自称料理評論家の山本益博氏が大絶賛していた銀座の洋食屋。50年以上続く老舗なのはわかりますが、当時通いつめた文化人はじめ著名人のサインを未だに飾っているのは、友里的に言わせていただくとノーセンス。作家はじめ文化人と称する人に味のわかる人は希有だからです。
最近はそれほど癒着、もとい昵懇さをアピールしていませんが、この間まではマスヒロさんがぴったり張り付いておりました。食事会にも利用していたようで、私も月刊誌の主催するマスヒロ食事会(キャンドル)に参加したことがあります。アルコール1杯が付いているとはいえ出てきた料理を考えると会費は割高。個人で入店した方が安く上がる計算になりました。マスヒロさんだけではなく、出版社の事務方も食べていましたから、彼らの食事代やその他の経費も含入されていたようです。その後の訪問は昨年末でありました。
「日本一と呼び声高い」と自称する三陸産の生牡蠣(695円)。確かに悪くないけどこのレベルは他の店でも味わえる質。
「元祖!世の中で一番美味しいと言われている」チキンバスケット(1470円)は、ただ柔らかいだけで、肝心の鶏肉の旨みを感じず衣の味でカバーしております。店内はほとんどが若い女性のグループですが、鰻と同じでこの客層はただ「柔らかいだけ」で評価を上げる傾向があるようです。「1950年の海老マカロニグラタン」(1470円)も単なる昔味のグラタンではっきり言えば何の変哲もない。「栃木県産霧降高原牛」のビーフシチュー(2940円)も濃い味ながら深みなくこれまた「能書き倒れ」と考えます。能書きのない料理もイマイチ。「アンチョビinオリーヴピザ」は肝心のアンチョビの味がしなかった。
ヴィンテージ表記のないワインリストは最高が2万円弱とこの料理には不釣り合いなワインが多い。ハウスワイン(グラス730円、カラフ2185円)で充分です。
無愛想で態度の良くない男性ホールスタッフ、喫煙可の店内、テーブル間が近すぎるのをごまかすため隣客との間に変な衝立で仕切るのもかえって閉塞感を増さないか。
日本一、世の中一番、そして山本益博氏絶賛というキャッチに釣られてわざわざ行く店ではない普通の洋食屋であります。