友里征耶の週間食日記 14

昨晩久々に交詢ビルのレストランフロア(4階)を巡回してきました。相変わらず人通りがなく、京都のバー?が出している自称京料理店では、女性スタッフが入り口に仁王立ちしておりました。客はその時間帯わずか1名。

六覚燈も外から見えるカウンターは客ゼロ。よねむら、かつぜんも外から見る限り厳しそう。そして私が驚いたのは博多の高額居酒屋「たらふくまんま」の閉店です。なんと7月2日付けで営業を終了しておりました。
客単価2万円超の店で、今時喫煙可と愛煙家には使い勝手の良い店でしたが、立地の悪さに加えてこの不景気が効いたのでしょうか。私の何回かの訪問のときは結構客が入っていましたから、閉店するとしたら他の店が先だと思っていただけに意外でありました。

銀座の他の再開発ビル(たとえばニッタビルとかベルビア)の店も厳しいはず。再開発ビルへの出店というビジネスモデルが成り立たないのは、アークヒルズや六本木ヒルズなどでとっくに立証済みのはずですが、世には懲りない人たちが多いようです。
先日あるフレンチのシェフから聞いた話しです。彼も熱心に銀座のある再開発ビルへの出店を口説かれたそうですが、

出さなくて良かった

と言っておりました。仲介業者(不動産会社)からは

貴方は選ばれたのです

とプライドくすぐる誘いをしてくるそうですが、撤退するときの違約金が半端ではない。客が来なくて赤字を垂れ流しても違約金が高すぎて撤退できない。こんなビジネスにひっかかることにないよう、市井の飲食店経営者、オーナーシェフは気をつけて下さい。

店評価ブログに、西麻布の鮨屋「野じま」をアップしております。ぜひお立ち寄り下さい。

さて週間食日記です。

月曜日
昼:銀座三越の和食店
夜:下北沢の鮨屋
予想していたとはいえ、5000円の和食はひどかった。運悪く訪問してしまった人、これが京料理と落胆してはいけません。まともな京料理はちゃんと現地に存在しております。
夜はオススメ本の確認。私の行動範囲からはちょっとはずれておりますが、食後感は良かったです。

火曜日
昼:新橋の立ち食い蕎麦
夜:南青山のイタリアン
昼に少しでも食べておこうと立ち食いへ。それなりの食後感でありました。
夜は久々に地下にあるイタリアンへ。オススメ本の確認です。客は少なかったけど、定番料理は美味しかった。

水曜日
夜:築地の天麩羅屋
赤坂の天麩羅屋にいたという人の独立店。ソムリエールがいるのがウリのようです。
日本酒よりワインの方が充実。しかも値付けがかなり安い。プレステージシャンパーニュを思わず頼んでしまいました。
肝心の天麩羅ですが、現時点では修業先より上に感じました。というか修業先が落ちただけなのかもしれません。

木曜日
昼:銀座ホテルの鮨屋
夜:広尾のソーセージ専門イタリアン
歌舞伎役者がオーナー(プロデュースだけ?)の鮨屋。ミシュラン1つ星です。本店より良いとは思いますが、赤坂店よりは食後感が落ちました。結構空いております。
夜はサルシッチャを前面に出すイタリアン。ランチのCPが良かったので夜を試したのですが、頼んだ料理が悪かったのか期待ほどのものを感じなかった。再訪が必要です。

金曜日
昼:銀座の生パスタ屋
夜:東麻布のフレンチ
コリドー街を歩いていて偶然見つけた店。ウリのカルボナーラを食べました。今までの人生で、食べた記憶がないカルボナーラでありましたが、想像していたものより濃厚でありました。
夜は小さなフレンチへ。週末だからかほとんど満席でした。オススメ本の確認でしたがCP含めて満足しました。

土曜日
夜:麻布十番の鮪・牛肉をウリにしている和食屋
10500円コースで多皿料理ではありますが、CPは悪くない。ほぼ満席でした。オススメです。

日曜日
昼:麻布十番のパスタ屋
夜:麻布十番の韓国料理
野菜をウリにしている店のパスタバージョン店。初回の訪問ではオイルと茹で汁がエマルジョン化しておらずダメ出しでしたが、今回は悪くなかったです。
夜は再度確認の訪問、相変わらず満席です。万人受けする味の濃さは添加物の投入だと思いますが、支払い額を考えると悪くはありませんでした。

めしとも11月号 発売中

ついに対ドルで80円突破も見えてきてしまいました。80円台に突入したというのに、日本政府は追加の為替介入をしないのか。最初の2兆円投入は何だったのでしょうか。
それこそ「柳腰」で円高対策でもするべきと考えます。(友里は原則為替放置が持論です)

昨日は嬉しいニュースもありました。チリの落盤事故、無事全員が救出されたのは喜ばしいことでありますが、救出された人々を見て私は不思議に思ったことがあります。
髭は剃っていたのかもしれませんが、みんな

髪の毛がサラサラ

なんですね。地中に2ヶ月閉じ込められていたのですから、体や髪は汗と汚れでグチャグチャだと思っていたのですが意外でありました。救出前、地中で風呂に入っていたのでしょうか。不思議です。

さて本日は「月刊めしとも 11月号」の発売日です。
メインの特集は「丼 100杯」。天丼、鉄火丼、海鮮丼、うな丼など丼がウリのお店を紹介しております。
過多のカロリー摂取を恐れる友里、滅多に丼物は食べないのですが、写真を見ていて食べたくなってしまいました。
ぜひ、ご購入の上チェックしてみて下さい。

さて恒例の有名・無名ライターウオッチングです。

まずはボクちゃん一番のプライドだけ高いJ.C.オカザワ。
ざっと見たところ今回の彼の出番は2ヶ所だけか。ゴージャス丼(38、39ページ)といつ打ち切られるかわからない連載「B級グルメ 男の作法」(70ページ)であります。
わずか3ページですから角川マーケティングからの来月の振り込み額はしれております。収入は角川頼りでありますから、年末近いというのに「せんべろ」や居酒屋以外の訪問は無理でしょう。
しかしこの「B級グルメ 男の作法」、今回は

ホッピー

の作法だとか。しかし中身のない文をグダグダ書いて、結論は白、黒、赤の3種あるホッピーを飲み比べろ、ですから呆れます。副題に

誰も教えてくれなかった

とありますが、こんなの教えてくれなくても結構と思う人は友里だけではないでしょう。まだ3回目にしてこのネタ不足での文字数稼ぎ、早晩打ち切りは確実か。来年は読めなくなるかもしれませんので、今のうちにぜひご覧下さい。

15年「世界一ソムリエ」を引っ張っている田崎真也氏の今回の「せんべろ」紹介は門仲の「大阪屋」。モツ煮込みがウリの店とのことであります。
しかし田崎氏にオカザワ、完全に担当ジャンルが被っております。ソムリエ協会副会長やワイン雑誌のオーナー、そしてタレントとしての忙しさがなければ、オカザワの仕事は田崎氏一人で充分か。知名度がはるかに違いますから、オカザワにとって田崎氏は大きな脅威であります。

王様・来栖けい氏の「おめがねレシピ」(95ページ)はなんと、昔TV番組で優勝したという「卵かけご飯」を登場させてきました。一粒で二度美味しいといいますか、同じネタで何回も稼げるビジネスモデルに脱帽です。

そして友里征耶の出番も2つだけ。読者に好評と言われている(ホントかよ?)「男と女の新レストラン」(96、97ページ)では

ビストロQ

を担当しております。「ahill」の雇われ料理人であった山下九氏の独立店と言われている赤坂の僻地の店。果たして女性を連れて行って成果が上がる店だったのか。結果はわかってしまう紹介になってしまいましたが、ぜひお読みください。

連載の「真・江戸前鮨入門」(93ページ)では、世界一小さい3つ星店(「小十」ではないんですね奥田さん、ご免なさい)の「鮨 さいとう」を取り上げております。

最近の訪問で、オカザワが泣いて喜ぶ「蟹」を食べている意味深カップルを目撃してしまいました。更に「海鮮度」が増したようにも感じますが、バランスのとれたツマミと握りを出す店です。

「月刊めしとも」、ぜひご購入の上(関東以外の方はアマゾンで)お楽しみ下さい。

友里征耶のワイン談義 3 ワイン会の参加費について2

今朝の段階ではありますが、円高が順調に進んでいるようです。81円台での値固めがされているように感じるのですが、政府の為替介入はもうないのでしょうか。こんな尻切れトンボで終わるなら、前回までの介入がまったく無駄となってしまうでしょう。

さて一昨日のブログで取り上げたワイン会の参加費の件。ワイン会主催者の儲けが目立つのはいかがなものかとの問題提起でありましたが、友里掲示板にはなんと

購入価格の7割で参加者に還元している

という太っ腹のワイン会主催者の書き込みがありました。使用されているHNを見る限り、ワイン会業界(こんな業界があるのか?)では有名な方だと推測します。

http://tomosato.net/test/read.cgi/bbs/1286420541/93

道楽とは言えここまでの持ち出し(赤字)、ワイン会好きには神様みたいな人でしょうか。ただし、相場より高く買っていないという条件付きではありますけど。

さて本日私が取り上げるワイン会主催者は、ワイン経歴はそれほど長いとは思えないのですが、驚くべき主催数(月に20回近くやっている)でワイン会のビジネス化を目論んでいる方であります。

http://www2.odn.ne.jp/~cdj80950/

一目見ただけで商業ワイン会だとわかるのですが、昔はこれを本業としていないサラリーマンだったと聞いている主催者。当時は支払額に見合った内容のワインを提供されていて活況だったそうですが、ビジネス化の影響か、かなり参加感(CP)が落ちてきたと元参加者から漏れ聞きました。
しかしビッシリ企画されたスケジュールを見ると驚くばかりであります。

http://www2.odn.ne.jp/~cdj80950/semi/index.htm

回の数の多さも驚きでありますが、開催する店が半端なところではありません。予約が困難とされている「小十」、「湯島121」、「カ・セント」、「もめん」、「鮨さいとう」、「アニュ」のほか、あの「カンテサンス」でもワイン会をやってしまうようです。
店主やシェフの心を掴み、予約の別ルートを築いているのでしょうが、その努力には頭が下がる割に、不景気ながら結構満席になっていない企画があると言うのです。
なかでも象徴的な企画を取り上げてみましょう。

http://www2.odn.ne.jp/~cdj80950/semi/20101219.html

私がまずこの会に注目したのは目玉ワイン(この会は目玉以外のワインはたいしたものが出ないそうです)の85年のリシュブール(アンリ・ジャイエ)であります。

ブルータスはじめアホなマスコミが「ブルゴーニュの神様」とか「カリスマドメーヌ」とか煽ったからか、それまでは一部の愛好者に熱狂的に支持されていたアンリ・ジャイエ、この煽りを切っ掛けに値が跳ね上がり市場やレストランからも姿を消してしまいました。

トップキュヴェながら美味しいかどうかは別にして、このリシュブール、ロマネコンティより生産本数が少ないこともあって価格も存在も現在は幻化しております。特に85年はジャイエの中でも当たり年の一つであり、まずは友里

85年のリシュブールを出すのか

と驚いたのです。
ミーハーな友里、人気で希少となる前に結構ジャイエのワインを買い漁っておりまして、隠れたジャイエコレクターとして自信を持っておりました。もちろんこのワインも1本だけですが持っておりますが、もう二度と手に入れられないとセコく考えてしまって、飲む気が起こらずスルズルと2010年までになってしまった。飲み頃を逸した可能性のあるワインでありますが、募集している参加費を見て私は腰を抜かしたのです。なんと

105,000円(10名)

もするではないですか。説明では

時価100万円を超えるワイン

とあります。確かに現在手に入れようとすると本物かどうかは別にして時価は100万円かそれ以上かかるかもしれません。でもこのワイン、主催者は本当に100万円前後で購入したというのでしょうか。
株式会社化したとはいえ、大手グランメゾンでも100万円のワインをそうは簡単に購入できないでしょう。
しかもこの品薄ワイン、最近購入(つまり100万円前後)しようとしたら

ショップやマーチャントからではなくオークション

でなければ無理ではないか。名前が通っているオークション(クリスティーズとかシカゴとか)では絶滅しているはずで、個人出品に近い形での購入であると推測します。(あくまで100万円近くで本当に購入したとして)
嫌味になるかもしれませんが、友里の85年のリシュブール(アンリ・ジャイエ)の購入値は71,000円。10数年前はこんなレベルだったのです。

主催者当人は?

まだまだ若い

と推測しているようですが、ジャイエコレクターとして言わせていただくと

ジャイエのワインは長熟ではない

ギイ・アカの提唱する低温浸漬など当時としては斬新な醸造方法にチャレンジしたアンリ・ジャイエ。決して昔の造りではないだけに、飲み頃(誰でも美味しく感じる時期)は10年から15年くらいか。
ジャイエのワインの中では、この一番格が高いリシュブールではなく80年と85年の「エシェゾー」が最高傑作と言われていることがあるのですが、私が何回か試した結果は(85年)

10年後に飲んだものが一番美味しく感じた

であります。古酒好きの私でも熟成には疑問に思うジャイエワイン。25年経ってしまった100万円の時価のワイン(しかも個人出品からの購入の可能性大)をそのまま純粋無垢な参加者に

完全割り勘

で提供するにはリスクがありすぎるのではないか。
それこそ冒頭に紹介した方のように、サービス品として出血して提供するべきものであると私は考えるのです。(本当に100万円前後で購入しているという前提で)

ビジネとしてのワイン会であったとしても、参加者に「お得感」を与え続けなければ参加者は減ることはあっても増えることはないでしょう。
本来このようなリスクのあるレアワインは、日頃のご贔屓の感謝の気持ちとして「お得感」を前面に打ち出すものではないかと考えた次第です。

掲示板の書き込みにもありましたが、

ワイン会を生業にして生きていくのは大変

は私も同感。素人で採算をあまり考えていなかった時だからこその人気であって、本業を投げ打ってこれで食べていくための価格設定にしてしまったら、継続は苦しくなるのではないか。
最近はワインの目玉より予約が取りにくい店での開催を目玉としている傾向もあるようですが、これまた人の好みは移りやすいといいますから、次から次へと店開拓&蜜月関係の構築を続けていかなければなりません。

ワインショップやレストランのワイン会も本業の宣伝(集客)が主目的のはず。採算を度外視する素人のワイン会も多いですから、

営利を目的としたワイン会ビジネスモデルの将来は大変厳しい

と私は推測します。
本日のブログ対象は、あくまで商業ベースに基づいたワイン会に対してでありまして、個人主催のワイン会を問題にしているのではありません。