地番は富ヶ谷ながら、代々木公園駅から徒歩数分のイタリアン「ラ・クチーナ・イタリアーナ
ダル・マテリアーレ」。店名は結構知れ渡っているようですが、客入りは厳しいものがあるのではないか。我々が訪問した日も、10数名のキャパなのに店内は閑散としておりました。HPではシェフの拘りが載っております。店名から素材(マテリアーレ)の良さを連想したのですが、食後感はCP含めて良いものではありませんでした。
この店は面白い営業形態をとっています。「基本料金」として、付き出し、お任せ前菜(3種盛り)、パン、プティフール、カフェのセットが1680円。つまり黙って座れば1680円が自動的に計上されるのです。では、それだけで帰っていいのかというと答えはノー。前菜、パスタ、メインから2皿以上頼まなければなりません。前菜やパスタが1500円ほどですから、それだけで5000円弱。メインも食べると7千円前後と立地や店構えを考えたらかなり高い価格設定です。そして料理の選択肢が少ないのもいかがなものか。前菜、パスタが4種と少なすぎ。特にパスタはロングとミドルの手打ち麺にファゴッティーニ(餃子みたいなもの)とラビオリだけと寂しい限り。メインは魚料理がトマト煮込みとオマールのロースト、肉は仔羊のローストだけと、メインを重視する客を度外視したかのメニュー。
フルセット4000円弱の「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」でも多種の料理を用意しているのです。はるかに価格が高いのですから選択肢を増やさなければ客は満足しないでしょう。客が来ない→回転が悪い→メニューを増やせない、と悪循環に陥っていると考えます。
さて肝心の料理ですが、ポーション小さくどれも印象に残るものはなかった。シチリア風という仔羊ロースト、ただのカポナータが添えてあるだけで質もイマイチ。ワインもロッシバス(白)、タンクレディ(赤)とCP良いものが小売りの2倍以上と頼みたいものがない。
この立地と店構えなら、店名通り素材に拘りながら料理数を増やして6000円以下に抑えるしか道はないのではないか。高価格を維持するなら、内容を充実させてコース1本に絞って客に判断を委ねるという手もあります。このまま方向を修正しなければ浮上は難しいと考えます。