日刊ゲンダイ正月版の開示 その3

地方から銀座に出てきて勝ち組となる店が多くなった

 

以前友里は、「集客に困った都心店は地方で活路を見いだせ」と主張してきました。都心では閑古鳥一色だった店が地方へ移転しただけで「人気店」になるだけではなく、シェフがカリスマ的腕をもつ料理人に変身してしまう不思議。(例を挙げると、西麻布では閑古鳥だった「ラフェドール」が軽井沢で「エルミタージュ ドゥ タムラ」になっただけで超人気店に)

しかし実態は移転や地元の食材を使うだけでシェフの腕が上がるはずもなく、単に地方の飲食業界レベルが低かったから、閑古鳥シェフでもその地で持て囃されてしまっただけのこと。

換言すると、地方でいくら人気があっても上京したら埋没して失敗する可能性が大ということです。

大阪から上野毛に出てきたは良いけど、あっというも間に関西へ逃げ帰って今では京都でカリスマ鮨屋に成り上がった店を例えに挙げれば理解出来ると思います。

しかしこの数年、この友里の定説が覆されてきたんですね。地方から出てきてあっという間に超予約困難店になってしまった店が出てきたのです。その一例が、東西ヨイショ評論家の絶賛で有名になった岐阜の中国料理店。

ちょっと外れておりますが銀座界隈に出てきて今では訪問に半年以上待たなければならない繁盛店になっております。その他、同じ東京でありましがより都心へ移転して店名を料理人の「姓」に変えた高額和食店もしかり。

しかしこれらの成功店には共通した戦略があるのです。
それは「高額&レアな食材を惜しみなく投入する」というもの。もちろん客単価も破格でありまして、前者のカウンター中華は最低でも3万円前後、その上は8万、15万と今までの中華の常識では考えられない値付けなのですが、それが逆にド素人俄グルメにはウケて成功しているわけです。

以前友里は「立地の妙」、つまり意外性のある地での開店が客釣りに有利だとの定説を示しておりましたが、「値付けの妙」でも立派に客が釣れるということが証明されたこの3年間であります。

 

 

日刊ゲンダイ正月版の開示 その2

箸使い出来ない客は高額和食へ来るな

 

日本でも欧州のように比較的予約を入れやすい有名店がわずかですがあります。長くても数ヶ月先までしか予約を取らない店でして、そのような店は外人客が多いんですね。欧州の星付き店に日本人やアメリカ人はじめその地に対しての「外人」が多いのと同じです。

例えを挙げると六本木の3つ星「龍吟」。よってこのような店では中国人はじめ外人客が食事をしている様を見ることが出来るのですが、友里が驚くのは彼らの「箸使い」。正確な箸使いで器用に食事をしている外人の比率が高いのです。

反面、日本の予約困難店ではどうでしょうか。前述の鮨屋だけではなく、外人をほとんど見かけない和食店「K」はじめ、まともな箸使いをしている日本人客を見つけるのが難しいというのが現実。グルメを自称している有名出版会社社長、放送作家、タレントなど自称他称を含むセレブと言われる人種、まともな箸使いが出来ていない様は「料理の鉄人」などTVでよく見かけました。

このような状況はなぜ起きるのか。価値観の違いと言ってしまえばそれまでですが、日本の高額店へ来るような外人客は日本の文化を知ろうとして基本を勉強してきているのではないか。反面、これら日本人は、俄に成り上がっただけに自分中心で唯我独尊。
育った過程も箸使いを気にするような環境ではなかったかなと。TVの収録でも握り箸&「犬食い姿勢」を恥じらいもなく披露できる自称グルメセレブに友里は脱帽であります。

 

通う度に支払額が上がるのは鮨屋だけではなかった

 

以前から友里の定説の1つに、「鮨屋では常連になればなるほど請求金額が高くなる」がありました。店主の甘えもあったのでしょう、常連として釣り上げた客は浮気をしないと判断して少しずつ高くしていくんですね。

この現象は金額の入った品書きがない高額鮨屋だけの特権だと思っていたのですが、最近は一部の高額和食(もちろんアラカルトはなくお任せコースのみ)でも明確なコース料金を開示しない店が多くなりました。(有名超高額ステーキ店は一応明細を提示されますが見せるだけなので細かくチェックする時間がない)

そのような店では毎月通う客には鮨屋の戦略を見習ったのか徐々に値を上げているようなのです。まあそれを許す環境(寛容な客の存在)なので仕方がない面もありますが。

日刊ゲンダイ正月版の開示 その1

昨年末に売り出された日刊ゲンダイ正月版で一夜限りの復活をした記事を本日から3日間にわけて開示させていただきます。
気が抜けた感があるかもしれませんが、少しでも楽しんでいただければ幸いであります。

 

【電撃復活】行っていい店、わるい店

 

ゲンダイからお暇をいただいて早3年近く。本業優先で活動を停止せざるを得ず、今やどこに出しても恥ずかしくない埋没悪口料理評論家に成り下がった友里に、この正月版で一夜限りの復活の話をいただいたのは昨年の11月だったしょうか。

ブログやツイッターだけではなくFBの更新も途絶えて持ち前の自己顕示欲の発散の場をなくした友里、待っていましたとばかりこのオファーを受けたのは言うまでもありません。

本日はこの3年間、胸の内、いや腹の中でグツグツと煮えたぎっていた飲食業界の問題点、もとい、「悪口」を発散させていただきます。

 

なぜ鮨ごときの予約に何ヶ月も待たなければならないのか(怒)

読者のみな様、鮨とはどのようなシチュエーションで食べるものと考えますか。最近は5万円前後もかかる超高額店も見かるようになりましたが、そもそも客単価が2万円前後の高額鮨店、昔はオタクと同伴カップル、そして本当の鮨好きくらいしか行っていなかったはず。

当然ながら予約なんて気にせずいつでも食べたくなった時に訪問することが出来た。特に昼なんてガラガラでした。それが今ではどうなってしまったのか。利益優先主義(はっきり言うとガメツイだけ)のもと、1日数回転営業を保つため、切り置きで乾ききったタネの握りをド素人中心の客に提供する「鮨さいとう」の予約は半年以上先でも入らないとか。いや「鮨三谷」なんて次の予約がほぼ2年後でありましたから友里、帰り際に椅子から転げ落ちそうになったのであります。

でもインスタなどのSNSを見ると、それらの店に毎月通ってキャアキャア騒いでいるド素人が多いんですね。半年先でも予約が入らない店に彼らはなぜ毎月通えるのか。答えは簡単でして、「半年以上前にその先1年間以上の予約を入れまくっている」からであります。

かくいう友里も、違うジャンルの予約困難店では1年以上先の予約を確定しているので大きなことを言える立場ではないのですが、鮨なんて若干の季節タネがあるにはありますが、ほぼ毎回同じタネで同じ調理法。銀座を中心に若い店主の店が乱立しながらもほぼすべて繁盛している理由は、他のジャンルに比べ簡単にスキルの習得が出来、それなりの質のタネを仕入れられればド素人の客には大満足を与えられるから。早い話が、客と店主が成熟せずに一人前になったと勘違いしているからこその現象なのであります。

このようなある意味最悪の環境をつくってしまった鮨業界の立役者は「さいとう」の出身母体である「K」グループか。当初は親しい歌舞伎役者などの後押しでド素人の評判を得、分店・支店を乱造しまくってしまった。

そして食べ手を勘違いさせた立役者は、お笑い系を代表とする自称グルメタレントを中心に、大味嗜好のホリエモンなどなど。

いや古くはミシュランや東カレなどヨイショ雑誌に、最近ではシャチョーが自ら「賢人」と称している出版社の雑誌の方が更に罪作りかもしれません。

そしてインスタなど自己顕示欲発散のツールでしかないSNSに釣られてIT系など若い「成り上がり客」が押し寄せているのが現状であります。

昔の「さいとう」、赤坂で「K」の看板を上げていた頃なんて昼はその場の飛び込みでもオッケー、夜もその日の予約で十分入れたほど客が少なかった。

都心の高額鮨店がわずかしかない状態でこれでしたから、この10年間で自称高額鮨の店主と俄な「成り客」を乱造、もとい、産み出してしまったその関係者の罪は重いと友里は考えます。

フランスに限らず欧州には評価の高いミシュラン星付き店が多く存在していますが、奇想天外な調理や盛り付けをウリにして客寄せに成功したのは良いがそのアイデアが尽きて閉店せざるを得なかった「エルブジ」など一部の変な店を除いて、これら有名店は一見客にも門戸を開いているのが世界標準であります。

友里も欧州出張時には気に入った3つ星店に行きますが、3ヶ月前ならまず予約が入らないことはない。

あのパリの有名店でさえ簡単に言えば誰でも訪問が出来るわけです。

換言すると、日本の俄成りグルメのように競って1年先の予約まで入れるアホな地元民はいないということ。

欧州の富裕層は日本の自称金持ちとは桁違いの資力があるのですが、日本のようにこぞって頻繁に通うため1年先まで予約を入れるようなアホ行為をしない。

日本の俄成り客は、外食以外にお金を使う楽しみを知らないのかもしれません。日本人の習性と言ってしまえばそれまでですが、一種の島国根性であると友里は考えます。

明日に続く