ジャンルは鰻屋だけどスッポンも秀逸、勢きね

スッポンの美味しい店がないと嘆いていた友里に、食べ仲間が教えてくれたのがこの店。
彼が行きつけのフレンチ(ワインマニアには有名らしい)の店主からの紹介と聞いて、友里がすぐさま訪問したのは一昨年の末でありました。

予約で料理を確認するとこの店、スッポン専門店ではなく鰻も扱っているとのこと。というか食べログを見る限り世間では鰻屋で通っている店でありました。
そこで鰻とスッポンの両方を入れたコースを頼んだのであります。予算的には一人2万円前後と安くはない価格設定。更に期待が膨らんだのはいうまでもありません。

場所は赤坂のレジデンシャルホテル。路地裏にあるチープなアパートみたいな建屋の、入り口がわかりにくい1階にありました。

まずは鰻の白焼き。一口食べての印象は養殖ものではない感じ。脂たっぷりではなくどちらかというと天然に近い川魚の風味でして、野田岩などの養殖剥き出しの鰻とは違ったのであります。
時期的に天然鰻があるとは思えず店主に確認したところ、産地は特定していないけど飼育期間を長くした養殖鰻を選定しているとのことでした。

続くはスッポンの肝焼き。ポーションも大きく塩も効いていて火入れもしっかり。
あまり食さない部位でありましたが美味しかった。そして続いたスッポンの肩肉の塩焼きは肝とは違った味わいでこれまた悪くはなかった。
鰻の肝焼き(これもかなり大きめ)を挟んだあとはスッポンの唐揚げ。衣の味が濃かったけどこれも美味しかった。

そしていよいよ当日のメイン、スッポン鍋の登場です。
1キロくらいのスッポンだそうで2名だとかなり食べ応えがありました。出汁はお酒の甘みを感じますが今まで経験した店の中ではトップレベル。しっかり味が出ていたのです。
醤油の味しかしない「大市」とはそれこそ月とスッポンの違い。危うく次に控えている雑炊用に取っておくべき出汁まで飲み干しそうになりました。雑炊も勿論よかった。

〆は鰻丼。白焼きと同じクオリティでして、タレはちょっと甘く感じましたがこれまた満足して店を後にしたのであります。
ワインリストも店構えと違って結構充実していてNVシャンパンも1万円以下でリストアップ。
電話予約時もそうでしたが、若い主人をはじめ店スタッフの客対応は非常に丁寧というか低姿勢。あとでミシュランの星を取っている店と知って驚いたのであります。

そして1年かかってしまったけど再訪したのは昨年の末。
今度は大勢での訪問でしたが、鰻やスッポン料理のクオリティは落ちていなかった。日本酒にも凝っているようで、料理に合わせたペアリングも楽しめたのです。
でも残念だったのが瓶ビール。在庫がわずか1本だというのでおかしいと思ったのですが一口飲んで「こりゃあかん」。
ラベルを確認したらとっくに賞味期限が切れておりました。瓶でもビールは鮮度に敏感、たとえ賞味期限内でも時間が経てば味わいが落ちるのがビール。
店主には瓶ビールにも拘るべき、賞味期限をチェックするべき、との苦言で〆させていただきます。