オープン当初から前途多難、タテル・ヨシノ 銀座 1

デビュー直後からお世話になっている「日刊ゲンダイ」関係者から銀座に建築中のビルのテナント募集の相談に乗ってやれと頼まれて、ビルオーナーである大阪の化粧品会社の本社ビルへ訪ねて行ったのが3年前の4月下旬。このプロジェクトとの関係(すべて無償)の始まりでありました。
自称空間プロディーサーの山本コテツ氏にテナント募集含めビル計画のコンサルを依頼したがレストラン招致に苦労しいるというのが私への相談内容であります。しかしこのコテツ氏、バブル時代の一時的な成功体験から抜けきれなかったようで、なんと最上階(12階と13階)に吹き抜けのレストランスペースを計画させておりました。銀座の夜景をウリにすれば坪7万円も夢ではないとの触れ込みで設計した100坪を優に超えるフロア図面を見て私はひっくり返ったのです。銀座で夜景をウリにしても客が入らないのはシャネルとデュカスのコラボ「ベージュ」が証明済みのはず。最上階の吹き抜けにまともな頭の経営者が興味を示すはずがないと計画変更を提言したが時既に遅し。それではと「ロオジエ」のパクりとなりますが、親会社(化粧品会社)のイメージ戦略で採算度外視の高額レストランを自主運営したらとの提言も、さすが大阪の会社、まったく興味を示さなかった。坪単価ダンピングでやっとオファーが来た中に、あの小山薫堂氏が関与したと言われる「ジャン・ジョルジュ」(マンハッタンの3つ星フレンチ)がありまして、日本初上陸が話題で流行る可能性があると強く推したのですが、提示条件が厳しいと蹴っ飛ばし、更に中国料理店のオファーも退けて、最終的に選んだのが東京で3店目と新鮮味のないこの「タテル・ヨシノ」であります。
すべてが裏目というか、現在もビルは1階から6階くらいまでテナントは入っておらず、アプローチにはパイロン(当初はなんと赤色)を置いて通行人を寄せ付けません。まるで差し押さえられて工事中断したゴーストビルの様相。せめて1階に自社のショールームでも入れてこの異常な雰囲気を隠せば良いと思うのですが、オーナー側の無策か未だに放置されっぱなしであります。
何回も大阪へ自腹で通っての提言がまったく生かされなかったこのビルのレストラン、詳細は来週月曜をお楽しみに。