巷の予想通りトヨタが三度目の下方修正をしました。税引き後損益が500億円の黒字から3500億円の赤字。昨年12月からわずか2ヶ月で損益の色が変わってしまった。
パナソニック、日立、東芝など電機メーカーの赤字も半端ではないですか、中でも自動車関連に舵をきっていた日立の赤字が半端ではありません。自動車の販売がそれほど不振だと言うことでしょう。
08年度はまだ2ヶ月近くあります。4度目の下方修正がないよう今回の発表は充分精査した結果でしょうが、世には絶対がありません。人間はどうしても希望的観測に奔りやすいもの。現在の状況が続くと考えての予想だとしたら、販売減少や円高の今以上の進行があったとしたら、この数字は耐えられません。08年度決算は遅くとも最終発表の4月末か5月初めには確定するわけですが、それまでに4度目の下方修正がないこと、これ以上の経済の落ち込みがないことを祈るばかりであります。
さて「店評価ブログ」に、なぜか土産物屋と精進料理を併設している「紫野和久傳」と、「たん熊 北店本店」をアップしています。
ぜひお立ち寄りください。
http://www.tomosato.net/blog2/index.html
「店評価ブログ」を更新しています
レストランの値下げ行為に一言
レストランが突然値下げしてきたら客はどう考えるでしょうか。
値下げには
1、「久兵衛」の昼のように、前値(高かった価格)と新価格(値下げ)を併記する。
2、すべてのコースを値下げして新価格しか示さない。
3、一番安いコースだけを値下げする。
4、より安いコースを新設する
5、コースを1本に絞り安く設定する。
などが考えられます。
しかしどのパターンの値下げを選んでも、イメージダウンは避けられません。答えは簡単。
流行っている店でわざわざ値下げする経営者がいるはずがないからです。つまり客側は「値下げ」=「客入り不振」と直ぐ感づくわけです。
いわゆるレストランは定食屋ではありません。単にお腹が一杯になれば良いってものではありません。イメージも大事。
どこの世に、「弊店は流行っていませんでした」と告白した店に、わざわざ行きたがる脳天気な客がいるのか。
昼はさておき、私は夜のコースを値下げして成功(復活)した店を見たことがない。
せいぜい存続期間が延びるだけであります。
経営側は「お得感」を出せば客が増えると思うのでしょうが、客心理はそう単純ではないのです。
予約が取りやすい店に客が殺到するか。答えはノー。たとえ電話が1時間繋がらなくても、数ヶ月先しか予約が入らなくても、使い勝手の悪い「人気店」に行きたいと思うのが客心理であります。何時でもフリで入店できる店に客を連れて行きたいとは思いません。
価格も同じ。客入りが悪いと認めた店に、連れだって訪問する客が多いはずがないのです。
客入りが不振だということは、必ず原因があるわけです。確かにCPの悪さも大きな要因かもしれません。ですからオープン当初の客単価設定などのコンセプトが大事なのです。
最初から値付けを間違えて後で修正(値下げ)しても「手遅れ」であります。
コンセプトの失敗を謙虚に受け止め、特効薬とはなりませんが同価格で内容をより充実させる手法しか方策はないでしょう。
極端な意見ですが、値下げより逆に内容を充実して「値上げ」した方が客入りが良くなるのではないか。
というより、店不振の原因は「価格」に限らないはず。安易に「値下げ」に奔る前に、より深刻なその他の問題点を解決する方が先決であると考えます。
昨晩もあるオーナー料理人と「値下げ」について話し合ったばかりです。「値下げ」、言い方は悪いですが「客から舐められる」という結論で一致しました。
未曾有の不景気で二極化は避けられません。本当の富裕層は不景気に関係なく散財します。「なんちゃって富裕層」の財布の紐が絞られるだけ。
高額店、特にキャパの小さい店は相変わらず満席ですし、マックはじめ低価格店も好調を維持しているはず。
中途半端と言ってはなんですが、客単価が1万円前後のレストラン、特にフレンチが苦しいと考えます。
現在値下げを考えている不振店のオーナーシェフや経営者に私は言いたい。
安易な値下げが自殺行為だと言うことは、「歴史」が証明している、と。
中国料理における化学調味料
今週月曜のブログで取り上げた「福臨門の化学調味料」に関し、結構な反響がありました。
「今更当たり前のことを言うな」といったもの(語調は柔らかいものもあります)がほとんどでありました。
しかし昨年11月8日の「店評価ブログ」に掲載したことで、驚いた「常連客」が店や二階堂ドットコムに相談し、「友里がデタラメを言っている」と批判されたのは記憶に新しい。
http://tomosato.net/blog2/2008/11/post_144.html
私は厨房に化学調味料が常設されているとの証言も得ての掲載だったのですが、福臨門が「無化調」を履行していると信じていた人も多かったということです。
機会がある度に書いていますが、再度私は「化学調味料」に対する考えを述べさせていただきます。
「化調」を悪魔のように忌み嫌う方もいらっしゃいますが、私は以前から全面否定しておりません。
高額店はさておき、廉価なお店ではその使用は仕方ないものだと思います。調理の手間暇と提供価格のバランスを考えたら、「必要悪」と言ったら言い過ぎでしょうが、使用は致し方ない。
また化学調味料の味に慣れ親しんでいる方も多い。そのような方が常連である高額店が使用するのも仕方ないことだと思います。投入しないと「味が落ちた」と感じる客の要求なのですから。
ただ投入量が問題です。理想は化学調味料の投入がわからない程度の使用量。せめて、敏感な人なら「入っているかな」と思われるところで止めていただきたい。
化学調味料はその名のとおり、あくまで味を調える「調味料」であって「主役」ではないからです。
最近は廉価な店だけではなく、高額店でも投入量が多くなっているように感じるのが残念であります。
「無化調」をウリにしていても、肝心の料理が不味かったら本末転倒。「無化調」でありさえすれば良いというのではなく、価格に見合った「美味しさ」がなければプロの料理とは言えないでしょう。
化学調味料に頼ることなく、無化調でも腕のある料理人が手間をかければ、化調入りとは別世界の「美味しさ」の料理も出来るということです。
「化調」と「無化調」の料理の違いが還暦近くになってやっとわかったのか、ここ数年で「無化調」の発言が目立ちはじめたマスヒロさん。
まずは、並木橋の「有昌」の「しいたけそば」の再評価をしていただきたいものです。