この店の1つ☆も何かの間違いではないか。常連たちの中で静かに運営していれば、少なくとも検証精神を全面に出した友里征耶の訪問は受けず、実態を晒すことはなかったと考えます。
ミシュラン掲載の通り、電話予約では1万5750円のコースしかないと女将は言っていましたが、後から一人で入店してきた常連客には「お品書き」を示して単品注文を受けておりました。あからさまな常連重視、嫌な店です。
スタートの先付けは「造り置き」の鱧ソーメン、鱧子、サーモン、海老(黄身酢)、落雁。かなり前に造り置いた街場店の宴会料理のレベルであります。ソーメンの出汁もかなり濃すぎ。お椀はこの時期お約束の鱧とジュンサイで、かなりインパクトある味。余韻は短いながらこの日唯一「まずまず」を感じた一品であります。造りは大量にバットに造り置いていた「鱧の落とし」と「カンパチ」に「鯛」。いずれも切り置いてあった刺身であります。こんな出来合調理なら、カウンター形式にしない方がいいのではないか。ここの常連は、造り置き、切り置きの連発にあまりに寛容過ぎます。続く「胡麻豆腐」の出汁はペットボトルに入っておりました。奥の厨房で焼かれた鮎の塩焼きはかなり大きい。炭火焼でないからか、焼きが緩く美味しくありません。
その後、タコ酢を供された時は小料理屋に入ったかと思いました。茄子とニシン、カボチャの炊合せも出汁が濃い割に素材に味が染みこんでいない。ご飯ものは飯蒸し(鯛入り)、もずく雑炊、ソーメン、いくらご飯からの選択ですが、客単価2万円近くの和食としてはあまりに貧弱すぎです。味噌汁も造り置きを再加熱しておりました。
ミシュランでは「京料理」と紹介されていますが、この「造り置き主体」のお店、果たして料理長は真の「京料理店」での修業経験があるのか疑問であります。
食材の質もイマイチ、調理も手間をかけず造り置き主体。街場の小料理屋に毛が生えた程度のこの和食屋で2万円前後の支払いは悪い冗談としか思えません。
造り置き主体だから料理の皿出しもはやく1時間20分あまりで終了してしまった自称「京料理店」。
ミシュラン掲載をオッケーしたために、実力のなさを晒してしまった典型的な例であります。