創業70周年のこの老舗は、三代目若主人の戦略が当たったようでTVをはじめマスコミの露出で有名であります。京都を代表する若手料理人として、日本料理を勉強したいフランスの料理人を教えている番組がありました。しかし、この店を「京料理」の代表と海外に示してしまって良いものか。山本益博氏もべた褒めしている名物料理「フカヒレ鍋」を食しに訪れた友里の結論は、ただの「宴会料理屋」でした。
ビルですが一見料理旅館に見える外観。すべて個室対応で、2名から最大100名まで収容できます。この大宴会対応だけで店のレベルの店かわかると言うもの。大量生産の店にうまいものなし、これ定説。各種弁当、会席料理(自ら『懐石』ではなく宴会料理を意味する『会席』としている)の他、鍋コース、出前寿司、仕出し、出張料理までこなしてしまう懐の深さ。より利益を追求したいのか「披露宴」も手がけています。和食屋がケーキカットに対応するのはまだ許せるとして、「カラオケ無料」のサービスはいかがなものか。カラオケを準備している店が、まともな「京料理」を提供すると考える人は居ないでしょう。個室対応、下足番、凝ったHPと固定費をかけ、サービス料が15%ですから、CP良い料理を出せるはずがないのです。
昼にフカヒレ鍋の入ったコースは1万2千円。2階は宴会なのかドンチャン騒ぎで、個室といってもゆっくり食事を楽しむ雰囲気ではありません。
先付けにはウリの一つである「トロ握り」が2貫。脂だけの味わいない質良くない物。仕入れで不利な京都でなぜ鮪を扱うのか。なまこ、焼き魚、サーモンもそこらの旅館の宴会料理と大差はありませんでした。クラッシュアイスの乗せた鯛、甘エビ、紋甲イカの造り。1万円以上のコースで紋甲に甘エビはCP悪すぎです。スペシャリテのフカヒレ鍋ですが、マスコミに載る写真とはまったく別物。フカヒレがかなり小さく、替わりに胡麻豆腐がでかすぎ。利尻昆布、金華ハム、地鶏でとったと言うスープは不自然に甘すぎです。マスヒロさん、どこが「渾然一体」なのか。〆の鯛飯もまったく凡庸でした。若主人は東京・吉兆で修業したとのことですが、その面影はまったく見られませんでした。「大箱店」に旨いものなし。定説です。