高いだけで美味くない鯨料理、西玉水

珍しく関西出張で大阪に泊まることになり、読者から推奨された鯨料理店。
難波駅から歩いて20分はかかるラブホが点在するディープな地帯。こんなところに名店があるのかと不安になりました。
店構えはいかにも大阪の小料理屋といった感じ。長いカウンターの端に座り主人のオススメに従って次々と鯨料理を食べまくっての結論は、「この支払いならもう来ない」でありました。
調査捕鯨のミンク鯨は廉価な店が扱う食材だそうで、この店はノルウェーからの「ニタリクジラ」を仕入れているとか。尾の身、さえずり、ベーコン以外は使わない(赤身は廉価の店へいくそう)と主人は自信満々です。
最初の尾の身の造りは生臭くて全然美味しくない。
さえずりは酢味噌で食べましたが、脂がありすぎてこれまた私の好みではありません。生ではなく焼いたら旨いかと次に頼んだのが尾の身の網焼き。網焼きといってもタレでベチョベチョな照り焼きみたいで、生姜醤油は生姜が利いていないからかこれまた生臭かった。子供の頃食べた「赤身」のステーキは独特の風味で美味しかったと記憶しているのですが、今回の鯨は風味というより生臭さだけが気になったのです。
口直しに出たズイキと小芋の煮付けが甘ったるくて全然口直しにならない。
焼いてもダメなら揚げてみな、と次に頼んだのが尾の身のカツ。大きさだけはありましたが、自家製ソースのかけ過ぎで、皿の上はソースの海。揚げとソースが利いたのか確かに臭みは緩和されていましたが美味くない。
鯨料理の〆はハリハリ鍋。
水菜、餅、臭い鯨を煮込む出汁は業務用かと思うほどでやはりダメ。大味なだけの鯨料理、あの濃い味好きな「さとなお」氏がこの店を絶賛する意味がわかった次第です。
鯨以外の料理にもしかしたら良い物があるかと最後に無理して頼んだのが鱧の焼き霜。ぎこちないながらも目の前で骨切りされた鱧でしたが、梅肉に添えられた山葵は混ぜ物入りで、鱧も質良くなくガス臭かった。
一人でオススメの鯨料理と鱧を食べ、ビールに日本酒を飲んでの支払いが何と2万7000円。あまりの高額請求に椅子から転げ落ちそうになりました。主人は「東京の鯨は不味い」と言っていましたが、大阪の鯨も決して美味いとは言えない灰皿常備店。友里の再訪はあり得ません。