台北最後の夜に訪問したこのお店、台湾在住の一家との会食だったのですが、彼らもこの店構えを見て入店を一瞬躊躇したという、どこに出しても恥ずかしくないディープな店構えと料理の店であります。
店内も狭くて決して綺麗とは言えないのですが、驚いたのが奥にあるドア。
このドアの向こうに厨房があるので料理はここを通って運ばれてくるのですが、何とトイレもこのドアのすぐ後ろ。つまりトイレ客と料理が同じドアを通ってくるのであります。衛生的にいかがなものか。
料理は台湾現地人の奥方(大陸出身)の好みで、ディープな台湾料理のオンパレードとなりました。
まずは台湾の山菜炒め。ジャコとニンニクで炒めたものでして、野菜好き(山菜好き)の友里には良かった。続くは台湾のアサリ料理でして生姜、ニンニク、唐辛子に台湾ハーブで味付けしたもの。ここまでは良かったのですが、次からがちょっと引いてしまう料理の連続となったのです。
出てきた料理、なんと豚の腎臓ではありませんか。
胡麻、古い生姜、米酒などで味付けした、台湾では高級料理だとのことでしたが、根っからの台湾人のご主人が箸をつけなかったのですから笑っちゃいました。確かに臭みはなく食べられましたが友里、お替わりはしませんでした。
次もかなりディープな一皿。これまた生姜、豆板醤で使う豆(ソラマメ)、そして中国酢で味付けした豚の大腸(料理名わからず)で、味はかなり酸っぱい。
酸っぱいもの好きの友里ですがこれが例外。お替わりは出来ませんでした。(台湾のご主人はまた箸をつけなかった)。
そして事前に予約していた佛跳牆(ファッティウチョン 通称・ぶっ飛びスープ。高級食材の乾物を多用した壷で煮込んだ高級スープ)の登場です。
福臨門(東京)や香港などで今まで3回ほどこの料理を食べたことがあるのですが、台湾のぶっ飛びスープはちょっと違うかも。フカヒレ、干し貝柱、干しアワビなどはありましたが、白子や筍、そしてクワイに豚肉と高級食材とは縁遠いものがゴロゴロしていたのであります。
香港では6人分で10万円ほど請求されましたが、今回は5人分くらいでなんと1万円前後、ちょっとおかしいとは思っていたのですが…。
お味は価格なりでありまして、まったく高級感が出ていなかった庶民的なぶっ飛びスープであったのです。
お次は李登輝が好んで食べたという(入り口には彼の写真が貼ってあった)桂花フカヒレ炒め。台風の影響で品薄と聞いていた香菜がタップリでまずまず満足。
しかし最後の一皿にまた引いてしまったのであります。
バージン蟹というものだそうで、おこわみたいなものの上にちょっとグロ的に蟹が盛り付けてあるんですね。これは箸をつけず遠慮してしまった。
これが本場の台湾料理というものなのか。
それにしては、正真正銘の台湾人がほとんど手をつけていなかったのが不思議な、滅多に経験できない台北でのディナーでありました。