ミシュラン不掲載で人気が落ちたのか、週末でも予約が簡単に入りました。カウンターから補助椅子をなくしていましたから、詰め込むほど客が来ていないのでしょう。入店時、小上がりは誰もおらずカウンターも2席が空いておりました。「近藤」が昼夜入れ替え制で2回転ですからえらい違いです。
まずは刺身の盛り合わせをオーダー。赤貝、アオリイカ、小柱、メジ鮪、海老とアイテムは豊富でしたが質はそれなり。勿論メジも美味しくなかった。入店して30分、早乙女氏が鍋の油を移し換えたのにはビックリ。ここは超満席で2回転させていた時代でも油の全交換をしていなかったからです。しかし驚きは直ぐに安堵となりました。何のことはない、油を足下で濾過しただけで再び鍋に戻してきたからです。それより驚いたのが次の行動。カウンター内から姿を消した早乙女氏、何とトイレに駆け込んだのです。オープンして1時間余りのこの時刻、狭い店ですからオープン前に準備をしていただきたいものです。一気に食欲が落ちました。
天麩羅に移ってからも驚きは続きました。単に焦げが強いだけの天麩羅と評していたのですが、その「焦げっぽさ」がなくなっております。巷の天麩羅屋と比して特徴がなくなっているのです。
1万2000円の「お任せ」で、海老はわずか2尾。この値付けでは3尾以上だすべきです。アオリイカ、稚鮎が凡庸なのはまだ許せるとして、キス、ぎんぽう、メゴチといった江戸前タネの天麩羅も何ら印象に残りません。旨みを感じないのです。揚げ技術だけではなく質も拘りがないのでしょう。茄子、アスパラ、椎茸といった野菜も特徴がなく、天麩羅コースの後半の華、穴子も薄く小さく勿論旨みもない。小柱天丼もまったく凡庸。そうなんです。良くも悪くも特徴があった早乙女天麩羅がそこらの街場の天麩羅と同じになっているのに驚いたのです。ミシュラン不掲載でモチベーションが下がってしまったのか。水切りの悪い大根オロシで天つゆはすぐ水っぽくなりますし、レモンは用意されず塩だけ。帰った客の網を取り替えず布巾で拭いただけで再利用と、とても客単価が1万円以上の高額天麩羅屋とは思えない「みかわ」。タネ質、揚げ技術、サービスと傑出していないだけに、来年度版も星獲得は無理と考えます。