、客が数組の閑古鳥店のレベルではない。ワイン好きの方たちの訪問で、ぜひこの店の閑古鳥を撃退していただきたいと考えます。