日本広しといえど出入り禁止をウリにするグルメライターはこの友里一人。
その友里が「新ばし しみづ」と共に誇る出禁の1店が今夏品川の僻地、もとい足の便が少し悪い地へ移転した「カンテサンス」であります。
この3つ星フレンチ、ソース造りを放棄(実態は造れない)して低温長時間ローストという世界的には廃れてしまった調理法に未だに固執しているのですが、移転後に居抜きのまま元厨房&ホールのスタッフを主体に即オープンしたのがこの「ティルプス」でありました。
食べログ評価では4点を超える高評価店。しかも「カンテサンス」と違ってホール内での料理写真撮影もオッケーと知ってネタ不足の友里がすぐ飛びついたのはいうまでもありません。
それでは前店と違って1万2000円と値下げしたコース1本の料理について述べていきましょう。
まずはアミューズ。玉葱のチップ(チュイルというらしい)にアールグレイの香りをつけた玉葱ペーストをのせた一口アミューズ。
予想よりアールグレイの香りが弱かったけど玉葱の旨みがでていてこれは悪くなかった。
続く前菜の1番目は原木椎茸のバスク生ハム乗せ。
見た目はこれまた一口アミューズのポーションでありましたが、これも選んだ食材に恵まれたからか素直に食べられたのであります。
事態が急変したのはこの直後。
バケットと共に出てきたのは焦がしバター風味のマスカルポーネ。バターよりヘルシーとのことでしたが、キャラメルのような後味ですぐ飽きてしまった。
普通のバター(有塩・無塩とも)がないとのことで、オリーブオイルを出してもらって残りのパンを食べきったのであります。
続く料理はスミイカ。イカスミのチップを添え、グレープフルーツとフェンネルを使った泡仕立てという時代遅れの調理。
甘しょっぱい味付けで友里たちの好みには合わなかった。
その次もなんと泡料理。
ワイを包んだキャベツに根セロリとリンゴの繊切り、そしてコンテ(チーズ)の泡を掛けておりました。
クミンの味が後から利いてくるのでなんとか食べられましたが、これまた食欲をそそるものではなかった。
まだまだ前菜は続きまして、お次は柿のタルトとビスケットに挟まれたフォアグラのテリーヌ。
うーん、塩はしっかり効いているけど何か足りない。全体に緩いんですね。
連れ共々テンションがどんどん落ちてしまう調理なのであります。
魚料理は鰆の低温ロースト。
見た目が半生なだけではなく食感も柔らかすぎで、本来は身質が固い鰆とはとても思えない代物。添えられたいぶりがっこと焼き茄子のペーストもミスマッチです。
そして肉料理はこれまた半生に見える鳩(肝付き)。
カボチャのピュレやジュ、レモングラスの力を借りても味わいはイマイチというか、これまたまったく食欲が進まない調理でありました。
師匠のカンテサンス・岸田シェフと同じく弟子の造る料理もすべてトーンが同じで引き出しの少なさが丸見え。
連れの
これならカンテサンスの方がまだ美味しい
という感想に、友里も納得したのでありました。