ワインの値付けだけでなく料理も良くなった、ボン・ピナール

オープン当初に訪問し、破格に安いワインに驚きながらも、料理はそれほどでもなく皿出しが遅すぎて食後感が良くなかった元麻布のフレンチ「ボン・ピナール」。久々に訪問してビックリ、かなり修正されて良い店になっておりました。
とにかくワインが安い。ノンヴィンのシャンパーニュが6800円。平気で1万円超える店もありますから良心的。驚いたのはクリュッグのグランキュベです。なんと1万5800円。これってほとんど小売値か、もしかしたら安いかも。クリスタルも2万200円ですから、高めの店の半値以下であります。スティルワインも半端ではありません。86年のブルゴーニュ1級畑が軽く1万円を切っていましたから信じられません。おそらくワインの値付けは、仕入れ値に数千円の粗利を乗せているだけではないか。よって高額ワインになるほど割安感が増大するわけです。仕入れルートや保存もいいようで、ワインの状態は問題ありません。料理は前菜が1800円前後。肉料理は3000円前後、ジビエは4000円超と普通のフレンチ並、ワインほど安くないのは仕方ないか。
前回はアミューズが出てくるのに40分を要しその前にシャンパーニュ1本を飲み切ってしまいましたが、今回の白レバームース、割とすぐ出てきました。濃厚で美味しい。パートフィローで包んだブーダンノワール、田舎風パテといった前菜ビストロ料理もボリュームがあり美味しい。ちょっと高かったメインの猪ミンチのパイ包みも満足する味わいでした。おいおい、こんなに美味しかったっけ、とその想定外の料理の進歩に我々は驚いたのです。
皿出しも早くはないですがストレス溜まるほどでもなく、4人でビール、グラスシャンパーニュ、ボトルワインを2本頼んで5万円台半ば。たいしたワインも飲まず本数抑えた名古屋の「オーベルジュ ド リル」での一人分に匹敵する支払額でありました。この味、この量、このワインで不満に思う人は居ないのではないか。同伴者も皆再訪したいと言っておりました。「ビストロ ド ラ シテ」のような重めのビストロ料理ではありませんが、トータルの満足感はこちらの方が上かも。近所の人気店「ブルギニオン」にとって、大きな脅威になると考えます。