豚シャブ屋にしては高過ぎないか、豚組しゃぶ庵

この店が属するグループは、「ひらまつグループ」の原点「ひらまつ亭」があった西麻布4丁目のビル地下の居酒屋「せいざん」が出発点であります。その後交差点近くにワンコインの立ち飲み屋をオープン。外人客で盛況でしたが、この辺りから経営元の「株式会社グレイス」は拡大路線を取り始めました。4800円のイベリコ豚をウリにしたトンカツ屋「豚組」が当たり、立ち飲み屋も赤坂に増やし、昨年ついに六本木にこの豚シャブ屋をオープンしたのです。グレイスの売上が2億6000万円、これだけでも驚きですが、今期の目標はこの「しゃぶ庵」の売上を見込んでか目標が4億3000万円になっております。居酒屋「せいざん」もいつの間にか「豚料理屋」に鞍替えと、急激な膨張と方向転換がちょっと気になります。
今年はじめに編集関係者たちと新年会で訪問してビックリ。100席以上の超大箱店で、ホール以外に個室ゾーンが広くVIPルームも2部屋あるのです。IH加熱調理機をテーブルにはめ込み、ルクルーゼの鍋をセットし、男性スタッフは若くビジュアル系を用意、と「せいざん」時代を知る友里としてはのけ反るばかりの衝撃でした。
突き出し、6種の前菜、しゃぶしゃぶ、麺のコースが豚の銘柄毎に8種ほど用意されています。2900円の「けんとん豚」や3500円の「黒豚」は許せるとして、「白金豚」が5400円、イベリコに至っては1万円というのはいくらなんでもやり過ぎではないか。
濃厚な胡麻ダレを避け、塩出汁や塩胡椒で食すると安いコースでも豚の旨みを感じます。確かに悪くはない。一日2回、タイムサービスの焼き豚のワゴンでの提供(900円)も面白い趣向です。
でも3人で馬刺しや追加肉を頼み、5千円前後のワイン(ボジョレーもの)を2本飲んでの支払いが4万円弱には言葉を失ってしまった。
今回は自腹ではなかったのですが、この支払額を知ってしまうと再訪は難しい。同じ六本木の高級シャブシャブ「瀬里奈」(勿論牛肉)でもワインを持ち込んでVIP会員の割引を使ったらこの支払前後で終わるはず。あまりに高い豚肉屋ではありませんか。週末なのにほとんど客が入っていませんでしたから、1億7000千万円売上増が絵にかいた餅にならないことを祈るばかりです。