ミシュランが21日に発売されました。そこで今週は、まったく☆に値しない和食2店(2007年版掲載)を取り上げます。
まずは東麻布の「万歴龍呼堂」です。本当に美味しい和食を提供できるなら、こんな内外装にする必要があるでしょうか。この店の料理長は「祇園 丸山」で働いていたという澤田和巳氏。この京都の有名店で修業した人がなんで格落ちのダイニング系の料理長に就任するのか。予想通り他のダイニング系和食と同様、食後感は悪いものでした。
門扉を開け打ち水された小庭を通って無意味に長い赤松のカウンターに着席。オープン当初は1万円前後のコースでしたが、現在は1万円、1万5000円、2万円、2万5000円と価格だけは高額和食の仲間入りをしております。内容を熟考の上、一番CPが良さそうな1万5000円を選択。
鮑の白味噌和えはダイニングのスターターとして想定内。牡蠣、伊勢海老、湯葉などのスープ仕立ての蒸し物は、トマトがミスマッチです。造りのヒラメが私には天然物と感じず、マグロも水っぽい。甘鯛のお椀、器のセンスはイマイチですが出汁は思ったよりはマシでした。フォアグラとアナゴ、大根の焼き物に添えたホウレン草ソースも美味しくなく、飯蒸しは柚子が強すぎでアンバランス。メインの鴨鍋は出汁が濃すぎて飲む気がしません。〆のご飯は「うずみ豆腐」といって豆腐粥のようなものでしたが、ご飯に豆腐を混ぜて何を訴えたいのか。料理長の意図がわかりませんでした。
酒類も高い。グラスシャンパンが2100円、ブルゴーニュの地方ワインが1万円前後。ネットで6000円前後の村名ワインが1万5000円を超えていましたからやり過ぎです。日本酒も種類が少なく燗酒はわずか1種だけ。驚いたのは焼酎の瓶はすべて水で約半々に薄める「割水」をしています。1週間置いてまろやかさを出しているというけど、薄過ぎでした。
ビール(900円と高い)に酒(1200円とこれまた高い)に焼酎やシャンパンをグラスでチビチビ飲んで一人2万円強の支払いはCP悪過ぎとしか評せません。
厨房スタッフが少ないのかデザート入れて9皿なのに皿出し遅く所要時間はなんと3時間。この支払でこの食材にこの調理、そしてサービスでは、一切近づかない方が無難であります。