無化調がウリだけでは集客は無理、飛雁閣

「完全無加調」をウリにする銀座の広東料理店。変な拘りからか無意味な制約で客層を自ら狭めているのが理解できません。「昼夜完全予約制」、「15歳未満の入店禁止」に拘る中国料理なんて聞いたことがない。大人数や家族連れにも楽しめる中国料理で、小学生高学年や中学生を閉め出す意味があるのでしょうか。

今年始め、集客に苦労する同店から人を介して相談された友里は、昼2回、夜1回と自腹訪問してオーナーにいくつかの助言をさせていただきました。「完全予約」と「年齢制限」の撤廃のほか、「お客様の声」というアンケート結果を入れたHPの垢抜けなさ、ホール内装(照明含む)やレセプションの問題点、紹興酒の値付けの高さ(最安値の10年ものでも1万円)、料理の体をなしていない「四川風麻婆豆腐」の撤退などであります。

しかし今秋に確認の意味で再訪したところ、四川麻婆は健在でしたし、HPも変わっていない。友里の意見が通ったのは、照明の改善とレセプションの小改造、そして紹興酒の値下げくらいでありました。
その夜も客は我々だけ。本業(中国食品メーカー)があるからいいようなものの、独立採算では即閉店となっても不思議ではない状況でありました。
無償(紹興酒1本と餃子など食品は会社へ送付されてきました)とはいえ、この閑古鳥が鳴いている様は誠に残念であります。

料理は広東料理の一部に関しては悪くありません。拘りの「干し鮑」や「フカヒレ」など高級食材はMSGに慣れた人には物足りないでしょうが、味付けは滋味深くしっかり。ただし料理長の引き出しが少ないのか料理がどれも同じような味付けで直ぐ飽きてしまうのが大きな弱点であります。
また利用方法が限定されるのも集客には不利。客が少ないですから接待には利用しづらい。デートにも無理でしょう。家族連れなどグループ客も15歳未満が入店禁止ですから難しい。一人客もこのジャンルは向いておりません。完全予約というハードルの高さはありますが、ランチメニューはお買い得なものがあるので、ご婦人方の昼の会食には向いているでしょう。自らの意味ない制約で、かなり集客に損をしている「飛雁閣」。オーナーにはシェフ交替を含め大変革をしていただきたいとコンサルした私は願うばかりであります。