日本が大きく転換してしまうのか?

昨日、自衛隊のヘリと特殊消防車で計60トンの水が主に3号機の炉へ投下・放水されたようです。残念ながら警視庁の高圧放水車の水は炉に届かなかったとか。
被爆という危険を承知の上、最前線で頑張られた自衛隊の方々に頭が下がるばかりでありますが、ここでは冷静に結果を見てみたいと思います。

水蒸気が上がったので冷却に一定の効果があった

と東電は発表しました。確かに30トン(ヘリと消防車でそれぞれ30トン)と聞きますと、とてつもない量の水のように感じる方もいらっしゃるでしょう。でも私は知人に

30トンは家庭のバスタブ60個分くらいだ

と話して驚かれてしまいました。
10センチ立方の水(縦・横・高さが10センチ)は1リットルでありまして、重さはだいたい1キログラム。よって1トン(1000キログラム)はその1000倍であります。
小学生高学年か中学生のレベルだと思いますが、立方体の容量(ひいては重量)は一辺の長さの三乗に比例しますので、1000倍は一辺を10倍にした容量です。つまり1トンの水は

縦・横・高さが1メートルの立方体

となるのです。家庭のバスタブには大小がありますが、イメージ的にはこの半分くらいの容量ではないか。よって私は

バスタブ60個分

と言ってしまったのであります。
ヘリの水投下を見るとかなり分散されてしまっております。3号機の炉にどれほどの水が届いたか。消防車の水がすべて入ったとしても、30トンと言いますと30立米ありますから、

一辺の長さが3メーターチョイの立方体の水(3x3x3=27立米)

でしかないのです。
30トンという数字とは違い、非常に小さい容量であることがわかります。
私は使用済み燃料の貯蔵プールの容量を知りませんので軽はずみなことは断言できませんが、何百本もの燃料棒を浸しているプールが3メーター四方レベルであるとは思えないのです。もっともっと大きいのではないか。

プールに全量が届いているとは限らず、しかもそのプールの容量を東電や政府は開示せず、しかも放水は1日で3メーター四方の水だけ。
命をかけた自衛隊員の皆さんの努力の割には、その効果は非常に限定的ではないかと私は考えます。ただし、やらないよりはやった方が良いのは当たり前。
投下や放水に加えて、さらなる効果的な冷却方法を与野党、殺・親小沢、右左の枠を超えて、全英知を結集して考えていただきたいものです。

昨日中に完成予定だった系統から引き込んでの電源確保。放水を優先したので完成は今日にずれ込むようです。
決して不安を煽るわけではありませんが、電源が復活しても、天井が吹っ飛んだ3号炉内の非常用冷却装置が果たして稼働するのか。
このリスクも考え、次の二の矢、三の矢を考えておかなければならないと思います。

3/16のブログで、東電管内の発電量の不足が今後も長期間続く可能性が高いと書きました。
警視庁の放水車の水が炉内に届かなかったのは、放射線量が高くて近寄れなかったと聞いております。つまり、かなりの放射線が今なお炉外へ漏れているということであります。
20キロ圏内にある第二福島原発もおそらく運転再開はもう難しい。柏崎刈羽の7基全稼働も難しいのではないか。建設中の原発も一時凍結と発表されました。休止中の火力を立ち上げても、不足分をカバーするのは厳しい可能性があり、しかも数週間で休止していた火力発電所をフル稼働できる状態に持って行くことも不可能。?

計画停電は少なくとも数ヶ月、もしかしたら年単位で実施せざるを得ない可能性があるのです。

現在関西地方へ出張しているのですが、こちらは電力不足ではありません。
中部電力、関電、中国電力、四電、九電の電気を回してもらえばよいと考える方もいらっしゃいますが、東と西では周波数が50ヘルツ、60ヘルツと異なります。そのまま流し込むことは出来ず、周波数変換をしなければならないのですが、この変換器の容量が少ないことから、西からの買電は限界があるようです。

だいたい1つの国で、周波数が異なるのは世界に例がないのではないか。発電機の導入が東と西で分かれてしまった(欧米と別々)ことが原因ですが、電力会社間の覇権争いが災いしたのか、周波数統一はされないまま。コストの無駄だけではなく、今回のようなリスク低減という大問題も先送りされたままでありました。?

自力で電力をまかなうことは難しく、余所から買ってくることも難しい東電管内。通勤機関だけではなく工場などの操業も長期間停滞することは必須であります。
不安を煽るわけではありませんが、現在の対応で必死なのか、この先の展望や対策を政府や大マスコミが発信しない不思議。
欧米各国では原発の見直しが検討されているとか。下手すると中京以西の原発の稼働も問題視されることになるかもしれません。友里掲示板では

西日本は生産設備が毀損されてないから全国への供給は大丈夫

との書き込みがありましたが、その西日本の関係会社の工場を私は昨日確認して参りました。?

この4月までの原材料や部品の納入は確保したが、それ以降はめどが立たない

といった生産設備(早い話が工場)があるのです。
生産設備(工場)は自衛隊のように自己完結な組織ではありません。設備が毀損されていなくても、原材料や部品の供給を東日本に頼っていたら、機能停止の可能性もあるのです。

未曾有の危機と言ってしまうと不安を煽ると怒られるかもしれませんが、日本国民はかなりの長期間

相当な覚悟を決めて生活しなければならない

と私は考えるのです。しかもそれは、福島第一原発の事故が早急に収束したとしての前提であります。

親も殺も関係ない。勿論与野党の枠も関係ない。御用学者や佐藤尚之氏といった自己陶酔・楽観主義の人の意見ばかりを聞くのではなく、本当のことを言ってしまう人たちを巻き込んでこの国難を乗り越える英断を、菅さんはじめ現政府に望むばかりであります。

体面やセクト主義を捨て、そして己を捨てて国民のためだけを考えろ

と望むのは友里だけではないでしょう。

佐藤尚之氏(さとなお)が電通退社!

自他共に株下手と認められる友里が言うのもなんですが、昨日の掲示板でもちょっと書いた株の話、本日の株式市場はかなり下落するのではないか。
昨日の市場は買い気配で始まりました。終値もかなり上昇しました。でもこれは前日までに空売りした大手機関が「利確」のための買い戻しを入れたのを底打ったと勘違いした個人投資家が飛びついてしまった結果ではないか。ここで飛びついてはいけないとしましたが、珍しく私の株予想は当たるのではないでしょうか。

80円をはるかに切る円高ドル安に加え、NYダウの200ドル以上の急落。どう考えても本日の株式市場は厳しい始まりとなるでしょう。
出来れば日経先物を売りたかったのですが、信用取引や先物取引を封印しているだけに(本当は保証金を積む余力がない)、手をこまねいて見守るだけでした。

それでは連日の原発問題です。昨日は時間当たり1ミリシーベルトを超えてしまった(原発正面辺り)との報道がありました。アメリカも自国民に50キロ以上離れろとの警告を出したようです。
不安を煽るわけではないですが、放射能の人体的な影響の有無は別にして、原発事故という事態はかなり深刻になっていると思います。株の予想と同じく、私の原発への懸念も外れてほしいのですが現状は厳しい。

菅さんも日本国のトップなのですから、仮定(福島第一が最悪の事態になった場合)とはいえ

?東日本が潰れるかもしれない

なんて発言は控えてもらいたかった。また側近だか政府高官だか知りませんが、そんな話をマスコミに自慢げに話してもらいたくない。それこそ世の不安を煽るだけではないか。

新聞社やTVもいい加減にジャーナリズムを取り戻し、真相究明に努力したらどうなのか。せめて政府発表の矛盾点をついたらどうなのか。
報道では4号機だけではなく、3号機の燃料一時貯蔵プールの冷却にも高圧放水車を投入するとあります。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110316-OYT1T00789.htm?from=main1

ちょっと待って。停止していた4号機の貯蔵プールに使用済みの燃料棒があるのは理解できますが、稼働中だった3号機の建屋にも使用済みの燃料棒があったのか。
そうなると、建屋が吹き飛んだ1号機や2号機(稼働中だった)のプールにも使用済み燃料棒があった可能性があるのではないか。
写真を見る限り上部が完全に吹き飛んでいますから、使用済み燃料棒の有る無しに関わらず、貯蔵プールはすでに吹き飛んでいると思うのは友里だけでしょうか。
この点を疑問視するマスコミ関係者、TV解説者が皆無なのが私には理解できません。

政府、東電、東芝、IHI含め関係の方々の全力対応により、これ以上の被害が広がらない事態収拾を信じておりますが、せめて大マスコミは本来の責務である真相究明に関して、この原発問題で一度くらい本気になってもらいたいものです。

自身の危険をかえりみず、果敢に現場で対応されている東電関係者、自衛隊、警察関係者の方々には頭が下がるばかりであります。菅さんの最悪予測がはずれることを祈っております。

さてこの震災対応なのか、「さなメモ」では佐藤尚之氏(さとなお)が「震災ボランティア連携室」のスタッフに加わるとの発表がありました。

http://www.satonao.com/archives/2011/03/post_3159.html

自己陶酔、売名といった動機を友里はこの際問いません。少しでも震災復旧・復興に己を殺して役立っていただきたいと思います。

このボランティア参加がきっかけではないと思いますが、佐藤尚之氏が今月で電通を退社するとの情報が入りました。
彼は自覚がないようですが、彼の知名度の根源だった電通内でかなり浮いていたのは事実。決して好まれた人物ではなく人望もなかったようで、今回の独立劇も電通内では冷ややかに見られているそうです。
過去に電通を退社してよりビッグ(古い)になった人はいますが、50前後と遅きに逸した感もある今回の退社。
独立してから己の背中にあった看板(勤務先の威光)の大きさを思い知った人が多いのは歴史が証明しています。
ボランティアでは食べていけませんから、電通勤務時代には殺到していた講演などでやっていけると踏んでの退社と言われているようですが、果たして電通の看板なく

元電通

という肩書きだけでこの未曾有の不景気の中通用するのか。
この大震災を想定していなかった独立劇なだけに、友里掲示板のナハハ氏(すでに賞味期限切れか)と共に今後をウオッチしていきたいと思います。

飲食店の現状を実感

株価が当然ながら暴落しております。友里の生活の根幹を維持する本業の会社も、この2日間でかなりの含み益を失ってしまいました。もしかしたら含み損に変わっているかもしれません。もともと売る気のない株ですからいくら下がっても構わないのですが、気分的にはあまりよくありません。
問題なのは個人所有の株。銀行株が主体ですが、利益が吹き飛んだどころかかなりの含み損失となっております。どこまで下がるかわからず、ナンピンをうつことが出来ないのがもどかしい。

今回の暴落で下落が顕著なのが、原発トラブルの当事者と言われている東電と東芝。2日連続でストップ安です。
ここからが不思議なのですが、IHIはそれほど下がっていないんですね。こんなことを書くと怒られるかもしれませんが、元請けは東芝ですが、原子炉の詳細設計や製造、建設は東芝ではなくIHIが担当のはずと記憶しております。
電力→東芝→IHIが原子炉の発注経路であると思うのですが、私の記憶は間違っているのでしょうか。原子炉に関して言えば、東芝は平たく言って元請けでエンジニアリングをしているだけだと思っておりました。

さて、連日政府の発表に疑問を呈しておりますが、決して不安を煽るものではありません。ただ、ちょっとだけ一般より知識があり、元は機械エンジニアだけに、持ち前の検証精神から疑問を飲み込むことが出来ないのです。

盛んに菅さんや枝野さん、そして原子力安全・保安院は海水を第1号機、第2号機、第3号機に注入しつづけていると言っておりますが、どこへ注入しているのか。
燃料棒がむき出しだ、海水に浸った、とか発表しておりますから、私はてっきり

圧力容器に直接送り込んで燃料棒を浸水させている

と思っておりました。外部から海水を注入するのは極めて異例でありますから、そのようなライン(注入する管路)が存在していたのか疑問でありますけど、そう信じていた。
でもその海水を送るポンプが、消火系のポンプと聞いて驚いたのです。消火は液体(水とは限りません)を撒布するのが目的ですから、消化ポンプは

低ヘッド大容量

に近いタイプではないか。つまり同じ大きさのポンプで比較したら、吐出圧力より吐出量を優先しているはず。大気圧である空中に撒くにはそれほどの圧力を必要としないからです。そんな散布用のポンプで、ある程度圧力をもっている容器の中へ海水を注入出来るとは思えません。

あくまで友里の想像ですが、圧力容器を囲った格納容器の上から海水をかけているだけではないかと思ってしまうのです。
いくらか冷やすことは出来るでしょうが、これでは直接圧力容器に海水が入ることは考えにくく、海水を注入し続けても燃料棒が露出を続ける理由がこれで説明できるのですが、真実は私の推測ではないことを祈るばかりであります。

原子力安全・保安院の人、ヅラハンターである友里が思わず突っ込みたくなる人ですが、彼の知識もプアで見ていてもどかしい。例えば未明の記者会見での記者とのやりとり

記者:注入した海水はどうなっているのでしょうか
保安院:通常海水は、蒸気を冷やして多少温度が上がりますがそのまま海へ返されます

おいおい、本気で言っているのか。それともわざとボカしたのか。記者もなぜそれ以上突っ込まないのだ。

保安院の説明は、発電機に直結している蒸気タービンへ送り込んだ蒸気(原子炉で発生されます)を冷やして水に戻して再び原子炉へ送り込むため、コンデンサー(復水器)内で非接触で熱交換させる海水のことに話を変えているのです。
確かにこの通常ルーチンでは、温度が多少上がりますが海水は蒸気と直接接触していないので(海水は複数の細管を通っている)放射能に汚染されておりません。

でも非常事態で今注入している海水は、これじゃないんですね。直接注入か、容器の上から撒いているだけかははっきりしませんが、燃料棒の加熱で発生した蒸気と

直接接触した

海水なのであります。燃料棒を浸からしたとしたら、燃料棒と直接接触した海水であります。
連続的に海水を注入し続けておりますが、

質量不変の法則

によりまして、注入した海水がそのまま消滅することはあり得ません。つまり注入した分だけ、海水は原子炉周辺にたまり続けるはず。
水蒸気になろうが、海水のままであろうが、注入し続ける限り、どこかへ逃がさなければならないのです。

もうおわかりでしょう。燃料棒や水蒸気と直接接触した海水は、蒸気となって外気へ拡散され続けるか、海水のままでも原子炉近くの地面か海、もしくはどこかの排水路へ垂れ流し続けなければ

海水を注入し続ける

ことは出来ないのです。
ギャランティもらってTV解説している学者さんたちが、この件に関してまったく指摘しない不思議。彼らは

質量不変の法則

という根本的な物理法則を知らないのでしょうか。

さて昨日、予約していた店(客単価5000円未満の韓国家庭料理店)へ行ってきました。キャンセルするのが嫌だったからですが、なんと店内は最後まで

?その他の客ゼロ

でありました。スタッフの話では今週はキャンセルばかりだとか。計画停電や交通規制が心配で

外食などしていられるか

といった客心理だと思いますが、この現状は4月末に解決できるとは思えません。

福島第一原発の問題で恐らく第二福島原発も20キロ圏内に入っていますから操業は無理。
この2つの発電所には10基の発電ユニットがあります。その総発電量は、900万KWになります。この発電量が少なくともこの先数年は期待できないのではないか。

残りの東電の原子力は柏崎の7基だけと記憶しております。総計で820万KW程度。東電管内では4000万KW前後の電力量が必要なはずですから、のこりは火力と水力、そして他の電力会社からの買電で賄わなければならないのですが、今の状態でカバー出来るとは思えません。
原価率の低い(燃料代を含む発電単価が安い)原子力発電に傾注してしまい、多くの火力を止めてしまっていたからです。
自動車と違って大きなプラントは直ぐさま起動できません。ある程度の点検期間が必要でしょうし、すべてを操業できる状態へもっていけるかどうか。

電力発電状況が震災以前の状態に戻ることは当分ないでしょうから、飲食店の厳しい時代はこれからが本番と考えます。

日本経済の展望も、先が見えるとは言えないかもしれません。