江戸料理「なべ家」をストーキング、フグ編

ミシュランの発売ですっかり影が薄くなってしまいましたヨイショライターたちの寄り合い所帯評価本「東京最高のレストラン」。ここで長年「江戸料理店」として高く評価されていたのが大塚駅にある「なべ家」です。
鮨の江戸前はイメージできるのですが、江戸料理とは果たして何なのか。その答えを探すため友里は約一年かけて季節ごとにこの店へ通いつめました。題して「なべ家ストーキング」。まずはこの時期旬の「フグ編」です。九州や関西が本場であると思っていた「フグ料理」を江戸料理店で扱っているというのがサプライズ。昔は江戸湾でもフグが獲れたのでしょうか。
この店は何時行っても盛況感が伝わってきません。個室のテーブル上には灰皿が常備されています。繊細なフグ料理でも紫煙を気にしない客が多いということでしょう。
まずはお通し3品でコースがスタートします。ウルメイワシ、銀杏、蛤の煮付けが江戸料理?実はこの「ウルメイワシ」、季節に関係なく毎回出てきますから完全に飽きます。次はフグ汁なるもの。味噌仕立てでフグが2片で思ったより薄味でした。
メインの一つであるフグ刺しも天然をウリにしている他の高額店と比べるまでもない質。辛めのポン酢でわかりにくいですが、引かれた刺身はやけに柔らかく滋味を感じません。
なぜフグコースに蕎麦がでてくるのか。カツオと味醂が強すぎてバランス悪い出汁をかけたオロシ蕎麦、わざわざ出す意味ないと思うのですが、季節に関係なく出てくる「
江戸料理」の定番であります。
鍋も普通で、質の良くないフグだからか雑炊も旨みがなく、塩をかけて食べることを勧められました。白子入りなのに味わいが足りない。この白子、小さすぎて塩焼きでの提供は無理かもしれません。
デザートはこれまた定番の「凍り豆腐」なのですが、添えられてある打ち抜きのスプーンはチープ感そのもの。温めの提供なので火をつけさせなかったヒレ酒にも疑問を持ち、このフグ質と古い建屋の環境で支払が一人2万円台後半はCP悪すぎと言うものです。ウルメイワシと甘い出汁の蕎麦、そして凍り豆腐を加えるだけで凡庸なフグ料理がヨイショライターに評判高い「江戸料理」に変身しますが、純粋にフグを食べたいなら他の店へ行くことをおススメします。