バンケット専門に特化したらどうか、リル トーキョー

ミシュラン掲載からわずか1ヶ月で閉店を決めた1つ星フレンチ「ザ ジョージアン クラブ」。ブラッスリーなどの店舗展開が多くなり売り上げに占めるバンケット比率が低下したからでしょうか、粗利率の高いバンケットの目玉として「ひらまつグループ」がこの大箱を引き継ぎましたが、アルザスの3つ星レストランの提携店にしたのはいかがなものか。「オーベルジュ ド リル トーキョー」の提携先は、その名の通りアルザスにある有名オーベルジュ。イギリス形式の箱が合うわけありません。
先にオープンした名古屋店ではアルザスワインが主体でありましたが、東京店では赤ワインがわずか2種しかリストに見当たりません。ブルゴーニュかボルドーしか選択肢がないのですが、そのワインの値付けがまたベラボー。NVシャンパン(ローラン ペリエ)が1万6500円には開いた口がふさがりません。1万円余計ではないか。アルザスのトリンバック社の白ワイン、「ひらまつシール」を張って特別感を出していますが、1万2000円はやり過ぎです。
反面料理はそれほど高くはありません。1万2600円から2万1000円までの3コース。アラカルトも前菜が5000円前後、肉は1万円以内が主体でハープポーションも用意されています。
その日頼んだ鵞鳥のフォアグラ(ハーフ4000円)はスペシャリテで有名ですがショッパイだけ。門外不出の「香辛料」を使用していると聞きましたが、「塩」の間違いではないか。蛙のムース(ハーフ3500円)はまずまず、シュークルート(7000円)は、色々な豚の部位が少ないキャベツに乗っています。トリュフソースがかけられた量、味と品良い一品でした。
株主優待(2割引)に加えて当時はワインも更に2割引きでしたが、それでも一人当たりの支払いが2万5000円。まともに支払ったら3万円台後半と、名古屋店よりはましな料理でしたが、食後感は良いとは言えません。オープン直後の訪問日でも数日前に予約でき、当日も満席感はありません。ドレスコードをはずして集客に励んだ結果、ジーンズに白スニーカーの客まで入店していました。なりふり構わずレストランとして集客に苦労するより、料理のレベルを問われない披露宴専門店に特化した方が賢明であると考えます。