東京の名店「京味」の西健一郎氏が修業した「たん熊」系列で、多店舗展開している北店の本店。現主人に代替わりしてから不採算店は閉めたと聞きましたが、それでもHPを確認する限りグループ店は18あります。つい最近も東京大丸に出店していますから、膨張方針に変更なし。「多店舗展開の店にCP良い店なし」が持論の友里、京料理の老舗に数えられる有名店でありましたが、経営方針が引っかかり訪問を控えておりました。
これだけの有名店ですから一度は訪問しなければならないと初めて予約を入れたのは昨年夏。「たん熊本家」は料亭形式なので回避、割烹スタイルの北店本店を選んだのです。
奥に座敷がありますが料理人と相対できるカウンターは2つ。しかしその後2度訪問しましたが、奥のカウンターは使われていませんでした。
初回はコース料理を予約して失敗。料理は悪くはないのですが、隣客が豊富なメニューから好きな料理を頼んでいたのを羨ましく感じたのです。
その時期お約束の「鱧」を主体にしたコースは2万5000円。八寸は造り置きながら手が込んでいてまずまず。造りの鱧は焼き霜に梅肉。ミシュラン1つ星「幸村」の主人は、京都では梅肉を合わせないと言っておりましたが、この老舗は例外と言うのか。鯛は質が悪くないだけに薄造りにしない方が良かった。お椀の出汁はどちらかというとしっかり目で若狭のグジ焼きはイマイチでしたが、鱧の柳川風と蓮根蒸しとまずまず満足したものでした。
単品注文ではどうかと時期を置かず再訪したのは夏の終わり頃。焼き霜ではなく落としの鱧、厚めに引いた鯛と今回の造りは満足。土佐酢で合わせて食べる水貝は、海草出汁に入ったコクある浜松町の「宮葉」に私は軍配を上げたい。前回隣客が美味しそうに食べていた鱧しゃぶ、天然鮎、炊き合わせ、梅ソーメンと単品料理をよく食べよく飲んでの支払いが二人で7万円近となりました。水貝が高かったようでその後冬に訪問した時は2名で5万円前後で、冬期の定番のグジのカブラ蒸しや海老芋もなかなか美味しかった。料理人は休んだらダメになると言う現主人の言うとおり月の休みは数回しかない「たん熊北店本店」、高額お仕着せコース専門の「菊乃井」、「和久傳」グループよりオススメです。