客入り不振からコンセプト変更か、レヴェランス

山本益博氏が「おとなの週末」で絶賛していた天現寺近くの小さなフレンチ。オーナーソムリエの店で、雇われシェフの才能の原石がきらりと光りフランス料理の理解者は応援しなくてはならないとまで書いていました。
マスヒロウオッチャーである友里、そこまで褒めるなら検証せねばと訪問したのは夏の盛り。客入りはマスヒロさんの時と同じく、我々一組の寂しい夏の夜でありました。
客入り不振の理由は簡単。料理が美味い、不味いという前にまったく選択肢がないのですから話になりません。お任せコースでしかも高い。皿数を減らした1万500円コースもありますが、多皿の1万3650円が主体。満腹感を出すためデザートが2皿ついているけど、
コーヒー(チーズも当然)は別料金。これでは実質1万5000円と同じではないか。しかもその日の肉料理は「仔鳩」でした。食材や調理法が選べないだけではなく、好き嫌いが分かれる偏った食材しかないのでは客の楽しみは半減します。現在は「セミ・プリフィクス」として前菜、魚、肉と2種の食材から選べ、価格も1万3800円(食後のコーヒーが含まれるようになった)の下は8600円となっております。客入り不振で営業方針を変更したようですが、こんな事は最初からわかっているはず。オープンから無駄な9ヶ月だったと考えます。
当時の料理は当たり外れが多かった。古代米のフリットはビールのツマミなら良いが、アミューズとしては疑問。身を開かずに焼いたホッキ貝は火が入りすぎて表面が固い。仔鳩も薫香をつけすぎて食材自体の風味を消していました。反面、鮑のサラダは肝とシェリーのソースが面白く、フォアグラと鰻の炭火焼きはこの日一番の皿でありました。
ネットでは「さすがオーナーソムリエ」と提供されるワインの絶賛書き込みが目立ちますが、リストのワインはこの規模なら決して安くはない値付けでラインナップも少ない。例えばブルゴーニュの赤。コート・ド・ニュイのワインが21種なのにコート・ド・ボーヌはわずか5種。20万円を超えるDRCを置くくらいなら、CPがよいボーヌのワインをもっと増やすべきでしょう。
料理のネーミングや調理法に凝る前に、才能があるならズバッと直球調理で勝負して貰いたいと私は考えます。