最近訪問した店 短評編 2010-5

大相撲界では、貴乃花の理事選強行出馬の問題がまだ解決していないというのに、こんどは朝青龍の暴行問題が物議をかもし出しました。
理事を事前調整で決めてしまうと言う「村議会」並の事前談合は、実は他の業界にも良くあることです。コンプライアンスが求められる上場大企業も、株主総会で議決して貰う取締役候補(理事候補とおなじ立場)は定員ぴったりがお約束で、滅多に当落を争うことはありません。
これは事前に会社側(と言っても取締役会の実力者で普通は社長個人)が自分勝手に役員候補を選んでいるからであります。(ここでいう「実力」とは、手なずけた取締役を過半数持っていることを意味します)
大株主はたいてい株の持ち合いをしている会社か金融機関。後は物言わない純粋な一般投資家ですから(物言う投資家は当局から排除された)、会社(実は会長や社長個人)の望みのママの役員布陣できてしまうのです。

つまり、上場大会社と言ってもほとんどそこらの中小・零細企業と取締役選任の課程は同じなんですね。大相撲の閉鎖性を批判する人は多いですが、上場大企業も同じだということを指摘している人が居ないのが残念です。
ですから実質、上場会社といえども社長(実力者)に逆らうと次回の株主総会で辞めさせられることになりますから、プロパーの役員は借りてきた猫状態。大株主連中も、社外取締役を潜り込ませることが大きな目的ですから、社長に逆らわず見て見ぬ振りをしています。
つまりアホな人が前実力者に取り入って社長になってしまった場合、アホな社長の下で大会社といえども下り坂を転げ落ち続けなければならないわけです。

実力者は自分より能力のある人を側近にしませんし、後継者にも指名しません。世間や社内、そして取引先からの再評価で、自分の価値や評価が落ちることを嫌うからです。つまり自分の言うことをその後も聞き、自分より目立った功績をあげない適当な能力の持ち主で、扱いやすい人を後継指名するのが一般的であります。
自分の言うことを聞く人だったかどうかわかりませんが、あの「ロオジエ」のボリ?さんがメナールさんを後継指名したのもこの構図であります。閉鎖的な選挙や後継指名は大相撲だけではないのです。

朝青龍の暴行問題ですが、この手の傷害事件は婦女暴行罪のような「親告罪」ではないはず。殺人とおなじで被害届を出さなくても警察は被害者・加害者の都合に関係なく捜査ができ、検察は起訴することが出来るはずです。

朝青龍の親方、高砂が示談したことを強調していますが、お金をつかませて示談書を取り交わしただけでしょう。被害者もそれが目的で、警察へは相談に行っても被害届を出さなかった。こういう予定調和(本当は意味が違う)を打破するためにも、検察は小沢氏だけではなく朝青龍からもしっかり事情聴取してもらいたいと考えます。

さて3店です。

韓国料理 大使館 六本木店
「大使館」とは大仰なネーミングであります。この食事会を主催した人から聞いたのですが、韓国料理とは違うジャンルの店(飲食ではなく風俗)でも「大使館」を名乗った店が新宿にあったそうです。偶然その「大使館」の前にある文字が実在の国名だったのが悲劇の素か。
人気店だったようで、その予約電話が実在の国の大使館へ殺到してしまい大使館から猛抗議を受けて、全国のその手の店は看板を掛け替えなければならなくなったという笑い話のようなことを聞きました。
話はそれましたが、いかにも昔の焼肉屋といった外観や内装で引けてしまいますが、チジミやカムジャタン、サムゲタンなど韓国家庭料理はなかなか美味しかったです。焼肉は食べておりません。

かに瀬里奈
蟹が好きではない友里はかなり抵抗したのですが、家族の探求心に押し切られて訪問。大食いの私が同伴者に蟹をゆずってその日はあまり食べずに帰りました。
しかし蟹シャブ、私には全然魅力的に思えないのですが結構人気があるのに驚きました。

バルバッコア クラシコ 新丸ビル
1年ぶりくらいの再訪。友里は目がないという食べ放題(前菜とシュラスコ)で評価は甘くなりますが、まずまず満足しました。
しかしワインの飲み放題も入れて支払いは一人1万円ほど。実は結構高いんですね。1年前よりは予約がかなり楽でして、フリでも入れるような雰囲気でした。不景気は食べ放題にも影響していると思います。

「店評価ブログ」を更新しています

友里掲示板などによるアンチの方からのご指摘や批判には慣れっこの私でありますが、時々がっかりすることがあります。
自称でありますが衝撃的なデビューから7年近く、私は自分の舌が素晴らしい、料理関係の知識や経験が豊富であると言った記憶はありません。ワインに関しては多少の自信がありますが、知識や経験はないよりあった方がいいですが(ほとんどないのはダメだと思います)、金科玉条のようなものではないと思っております。
そんな友里に対して、「友里の舌はそこまで正確なのか、味覚は人それぞれ違うし・・・」と絡んでこられる方が未だいらっしゃるのに驚いたのです。

私は山本益博氏や犬養裕美子氏、来栖けい氏などの批判をしていますが、その前に彼らの著書や記事にはしっかり目を通しています。
件のアンチの方にはせめて近著である「グルメの嘘」(新潮新書)に目を通してから書き込んでいただきたかった。(このブログでも何回も書いていますけど)
私は、自分は一般客目線だ、料理に対する嗜好は人それぞれ、よって自分と似た嗜好の人の感想を参考にすればよい、としつこく書いているのです。この部分だけ読んだだけでも、上述のような的外れな指摘は出来なかったはずです。

アンチの多さも人気のうち、と言われますからある意味では有り難いのですが、孤軍奮闘の貴乃花のように今のグルメ業界(この表現は好きではないのですけど)の「改革」を勝手に目論んでいる友里としましては、もっと論理的に根本的な問題点での議論をしていきたい。

なぜ店側スタンス(癒着を含めて)で店評価しなければならないのか、なぜ料理人との仲の良さを自慢したがるのか。
料理評論家ではなく料理人成功話の伝道者ではないか、ライターではなく店や料理人の広報担当ではないか。評論家やジャーナリストと名乗っていながら、なぜその対象者に有償でコンサルタントをするのか。
この友里7年の問題提起に、未だにまともに答えた料理評論家やジャーナリスト、ライターは存在しません。自分の担当記事で、名指しはせず当てこすりの批判をしていた人はいましたけど。

私はマスコミ関係者に、彼ら料理評論家やレストラン・ジャーナリスト、フード・ライターと座談会をさせてくれと頼み続けていますが一向に実現する気配がありません。
アンチの方がたも、自分で掲示板に書き込んで論破を狙うより、彼らヨイショ陣(料理評論家やライターたち)に友里糾弾を任せた方が友里抹消の早道ではないか。
アンチの方々には、今年こそヨイショ陣vs友里のディベートの場が作られるよう後押しをお願いしたいと思います。

さて「店評価ブログ」に白金のビストロ「ルカンケ」と恵比寿の和食「食彩 かどた」をアップしています。
お立ち寄り下さい。

初めての香港 その2 滿福樓

有楽町西武閉店やエル・ブジ閉店と大きなネタが急に舞い込んだため、シリーズ化しようと思っていた「香港ネタ」をアップするのを忘れておりました。
何人かの読者の方から「どうしたんだ」とのお叱りと催促がありましたので、本日は友里征耶の人生最初の香港料理店訪問記です。

香港島か九龍か迷った宿泊先ですが、知人達のホテルに近いと言うことで九龍サイドのホテルを予約。到着歓迎ではないですが、先に到着していた知人達とホテルのバーで「ウエルカムシャンパン」を楽しんだあと解散し、一人でルネッサンス ハーバー ヴュー ホテル内の「滿福樓」へ向かいました。
まずは地下鉄を利用しようとしましたが、「その1」でも書きました理由で断念。例え地下鉄駅へたどり着けたとしても、肝心の「最寄り駅名」と「ホテル名」を忘れていたので行くことは不可能でありました。
ホテルのドアマンに店名を告げて遠回りされたタクシーでギリギリに到着したのですが、ホテル内のどこに店があるのかよくわからず遅刻してしまったのは、事前勉強を怠ったためであります。

さて、店であらかじめ「オススメコース」を考えて貰っていたものに、若干の修正をお願いして(私はわからないので従っただけ)食事がスタートしました。
ミシュラン香港版では星がついていないタダの掲載店でありますが、初めての香港料理、期待した以上に美味しゅうございました。
天童よしみ似のマネージャーの対応も悪くなく、いつもは合わせないシャンパーニュや白ワインで広東料理を堪能したのです。

ピータンは香港の良さがわかりませんでしたが、子豚の叉焼ははさすが本場ものか美味しい。フカヒレ(高湯仕立て)も濃厚でありましたが、「魔法の粉」の存在を感じません。
最近食べた記憶がない魚の蒸し物(ハタの一種で香港では高級魚だそうですが名前失念)は、ちょっと見、生の状態はグロテスクでしたがこれまた美味しかった。
その他にも貝柱やケール、百合根の塩炒め、生鮑料理などそれほど高級料理ではありませんでしたが、それなりに美味しくいただいたのです。

初訪問からの高揚感も後押ししたのか、広東料理なんて日本では滅多に食べないのですが、偉そうに言わせていただくとあらためて見直してしまった。さすが「4000年」の歴史ある国の料理ではないかと。?

ポッと出のライターたち(友里も)が、食べるもの片っ端から「まったり」、「美味いのなんのって」、「ありえなーい」と絶叫するのと同じパターンかもしれません。
しかもワインを持ち込んだとはいえ(持ち込み代はタダ)支払いが邦貨換算で1万数千円でしたから驚きです。東京の大箱広東料理店は高過ぎではないか。

以前私が相談受けた銀座の「飛雁閣」、香港出身の厨師と聞いていますがまったく食後感が違いました。料理人を交替させるのが集客力向上の特効薬だと痛感した次第です。

(つづく)