高級食材オンパレードの創作京料理、久

先斗町入口から上がって市営駐輪場を抜けた左側に店を構える「くしかんざし 久」。変な店名は、昔串揚げ屋だったからだそうです。あの1つ星「幸村」の主人も、和久傳へ入る前ここで働いていたと主人から聞きました。
カウンター10席足らず、主人と女将の小さな店です。マスコミの取材拒否ですが、ネットに店情報が結構出ていますので取り上げます。
この店は純粋な「京料理」ではありません。天然鰻、天然岩牡蠣、鮑、ウニ、松葉蟹など高級食材を各皿に盛りこんだ「創作京料理」。文化人、業界人、放送作家など濃い目の味付けを好む人たち、高級食材の羅列に目がない人たちにウケる店だと思います。
一昨年に続き訪問した昨年末、まずはセイコ蟹からスタート。大きな雌蟹で内子も美味しいのですが、甘いポン酢が私には疑問。聖護院大根と鯛の子もやや甘めでありました。足摺岬の岩牡蠣、やはり天然だとこんなに小さいものなのか。ポン酢かけ過ぎですが珍しい一品です。自家製カラスミはネットりしていて甘い大原大根との相性は良かった。カワハギの肝和えも濃い味わい。タイラギ、貝柱、丹波猪の味噌和え、天然ナマコ、グジなどを使った蕪蒸し、鴨葱焼き、と高級食材オンパレードの濃厚な味付けの皿が続きます。京都でこの時期お約束の海老芋は酸っぱい味付けで面白かった。
そして〆のご飯ものは、この店のスペシャリテ、オムライスであります。
オムライスと言っても普通の洋食屋とはまったく別物。アワビ、鴨ロース、ウニ、フカヒレなどを使用したスッポン出汁の玉子餡かけ丼です。これまた濃厚味。これを出されたら、業界人はじめ山本益博氏、門上武司氏も完全ノックアウトか。相性関係なく高級食材をふんだんに使った料理に目がない文化人や放送作家が泣いて喜ぶ究極の〆ご飯であります。
支払額は2万円前後、主人の業界話も面白く、これだけ濃いとワインにも合うか、ワインの持ち込み可だと聞きました。
友里が頭に描いている「京料理」とは対極にある創作料理。東京からわざこの店だけを訪問するのはおススメできませんが、連泊で京料理に飽きた時に経験してみたい店ではないでしょうか。普通の京料理に慣れている京都や関西の方が時たま訪問するにはもってこいの店だと考えます。