今秋の欧州旅行、パリでは3つ星フレンチ「ランブロワジー」が昼しか予約が入りません。仕方なく話のタネにと夕食に選んだのが、和食では初めて1つ星をとったこの「あい田」です。
内装はチープでカウンター8席とテーブル2卓の小さな店。鉄板焼き嫌いの友里、入店直後に主人から「フランスの食材を使った鉄板主体の和食」だと聞いて事前の調査不足を後悔したのです。
ノーマルコースは140ユーロ。魚(その日は鱸)の替わりにブルターニュのオマールにすると160ユーロと聞き、これが最初で最後だとオマールコースに決定しました。
ウニの茶碗蒸しは梅のしょっぱさだけで出汁が全然ダメ。先が思いやられた瞬間です。乳飲み仔牛のタタキはポン酢のジュレがかなりしつこい。スペシャリテというカリフラワーを練り込んだ葛の鉄板焼き。御手洗団子の餡のような物がかかっており味濃いだけの一品です。柿の胡麻和えは擂りゴマが泡仕立てですが、柿は千切りで胡麻泡が酸っぱくこれもダメ。
造りは縁側付きのヒラメ。色が暗く見た目カレイかと思いました。ベチャベチャで縁側生臭すぎです。梅ベースのタレがかかった〆鯖も梅が濃すぎ、鯖が〆過ぎで肝心の鯖の味わからず。添えられたトマトが一番美味しかった。蒸し物としてジロール茸と出てきた青首鴨の団子がこの日一番の皿でした。
ウリのオマール(勿論鉄板焼き)は一人半尾。バターが強く掟破りの「唐墨」の大量振り掛けでこれまた濃い料理。質が悪くないだけにオマールは違った調理法で食べたかった。ここから鉄板料理の連続です。バターに醤油の牡蠣、これまた質が悪くなく調理が悪いだけ。根菜とフォアグラ(既に切り置き)はバルサミコと唐墨のタッグ攻撃に辟易。不味すぎです。トドメはシャトーブリアンのステーキ。これまた切り置いた肉は一見質の悪い鮪と思いました。鉄板上は油だらけでバター味も強く、細かく切った肉はまったく旨みを感じません。〆の栗ご飯や赤出汁も当然美味しくなかった。隣客の鱸の調理を見ていると、低温でかなりの時間鉄板に晒し続け、最後はやはり唐墨の大量投入。こんな唐墨大量使用の鉄板料理が「日本料理」と海外で勘違いされて良いのでしょうか。東京版だけではなく、本場のフランス版もいい加減というか、罪が重いと考えます。