何年にもわたって連載されていた週刊現代での山本益博氏の店紹介。1年毎にタイトルを変えてはいましたが、評論とはかけ離れた「ヨイショ」の店宣伝文でした。今年に入ってから、取り上げる店がB級、スウィートに偏ってきたなと思っていたら、年半ばには掲載終了。貴重な友里のブログネタが一つ減ってしまったのは残念でしたが、一般読者にとっては無駄な情報で混乱させられなくなりますので良かったと考えます。
さて、未だマスヒロさんが力を示しているのが「大人の週末」という雑誌です。最近はマスヒロさんの特集企画はないようですが、相変わらず「365日食べ歩き手帳」として2ページ使ってダラダラと店訪問を書き綴っています。
私は毎月欠かさず読んでいるのですが、この「手帳」も最近かなり傾向が変わってきたたというか、末期症状ともいえるものが目立ってきました。
いくら自分がプロデュースして集客が芳しくないからと言って、「リョウリ ゲンテン」を毎月取り上げるのはいかがなものか。あまりの不振なのか、ランチに半額の「丼もの」まで供するようになったようですが、これは飲食店としてはやってはいけないコンセプト変更です。彼が関係している「れい家菜」もじりじりと安いコース価格を出してきていますが、客側にたって考えているとは思えません。客単価下げるということは不振だというのが丸見えですから、そんな店へいきたいとは思わないのが一般的なんです。
その他掲載する店がめっきり低額化してしまいました。カレー、洋食が占める割合が高すぎます。また、もうネタがないのか、同じ店を繰り返し訪問し行数稼ぎする姿もみっともない。親子丼の「縁」という店へは、1ヶ月手帳で3回もの訪問を書いています。都度、店へアドヴァイスし、店側が自分の事を認めてくれたといった自慢も忘れていません。
反面、「新亜飯店」では、指摘を軽くいなされたのが気に入らなかったようで、「日本人は何も言わないで帰ると思ったら大間違いですよ」と珍しく攻撃的なお言葉を発しています。
しかし私はそのままこの言葉をマスヒロサンへお返ししたいと思います。「店や料理人、出資者と癒着して一般読者を欺く『ヨイショ』、『煽り』の過大評価の店宣伝。日本の読者が何も言わないで貴方の書いた雑誌や本を今後も買うと思ったら大間違いですよ」と。
店側も、マスヒロさんの取材を受けて無理な「店宣伝」されたら、かえって営業に差し障るのではないか、といった疑問をもって凛とした態度で彼にのぞんで頂きたいと思います。
デビューして数十年。あまりのスタンス変更がもう自身ではわからなくなっているのでしょうが、そろそろ「大人の週末」も潮時ではないでしょうか。
そろそろ潮時ではないですか、マスヒロさん
「おせち」まで進出してきたか
皆さんは正月におせちを食べますか。私はまったく食べたいとは思わないのですが、日本の伝統と言うか家族の教育上の問題もありまして、我が家では用意しております。優雅に海外で新年を迎えられれば、この「造り置き料理」を食べることはないのですが、この3年、外食率が倍増してしまいわずかな依頼の原稿料ではとうてい補填できず大赤字。正月は家にじっとこもるのが慣例になりました。
だいたいこの「おせち」、昔は正月休みで食材が買えず、また飲食店もやっていないので造り置きで凌ぐためのものとしては便利でしたが、今は元旦でもファミレスはオープンしているはずです。焼肉屋なんか、満席で行列が出来ていました。ホテルも年中無休ですから肉系だけでなくスシも食べられるようですが、街場のスシ屋でも、奥沢の「入船」は大晦日、元旦も営業している本当の意味での年中無休店。ほかのタネはさておき、マグロだけをつまむのでしたらいいかもしれません。
さて、いつものようにイントロが長くなってしまいましたが、我が家は「出来合い」のおせちです。家で一々造る手間を惜しみ、コスト的にも歩留まりが悪いので、一見無茶高く見える百貨店経由の「おせち」を頼んでいます。しかしなぜ一気に大量生産できる造り置き料理がこんなに高いんでしょうか。上は20万から最安値で2万円前後。勿論参加することだけに意味を感じる我が家は当然「最安値もの」です。
家人が選んでいたカタログをみてぶったまげました。吉兆、金田中などのビッグネーム、百貨店の食堂オリジナルなどはわかりますが、聞いたこともない和食屋が競って出品しています。ここまでは許容範囲内。
驚いたのはフレンチやイタリアンの店が進出して来ていることです。
石鍋さん、脇屋さん、陳さん、植竹さん、落合さんなどなど。多店舗展開やレトルト食品進出など利にさといこの人たちは、「おせち」が儲かる商売だと気づいたのでしょう。そして極めつけと言うか、キワモノが「XEX」と「アロニア ド タカザワ」でしょうか。
アメリカ和食でなぜ鉄板ステーキなんだ森本さん、ワイズに身を寄せてよかったねクオモさん、料理長なんかいるような店ではないぜ「An」の谷川さん(初めて知りました)、世に売れる前にプライベート会社をなぜ造れるのか本の経歴と実情が違うようだぞ辻口さん、などなど。
写真では、森本氏の鉄板ステーキは確認できませんでしたが、辻口氏のマカロンやバリスタチャンピオンだかがブレンドしたコーヒー豆までついている「XEXプレミアムおせち」は、10万5千円ですよ。
彼らの店の普段の料理が美味しくないのに、このようなはったりに感心し、マスコミのつくった過大評価を信じて購入する人がいるのでしょうか。
一日2組しか入れていないイタリアンのポッと出のシェフのおせちに5万円も払う人がいるのでしょうか。
以前からよい商売しているなと思っていたこの「おせち料理」。やはり膨張主義、儲け主義の料理人や運営会社の格好の標的になったようですが、わざわざ彼らの懐を温める必要はありません。こんな暇あったら、(実際クオモさんや辻口さんは何もやっていなくてロイヤリティだけもらうんでしょうけど)、自分の店の料理を工夫して客に満足感を与えるようにしてもらいたいものです。
私はあらためて考えました。こんなシェフ、料理人、運営会社だけが悪いのではなく、これを企画する百貨店、そして購入するお人よしの客もいけないのではないかと。
客側がしっかりした目と舌をもてば、このような人たちが跋扈することはなくなると思います。