オールマイティな洋食店、資生堂パーラー

洋食屋というと、下町や住宅街にある古い一軒家とボウタイに着古して表面が光ったタキシードを着た年配スタッフを思い浮かべますが、この店はまったく別物です。銀座の一等地のビルにあり、スタッフは男女とも若く制服も光っておりません。
天井も高く、テーブル間隔も充分にとった贅沢な空間の店であります。
場所柄一番の客筋は同伴カップルでしょう。フレンチやイタリアンと違って洋食は誰でも知っている料理で種類も少ない。短時間で食べ終わることが出来るので同伴には最適です。内装も垢抜けていてデートにも可、買い物帰りの家族連れのちょっとした食事にも向いているし、価格設定も高いですから簡単な接待にも向いていると使い勝手が非常によい店です。
この店で一番目立つ料理は、他の洋食店には珍しい「シーザーサラダ」。スタッフが目の前で大きなボウルを使用してマヨネーズから造りあげるパフォーマンスに、私は思わず目を奪われましたが、同行したJ.C.オカザワは、調理している女性スタッフに目が釘付けになっておりました。最近はライター仕事の依頼が少ないと聞いていたけど、異性にも飢えているとは知らなかった。このサラダ、頼むとかなり目立つので他の客の視線を熱く感じ、自己顕示欲強い人には特にお勧めです。
料理はいずれも平均点以上のものばかり。資生堂だけあって安定した洋食料理が楽しめます。
蟹グラタンは純粋なペシャメルソース(ホワイトソース)ではなく、トマト味。掟破りの感がありますが、たまには変化球として面白い。クラブ クロケット(蟹コロッケ)はクリーミーなタイプではないですが、蟹肉もたっぷりで贅沢なコロッケです。ビーフシチューはちょっとツメが緩いと感じましたが、ハヤシライスやハンバーグも他の洋食店と比較すると勝るとも劣らないレベルであると思います。ただ、私の連れの女性を気に入ったオカザワが、彼女の歓心を買おうと頼んだビーフカツレツ、8000円前後とかなり高額なので見栄を張りたい方には注意が必要です。
ワインも値付けが安くはなく、酒飲みだと客単価は数ある洋食店の中で最高になる可能性があります。経費で落とせる同伴はさておき、デートや家族連れの場合は、メニュー選びに気をつけてください。