謹賀新年

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

友里征耶として新年のご挨拶をするのは今年で9回目となります。デビュー当時ほどではないですが、相変わらず批判、バッシング、個人情報暴露の攻撃を受け続けている身で、よくまあ10年近くこの副稼業を続けてこられたなとある意味感心しております。
これも、アンチを含めて皆様のお陰とあらためて感謝申し上げる次第であります。

新年にあたり昨年の元旦ブログを読み返してみました。2011年は 

ソースなし&低温ローストの店が曲がり角となる

と予想したのですが、結果はどうだったでしょうか。グラナダからの独立はありましたが、カンテサンスは連日満席を保っているようですし、関西のハジメなども元気でやっているようです。友里の予想ははずれてしまったのでしょうか。
いやその兆候はすでに出ているのではないか。負け惜しみではないですが、少しずつ店(特にフレンチ)で

ソースなし&低温ロースト

が影をひそめてきたのではないでしょうか。以前友里は、これからは

郷土色を打ち出した料理やビストロ系

に移行するのではないかと書いた記憶があります。フランスはパリのネオビストロブームを挙げるまでもなく、食材の再構築によるサプライズや低温ローストは下火になってきているのではないでしょうか。
ビストロだけではなく今年いくつか訪問した3つ星、アストランスを除いて皆

立派なソース

がついておりましたし、火入れも生焼け(低温ロースト)ではなかった。先日はアランシャペル直弟子の店(フランスではない)に初めて行きましたが、ソースは健在でありました。
こう言っては怒られるかもしれませんが、関西のフレンチやイタリアンの新店ではまだ低温ローストやソースなしに拘っているようですが、東京ではもうそんな感じではないのかと・・・

あの予約困難と言われたカンテサンスも、常連にリピートの営業を掛けているとの噂も聞きました。友里にも言えることですが

盛者必衰 諸行無常

経済に限らず右肩上がりそしてそのまま維持なんてあり得ないのであります。
拙著「グルメの嘘」(新潮社)にも書きましたが、30歳前後と若くして3つ星シェフに登り詰めてしまった料理人達、人生半分以上を残してその余生が大変だと考えます。

さてもう1つ、年が明けて必ず思うこと、それは、2009年に芝浦工業大学教授・古川修氏より提訴された「名誉毀損裁判」で、高裁逆転敗訴が確定したときのことであります。
勝訴確定が嬉しかったのでしょう(勿論友里は口惜しかったですけど)、古川教授は代理人を通してメディア関連(ママ)に友里の実名入りで以下のような内容を含んだコメントを送付したとブログで公開してきました。

このたびの判決を今後の評論活動の修正を示唆するものであるとして真摯に受け止め,社会ルールを勉強し直して再起を図られることを期待いたします。

原文のURLを以下に添付します。

 http://superlife.at.webry.info/200905/article_15.html

敗訴を機会に、友里征耶の活動抹殺を狙ったかのようなコメントであります。
しかし友里、

再起を図る

という文言に疑問を持ったのであります。再起を図るとは一度地に落ちた状態からのこと。
でも敗訴確定から今まで、古川さんと違ってヨイショや癒着といった「社会ルール」を身につけず、しっかり副業を維持してきております。友里の活動抹殺を目論んだメディア関連(ママ)へ送ったコメントは、まったく功を奏さなかったのではないでしょうか。
負け惜しみではないですが、

名誉毀損が確定してもどうってことなかった(あくまで古川氏との間のこと)

と書くと、またアンチから突っ込まれるでしょうか。
逆に古川教授自体の活動がかなり不活性(あくまでイメージですよ、アンチさんたち)になってしまったのではないか。
ブログは月に数回しか更新しなくなり、頻度が重要なツイッターもそれほどではないご様子。読者数や知名度、飲食店業界(特に高額店)の認知度もどんなものやら。古川教授の今後の埋没が逆に心配になってきている今日この頃であります。

とにかくこの1年いや少しでも長く、初心忘れずスタンス不変で、しかし顔バレすすむ中、友里征耶活動に邁進(あくまで副業として)していく所存であります。(古川さん、ご希望に添えずご免なさい)

皆様、今年もどうぞよろしく願い申し上げます。
そしてアンチの皆さんには、掲示板で友里が肝を冷やすような根本的問題を有する突っ込みをお待ち申し上げております。

こちらはあと1時間あまりで新年を迎えます。これから街中へ出てみることにします。

今年のワースト店

前日食べた「フォアグラ大根」と「牛ヒレのロッシーニ風」がいけなかったのか、胃の調子がイマイチで翌日の3つ星店ではアラカルト2皿が食べきれませんでした。
だいたいデギュスタシオンで、フォアグラ料理を2皿(しかもフォアグラの量が半端じゃない)も出すのはコース構成的に問題があるのではないか。
一応メインは鳩か牛ヒレから選択でありましたが、鳩が好きではない客はフォアグラ付きの牛ヒレを選ばざるを得ません。無理して食べて、翌日のディナーが台無しになってしまいました。

胃腸薬やヘパリーゼを飲み、朝昼と断食したのが功を奏して昨晩はおかげさまで回復。TGVと車で移動してホテルチェックイン後、まずは運河でボートに乗ってからビール店へ向かったのです。
予想はしておりましたが、数え切れないほどのビールの種類で何を頼んで良いのかわかりません。女性スタッフにオススメを聞きまして、クリスマスバージョンだという生ビールにしたのであります。以下の写真、向かって右から2つ目であります。

生ビール

お味は日本でいう「デュンケル」に近く、しかも後味に甘みを感じる濃厚なビールでありました。薄味のアサヒドライ好きなJ.C.オカザワだと飲みきれないかもしれません。
その後に地元料理店へ入り、名物というムール貝のほか

魚介のワーテルゾーイ(ブールブランソースをスープ状にしてその中に手長海老や白身魚、ジャガイモを入れたような煮込み)

なるものまでいただいてしまいました。友里、完全復調であります。

魚介のワーテルゾーイ

さて日本広しといえども友里征耶だけしかやっていないと自負する

今年訪問した店のワースト発表

であります。今年のワーストは誰もがガチガチ本命だと予想する立地の妙だけの超過大評価店、木に登ってしまったシェフの店であります。

☆アルケッチャーノ(山形・庄内)
京都の有名和食店の主人が訪問した際の感想

塩とオイルをチャチャッと振りかけただけの調理やで~

を人づてに聞いておりましたが、これほど素人料理に限りなく近い調理、もとい、シンプル調理の店だとは思いませんでした。
地産地消がウリでありますが、地元野菜(食材すべて)の質も良くなく量も少ない。しかもシンプル調理の要(塩とオイル)である塩も緩くて、我々は供された皿に塩を掛けまくっておりました。

イタリアンではなく奥田料理だ

と自信過剰のシェフでありますが、絶賛して彼を木に登らせてしまった人たちに私は言いたい。

貴方達はまともなイタリアン(いやまともな料理)を食べたことがあるのか。
この素人調理みたいな料理が本当に美味しいと思っているのか。

厨房だけではなくホールスタッフにまで、その誤った名声に惹かれて全国から若者が志願してくるそうです。そこで今年最後に友里はまた訴えたい。

こんな料理をイタリアン(美味しい料理)だと信じて修業を続けたら、その後の料理人人生を棒に振ってしまうぞ

と。若いとはいえ人生の貴重な時間を無駄にしてはいけません。
最後に読者が「食べ残し」と感じたわずか2片のカルパッチョ写真を貼り付けます。

クロダイのカルパッチョ(わずか2切れ)

そして今年最後を〆るのは、ワーストの番外編であります。ブログでは未公開でしたが、知り合いからどうしても書いてくれと頼まれたので店名などを書いちゃいます。アレンジしていただいた方には申し訳ないのですがご容赦のほどお願い申し上げます。

☆吉兆 嵐山本店
主人のドルジ(こぶへい)、もとい徳岡邦夫総料理長が不在と聞いて期待していたのですが、挨拶に出てきた嵐山本店料理長を見て友里は椅子から(座椅子ですけど)転げ落ちそうになったのです。見た目

30才前後にしかみえない

自称料理長であったからです。昨年の大政奉還(義父の徳岡孝二氏が完全引退)後、ベテランの料理人をみな排除してしまったのでしょうか。
若くても腕が良ければ文句はないのですが、如何にも自信なさげな応対は料理にそのまま反映されてしまったのであります。
立派な部屋に高価な器、そして船遊びさえもカバー出来ない料理の不完成度でありました。
これで初代から続く常連客が果たして通い続けるものなのか。マスコミ露出や店癒着ライターと手を結んでいるようですが、一見客や業界人相手の商売では前途は厳しいと私は考えます。

今年も大変お世話になりました。あらためて御礼申し上げます。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

よいお年をお迎えください。

友里征耶

今年の色々ベスト

いや-、欧州に来てまであの居酒屋料理を食べるとは思いませんでした。有栖川から神泉、そして六本木へ移った「小田島」名物料理

フォアグラ大根

がなんと、天下の3つ星フレンチで出てきてしまったのです。3つ星とったシェフになってからは初訪問だったので、デギュスタシオンコースを頼んだのですが、テーブルに置かれたその料理の説明が

フォアグラ ダイコン

と言うではないですか。フランスでは大根を「ダイコン」とそのまま発音するようです。
本当にあの「大根」なのかと口に含むと本当に大根なんですね。大根の上にかなり大きめのダックのフォアグラが2枚。スープ仕立てでありまして、コンソメスープと表記されていましたが味わいは紛れもなく日本の

フォアグラ大根

と大差ないものでありました。フォアグラの脂がかなり強く、ソテーではなく茹でていたので若干食感は違いましたけど。以下の写真をご覧ください。

フォアグラ大根

さて本日は誰もがやっている「ベストもの」であります。ただし、友里らしく真にベストと思った店だけではなく、「色々ベスト」も書いてみます。

☆今年一番緊張した店  鮨嘉瑞(すし かずい)
過去のブログを読んでいただければおわかりと思いますが、先に入店していた老カップルを放置したまま(切った刺身も置き去り)、私の顔を見ただけで正体をつかんだ主人、

よくあんなこと(ブログで「すし まずい」と書いてしまった)書いて来られるな(要約)

と「出ていけ」、「出ていかない」との攻防は自分で言うのもなんですが手に汗握るものでした。なにせ、こちらは素手、むこうは包丁を持っていますからね。
取り残された老カップルにこれ以上迷惑を掛けるわけにも行かず、ビール小瓶2本分のチェックをして店を出たのであります。
「鮨 嘉瑞」は、上野毛の店を7月一杯で閉めて、祇園近辺で店を立ち上げるとの話でしたが、その後のオープン話を聞きません。
あくまで関西の食べ仲間(その業界に所属している?)の話ですが、

中に入った人に騙されたとの噂がある

とのことでした。どなたかその後の「鮨 嘉瑞」の消息をご存じでしたらご教授ください。

☆良い意味での最も期待がはずれた店 レカン
完全に埋没したグランメゾンだと思っていたのですが、10年ぶりの訪問で見直してしまいました。
客は少なかった(わずか3組)のですが、料理は少ないながらも(しかも仔羊は売り切れ)、選択肢のないラインアップから選んだものは美味しかったのです。
ワインもボルドーの一部に値付けの安い、そして美味しい(評価も高い)ものがありました。クリスマス前後は満席&2回転だったとの話も漏れ聞きます。
ここ数年は廉価なビストロが全盛でありましたが、来年はグランメゾンの復活(マキシムは難しいのではないか)となるかもしれません。
ただし自意識過剰に見えるソムリエはちょっと苦手であります。

☆サプライズな料理 LE BEC ROUGE
読者に教えていただいたパリのアルザス料理店。もちろんシュークルートを頼んだのは言うまでもありません。
6ユーロで「すね肉」を追加したのですが、でてきたそれは半端でない大きさ。友里思わず椅子から転げ落ちそうになったのです。下記の写真以外に、本体のシュークルート(肉類もたっぷり)があるのですから。勿論残念ながら完食はできませんでした。

追加のすね肉

今年本当のベスト3店
ジャンル別に1つずつ挙げることにします。

もりかわ
他腹での初訪問から5年ぶりくらいに再訪したのですが、こんなに美味しく量も多かったのかと驚いたのであります。
食材の質も良く、東京の和食では最高峰に位置する(客単価も高い)店と思います。珍しく食べログの評価と友里の評価が一致した店であります。
その後も何回か訪問しておりますが、期待は裏切られておりません。

ブラッスリー・ジョンティ
浅草近辺のアルザス料理店。シュークルート、ベッコフと東京以外ではパリでしか食べておりませんが、日本人向けの味付けなのか今現在ではここが一番自分にあっているかなと。
来年は機会があれば、本場のアルザス料理を食べに行ってみたいものです。

マンジェ
大阪は八尾のトンカツ屋。食べ歩いた東京の有名&高評価なトンカツ屋がイマイチと感じていた時期、関西の食べ仲間に連れて行って貰った店。
普通のトンカツだけではなく、変わりトンカツ(フォアグラ入りとか)も美味しかった。価格は東京に比べて数割安から半値ちかく。東京のトンカツは高くて美味しくないものが多いとあらためて感じたのであります。