出版社の編集担当と定期的に行っている食事会で訪れたのが中野のフレンチ「ガルゴティエ・ササキ」です。ネットでの評価も上々なビストロ、中野駅から徒歩で15分と立地の悪さも逆に期待を膨らませてくれました。何か特徴があるのだろうとの勝手な思い込みですが、汗かきながら辿りつき食べ終えた結果は期待外れに終わりました。
地図を見ながらもうっかり通り過ごしてしまったくらい存在感のない店構え。ガラス張りでブティックか喫茶店に見えてしまいます。内装はよく言えばシンプル、はっきり言うとチープ。キャパ10名前後、シェフとホールスタッフ2名の小さな店です。
アラカルトなし、コース2940円ですから多くを期待しませんが、肝心の料理がまったく特徴がありません。
冷前菜、温前菜は決まっていて、メインだけがチョイスできるシステム。しかし、そのメインは仔羊かホロホロ鳥しかありません。どちらも苦手な客はどうすればいいのか。冷前菜のタスマニアンサーモンのマリネは想定内。中野まで来てサーモンなんか食べたくないよ、という客がいないのだろうか。温前菜はフォアグラのコーンスープでしたが、この取り合わせはミスマッチと判断。ホロホロは得意でないので必然的に追い込まれた骨付き仔羊、脂分が多すぎで何の変哲もない調理でありました。廉価店だからかフィンガーボウルもなく、非常に食べにくい。一人調理ですから限界があるでしょうが、もうちょっと客の事を考えてみたらどうなのか。500円値上げて2500円になった高田馬場の「ラミティエ」と比べて、料理の種類、ボリューム、野菜の量、とすべてに劣るものでした。厨房、ホールとスタッフを何人も雇って2500円でやっていけるのですから、ガルゴティエも改善の余地は残っていると考えます。
唯一の救いはワインの値付け。ノンヴィンテージのシャンパーニュが6930円と安めで、白、赤ワインも3150円から用意されています。カオールやマディランといったCPの良いフランス南西地方のワインを用意するのは評価できます。店構えにあった廉価なワインの品ぞろえは良心的と言えるでしょう。
わざわざ電車や車で行くほどではなく、ご近所の方に限定で今回紹介させていただきました。