やはり引き出しが少なかった、カンテサンス

お世話になっている夫妻から「カンテサンス」へ行きたいと言われたのが昨年半ば。ワンパターンの長時間ローストに飽きた私は気が進まなかったのですが、ネットでミシュラン2つ星降格を盛んに噂されていたことを思い出し、降格前に行くのも話のタネかと訪問したのが9月の半ばでありました。結果的には3つ星維持でまたまた肩すかしに終わりましたが、今回の訪問はある意味大変有意義なものとなりました。
ミシュラン調査員の好みであるモダンで軽い調理のはずですが、今回は非常に濃い料理の連続。なんと大食いの私がコースに含まれるチーズに手を付けられなかったのです。

バレているのか今回も希望していないのに通された個室、ボッタルガとドライトマトの一口料理でスタートしました。銀杏入りの茸のスープはかなり濃厚。クラシックなソースを使わず(造れない?)塩、オイル、フルーツのピュレだけを多用する岸田シェフとしては意外な味付けに嫌な予感。続く定番の山羊乳のババロア(オイルと塩)でいつもの料理に戻ったと安心したのです。美味しい、美味しくないは別にして、岸田料理はこれじゃなくちゃ。牛肉の生ハムも変な味わいでカンテサンスらしさを醸し出し、鱧、烏賊とフレンチには珍しい食材を使うのもいつもの通り。しかし次の魚料理で私は再び岸田シェフの意気込みに疑問を持ったのです。カンテサンス=長時間ローストがお約束ですが、その日のノドグロは何とポワレ。皮目をかなり焼いていて半生状態に見える火入れではない。そして肉料理はなんと、和牛テールの赤ワイン煮が登場してしまった。ロースト以外の肉調理が出来るとは想定外で、量が多いだけではなく変に味が濃すぎて食べきるのに一苦労でした。クラシックなフレンチが好きな友里、多くの高額店で赤ワイン煮を食べておりますが、これほど食べにくい(美味しくない)料理は記憶にありません。かくして後のチーズが食べられなかったのです。

後で知ったのですが、リピーターには趣向を変えて煮込みなどを供するようですが、修業先の「アストランス」でこのような調理を習ってきたとは思えません。餅は餅屋といいますか、クラシックな料理を出すのなら、同じパリでも「ランブロワジー」へ再度修業に入ってからにした方が良いと私は考えます。