名古屋のバブルを実感、吉兆 名古屋

今回の食材偽装問題で「吉兆」が5つの会社に分かれていると初めて知った方も多かったのではないか。湯木姓を名乗らない京都吉兆の三代目徳岡邦夫氏、TVなどマスコミ露出が激しく強気な店舗展開をしており、今年名古屋ミッドランドスクエアの41階に出したのがこの「吉兆 名古屋店」です。
船場のおかげでキャンセルが多いと嘆く徳岡氏を知り、名古屋に一泊した私は昼の訪問を思いついたのです。今なら飛び込みでも入店できる、京都グランヴィア店は結構空いていた、との思惑でしたが入店してビックリ。店内は個室もホールも喧噪で最後のテーブル席だったのです。
メニューを見て唖然。京都各店では6000円以下で提供される松花堂弁当がありません。最低値はミニ懐石の1万円。他は1万5000円、2万8000円と嵐山本店の次に高額な店でした。
仕方なく頼んだミニ懐石、食後感は最悪。八寸は柿なます、イクラ、黒豆、トンブリ、サーモンなど食材、調理とも期待外れ。和食の生命線のお椀のタネは蕪、シメジ、名古屋コーチンの鶏団子。団子はなんと山椒を利かせてありました。こんなタネでは繊細な出汁は合わないと考えたのか、カツオが強すぎるバランス悪い出汁。その割に余韻がありません。造りの鯛はクラッシュアイスに直に載せられています。創作和食で昔見た手法ですが、これでは溶けてベチャベチャになるではないか。シビ(鮪)の握りも酢飯が甘く醤油のジュレのようなものを乗せてあります。鰆をエリンギでまいた揚げ物もモロミ醤油を付け合わせ、〆の鯛飯も生姜が強すぎるなど、これが京都に本店を置く名門和食の支店なのか。味付けは素人受けを狙った濃い味や変化球の調味料を多用していてまるで創作和食です。京都吉兆への期待はもろくも崩れ去りました。
ビールもドライの中瓶が1000円と仕入れの3倍以上はやり過ぎです。
料理高い、ビール高い、調理は味濃くまるで創作和食、とこの店がなぜ満席なのか。名古屋がバブルであるとは聞いていましたが、新幹線で30分程度と簡単に京都へ行けます。名古屋の方にはこのCP良くない店へ行くより、足を運んで本物の京料理を堪能されることをおススメします。もっとCP良い和食店は京都に沢山あります。