今年のワースト店

前日食べた「フォアグラ大根」と「牛ヒレのロッシーニ風」がいけなかったのか、胃の調子がイマイチで翌日の3つ星店ではアラカルト2皿が食べきれませんでした。
だいたいデギュスタシオンで、フォアグラ料理を2皿(しかもフォアグラの量が半端じゃない)も出すのはコース構成的に問題があるのではないか。
一応メインは鳩か牛ヒレから選択でありましたが、鳩が好きではない客はフォアグラ付きの牛ヒレを選ばざるを得ません。無理して食べて、翌日のディナーが台無しになってしまいました。

胃腸薬やヘパリーゼを飲み、朝昼と断食したのが功を奏して昨晩はおかげさまで回復。TGVと車で移動してホテルチェックイン後、まずは運河でボートに乗ってからビール店へ向かったのです。
予想はしておりましたが、数え切れないほどのビールの種類で何を頼んで良いのかわかりません。女性スタッフにオススメを聞きまして、クリスマスバージョンだという生ビールにしたのであります。以下の写真、向かって右から2つ目であります。

生ビール

お味は日本でいう「デュンケル」に近く、しかも後味に甘みを感じる濃厚なビールでありました。薄味のアサヒドライ好きなJ.C.オカザワだと飲みきれないかもしれません。
その後に地元料理店へ入り、名物というムール貝のほか

魚介のワーテルゾーイ(ブールブランソースをスープ状にしてその中に手長海老や白身魚、ジャガイモを入れたような煮込み)

なるものまでいただいてしまいました。友里、完全復調であります。

魚介のワーテルゾーイ

さて日本広しといえども友里征耶だけしかやっていないと自負する

今年訪問した店のワースト発表

であります。今年のワーストは誰もがガチガチ本命だと予想する立地の妙だけの超過大評価店、木に登ってしまったシェフの店であります。

☆アルケッチャーノ(山形・庄内)
京都の有名和食店の主人が訪問した際の感想

塩とオイルをチャチャッと振りかけただけの調理やで~

を人づてに聞いておりましたが、これほど素人料理に限りなく近い調理、もとい、シンプル調理の店だとは思いませんでした。
地産地消がウリでありますが、地元野菜(食材すべて)の質も良くなく量も少ない。しかもシンプル調理の要(塩とオイル)である塩も緩くて、我々は供された皿に塩を掛けまくっておりました。

イタリアンではなく奥田料理だ

と自信過剰のシェフでありますが、絶賛して彼を木に登らせてしまった人たちに私は言いたい。

貴方達はまともなイタリアン(いやまともな料理)を食べたことがあるのか。
この素人調理みたいな料理が本当に美味しいと思っているのか。

厨房だけではなくホールスタッフにまで、その誤った名声に惹かれて全国から若者が志願してくるそうです。そこで今年最後に友里はまた訴えたい。

こんな料理をイタリアン(美味しい料理)だと信じて修業を続けたら、その後の料理人人生を棒に振ってしまうぞ

と。若いとはいえ人生の貴重な時間を無駄にしてはいけません。
最後に読者が「食べ残し」と感じたわずか2片のカルパッチョ写真を貼り付けます。

クロダイのカルパッチョ(わずか2切れ)

そして今年最後を〆るのは、ワーストの番外編であります。ブログでは未公開でしたが、知り合いからどうしても書いてくれと頼まれたので店名などを書いちゃいます。アレンジしていただいた方には申し訳ないのですがご容赦のほどお願い申し上げます。

☆吉兆 嵐山本店
主人のドルジ(こぶへい)、もとい徳岡邦夫総料理長が不在と聞いて期待していたのですが、挨拶に出てきた嵐山本店料理長を見て友里は椅子から(座椅子ですけど)転げ落ちそうになったのです。見た目

30才前後にしかみえない

自称料理長であったからです。昨年の大政奉還(義父の徳岡孝二氏が完全引退)後、ベテランの料理人をみな排除してしまったのでしょうか。
若くても腕が良ければ文句はないのですが、如何にも自信なさげな応対は料理にそのまま反映されてしまったのであります。
立派な部屋に高価な器、そして船遊びさえもカバー出来ない料理の不完成度でありました。
これで初代から続く常連客が果たして通い続けるものなのか。マスコミ露出や店癒着ライターと手を結んでいるようですが、一見客や業界人相手の商売では前途は厳しいと私は考えます。

今年も大変お世話になりました。あらためて御礼申し上げます。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

よいお年をお迎えください。

友里征耶