昨年4月、西麻布にオープンした「お菜屋 わだ家」。和田アキ子の店としてマスコミにも大きく取り上げられた豚シャブがメインの居酒屋です。彼女の知名度や業界での影響力を気にする放送作家やタレント仲間のバックアップで、上々の滑り出しのようです。5月には大阪お初天神店も出し、HPで予約受付をするほどの繁盛さ。しかし運営母体は和田アキ子の個人プロダクション(株)エー・アンド・ケイと言われていますが、実際の運営は店舗プロデュースや居酒屋などをやっている(株)未知インターナショナルだという事実を知っている訪問客がどれほどいるか。事実、スタッフ募集はこの会社が行っており、オープン10ヶ月になるのに今さら募集職種に「料理長」があるのも理解できません。現在まで不在だというのか。
この店は居酒屋の位置づけなのに、生物(刺身など)を置いていません。体に良いと一夜干しの充実を謳っていますが、要は保存が楽なものに限定しているだけではないか。
オヤジギャグの「冷アッコ」(680円)、底が丸い器に盛ったすくい豆腐に出汁醤油と削りたての鰹節をかけるもの。揺れて食べにくいただの豆腐です。アッコの掌サイズという「わらじコロッケ」(980円)は思ったより小さくキャベツは切り置き。「わらじ」もイメージはありません。おススメの一夜干し「大トロサバの炙り焼き」(1480円)はまったく鯖の味わいがない。「のどぐろ」は1860円と安い訳です。よくこんな幼魚のようなもの見つけたと思うサイズなので、美味しくないのは当たり前です。一夜干しは頼まない方が無難。30分以上かかるはずなのに「豚シャブ」より先に来てしまった「銀シャリ」はまったく凡庸。そして「豚シャブ」(2400円)は2人前からしか頼めません。脂カスを浮かべた甘過ぎる出汁で野菜と一緒に食べるこの豚、七味や山椒、黒胡椒を多用しないと酒がすすみません。そして日本酒は1合1200円以上と高めの設定であります。
4人で豚シャブ3人前にその他の料理は1人前、そしてビールにボトル焼酎(7400円)と満腹を犠牲にしての〆は一人当たり7500円。お腹一杯になりませんでしたが、1万円支払ってまで満腹になりたくないレベルのこの料理。タレント店に傑出なしは定説です。