悪口(批判)はその場で言え

良く料理店関係者が友里に向かっていう言葉であります。ネットの掲示板でもそのような書き込みをよく見かけます。彼らにとっては、勝手に本、夕刊紙、ブログでネガティヴな事を書かれることが気に入らないのでしょう。先の「脅迫料理人」も「岩の陰から石を投げている」と言っていたそうです。
確かに、雑誌、マスヒロさんや犬養さん、大谷さん、古川さんなどヨイショライターの甘い絶賛記事になれた料理人、店関係者は、ペンネームで正体がわからない友里の辛口評価(といっても『しみづ』をはじめ結構正体は知れ渡っているようですが)が受け入れがたいのでしょう。
しかし、以前から私は主張しているのですが、友里は原則、マスコミなどに「ヨイショ」で取り上げられた店だけしか評価の対象にしておりません。会員制、紹介制でマスコミやネットへの露出を嫌っている店は訪問しても取り上げておりません。「竹慈庵 なかだ」や「喰切り 江ぐち」は、「紹介制」と称しながら東京カレンダーなどマスコミに露出している「紹介制偽装」の店なので取り上げたまでであります。
一般読者、一般客にとって、何ら断りもなくマスコミ、自称料理評論家、フード・レストランジャーナリストが料理人や店へ擦寄り「ヨイショ」、「過大評価」している現実。彼らが自ら「癒着している」、「シビアに評価していない」と開示して記事を書いているならわかりますが、出版社と組んで勝手に「店宣伝」しているだけ。読者の知らないところで店、書き手、出版社が握手しているのですからひどいものです。
両刃の剣というのでしょうか、読者に開示せず勝手に「ヨイショ・宣伝」してもらった店は、逆に本、夕刊紙、ブログで「勝手に」批判されても仕方がないでしょう。。
良いところ取りは甘いというもです。ヨイショはいくらでも受け付けるが「批判」は嫌だ、というのはまったく子供じみた発想です。了解しない批判が嫌なら、マスコミでのヨイショ宣伝も断ればいい。一般読者は、お金を払って雑誌を購入しています。ヨイショライター、似非料理評論家たちが、読者を無視して「勝手」に「癒着」、「ヨイショ」、「過大評価」を世間に発表しているのです。そのことを料理人たちはどう釈明するのか。
読者が了解しない「ヨイショ記事」に勝手に出ている料理人、店が友里に「勝手に批判された」と騒いでいる現実。懐が浅いというか、視野が狭いというか、ホント、「自分勝手」な人が多い業界のようです。
実際、このような料理人や店にダイレクトに問題点を指摘しても、勘違いしているのですから聞く耳もたないことでしょう。
ヨイショ、過大評価、店宣伝されているのですから、批判されて文句をいう筋合いはないと私は考えます。
また、私は掲示板の匿名投稿をしているのではありません。出版社、新聞社、そして友里と文責は明確であります。掲示板と違って正面からの抗議は誰でも簡単にできるのです。その際は、我々は真摯に対応させていただいております。しかし、そのケースはなぜか不思議に「稀な数」だということを最後に付け加えさせていただきます。

2006年 友里征耶のこの10店 その3

新年早々バタバタしてしまってこのシリーズの最終版の掲載が2日あいてしまいました。申し訳ありません。今日は2006年に初めて訪れた、またはかなり久々に訪れた店の中で印象に残った10店であります。友里のおススメ店と受け取っていただいて構わないでしょう。
ラ リューン
「レストラン オオイシ」を居抜きで引き継いだ当時は、独立して採算を重視したのかCP劣化でかなり常連客が離れたのではないでしょうか。いつしか忘れてしまっていたのですが、「グルメバトル」でJCに飛び込ませる企画から数年ぶりに訪問しました。元々ポテンシャルはあるシェフ、料理は以前の輝きを取り戻しておりました。客も結構入っているようで、CPも悪くありません。浅草の高くて普通の味の洋食屋の予算でこの手のこんだ正当フレンチが食べられるのですからお徳であります。JCに惑わされることなく、何の特徴もない「高い洋食屋」へ行くより、同じ予算でこの店のようなフレンチへいくことをおススメします。
オステリア ナカムラ
夜しか営業していませんが、CP良いバリエーションある料理、価格にあった雰囲気、安いワイン、シェフとマダムの接客態度、とどれもバランスよくおススメです。料理は地方色あるものではない創作系のイタリアンですが、予算はワインをかなり飲んでも1万円かかりませんから満足されると思います。
ドン チッチョ
「トンマ ズィーノ」が青山に移転しました。10月末のオープン当初から予約困難なほどの盛況さ。キャパはやや大きくなりましたが、料理やサービスは前店と変わりません。やや皿出しが停滞することがありますが、シチリア料理としては支払いは同じくらいですが「アルキメーデ」よりはるかに食後感がいいでしょう。
トラットリア トルナヴェント
マダムの笑顔の接客だけではなく、ピエモンテを主体とした料理も良くなっています。JCもこの料理を気に入ってしまったことが、かえってマイナスになるのではないかと私は心配です。
ワインの持ち込みも@2千円でオッケーなので、その分料理に予算がかけられます。
くわ野
あの他店メッタ斬りの「すゞ木」のオヤジも褒めていたので驚きました。ツマミも豊富、握りも2種の煮切りを使い分けて特徴を出しています。銀座の最近の若手の店では秀逸です。キャパが小さく一人客の予約を受け付けないのが難点です。隣の「久兵衛」よりはるかに食後感はいいでしょう。
すし処 ととや
赤酢の酢飯、湯引いてから漬け込んで白くなったヅケを試してみてください。旬の生のトリガイもおススメです。読者からは女性の一人客を受け付けないとの話を聞きましたがいかがでしょうか。私は何回か常連らしき女性が一人で食べている場面に遭遇しております。
宮葉
浜松町の鮨屋。相汁(ともつゆ)につけた煮ハマがウリですが、その他のタネ、そして握りとレベルはかなり高い。ツマミも豊富ですが、頼みすぎると支払額が2万円台後半になる可能性があるので気をつけてください。
銀座 奈可久
帝国Hの「奈可田」、六本木の「奈可久」出身の鮨屋。私はJCのコラムでその存在を知りました。近くには「きよ田」もある銀座の激戦地。期待しないで訪問したのですが、主人は謙虚でタネ質、仕事、酢飯と支払額(2万円以下)を考えると食後感はいい。オミヤで造る「太巻き」も美味しかったです。
霞町 すゑとみ
友里が珍しく褒めているので、何か関係があるのかと同業者から疑われていると漏れ聞きました。ここであらためて宣言しますが、私は何ら貸し借り、便宜供与なく自分の感じたことをそのまま評価に著しただけであります。
1万5千円コースを設定してしまったようですが、これ以上の高望みはしないほうが無難でしょう。器に拘るのは未だ早いような気がします。
世良田
麻布十番の盛況な焼き鳥屋。焼鳥は不味いか普通かのどちらかしかないと思っていましたが、この店の焼鳥はおいしゅうございました。ワインが高いのでボトルを頼むと客単価が倍になるようですが、持込可だそうです。

2006年 友里征耶のこの10店  その2

今日は2006年に出会った「わざわざ行く必要のない店」、「CP悪すぎの店」を10店挙げてみます。
COGITO コジト 西麻布
マルシェ オー ヴァン ヤマダ グループの新店。ビストロと紹介されていますが、定番のビストロ料理は少なく、ポーションも小さく、値付けはワインも含めて高いという、まったくビストロとは対極の位置づけの店。CPの悪さは究極。周辺のフレンチより高くつく、正に「ビストロ偽装」の店です。
クルック キッチン 神宮前
ミスチルの櫻井氏や和食の「かんだ」の主人、神田氏が絡んでいるフレンチ。東京最高のレストランでは、1年がかりでオープンまでのメイキング宣伝記事を掲載していました。掲載料を払わずこんな特別待遇をアクセス・パブリッシング(出版社)がするとは思えません。
この雑誌得意のシェフの経歴も不掲載なのが不思議。チープな内装に素人料理に毛の生えたレベルの料理、ワインの知識に薄いスタッフ、とすべてが駄目でありました。
ドナステラ クッチーナ オオサコ
西麻布の「ダックイ」の大迫シェフが銀座へ出店、とオープン時かなり雑誌に露出していました。でも、この「ダックイ」というイタリアン、有名だったんでしょうか。私はその存在をまったく知りませんでした。無理して銀座へ移転すれば誰でも名店のシェフだったと取り上げられるのでしょうか。
20名近くのキャパをシェフとホールスタッフの2名で捌こうとするため、かなりストレスを感じる店となっております。段取りが悪いのか手際が悪いのか、シェフの皿出しはかなり停滞気味で、ボリュームないのにボリュームあると言ってパスタを1種(2名の場合)に限定させようとする営業。少しでも造る料理を少なくしたいのでしょうが、これが「ボリューム偽装」でちっとも多くありません。大きいのはスタッフの態度だけ。ストックをしたくないのか、リストを作らず数種のワインしか用意しないで押し付けてくる営業も疑問。
肝心の料理も可もなく不可もなし、何ら傑出していないのでストレス貰いにわざわざ行く必要はありません。
タツヤ・カワゴエ 代官山
イタリアンのプリンチペ(王子様)と東京最高のレストランがここ数年煽りまくっている料理人のイタリアン。「辻調」を出てからたいした修業歴はないと読みました。イケメンシェフの一人として、雑誌のライターを丸め込んだかのような露出の多さですが、肝心の調理の腕は王子様どころか「オコチャマ」並み。飲食店はホストクラブではないんですから、料理をウリにしてもらいたいものです。
キャンティ  飯倉
学生時代は無理してここぞのデートに使わせてもらいました。芸能人に遭遇したのも楽しい思い出。しかし、こんな賞味期限切れのイタリアンへ今更行くとは思いもよりませんでした。JC絶賛のこのイタリアン、はっきり言えば、一昔前の「イタリア風洋食屋」。メインの食材はメニューでは仔牛に若鶏、牛ヒレだけ。客層は予想通り年配客とその家族連れが主体でした。イタリア本国で食べた人にはまったく物足りない料理。そのくせ支払いはギンガムチェックのクロスの割にリストランテ並ですから驚きです。ワインも高く、こんな店で一人2万円も支払うのは時間とお金によほど余裕のある人しか無理でしょう。
アルキメーデ 神泉
やまけん、古川修氏が絶賛していただけに期待はしていなかったシチリア料理店です。前菜が10種ほど、パスタも2種、そして200グラムを優に超える豚などのメイン。ただでさえ量多すぎるのに単調な味付けなので、来栖けい氏など常識はずれの「大食い」でなければ完食できない6500円のコース1本は、まったく問題外のコンセプト。シチリア料理で子供駄目、そしてコース1本(メインやパスタは選択性です)では、季節の食材を楽しむ選択肢もなくなるというもの。
量から言えばCP悪くないのですが、そのコース一人分は2人前の量があります。つまり、ほとんどの人が食べ残すので、4千円くらいのコースを6500円払って食べている感覚になります。シェフの戦略がまったく空回り。やまけんや古川さんに結構宣伝してもらっている割に満席でないのがその証左といえるでしょう。
minobi ミノビ 田町
オー グー ド ジュールの3店目となる和食屋さん。カウンター主体ですが、結構単品の量が少なく値付けが高いので、料理だけで6千円は行ってしまいます。肝心の料理ですが、オーグードの「賄い料理」を出してきたかと思うほど、どれも味濃いもの。こんな下町味、マスヒロさんやJCくらいしか喜ばないのではないでしょうか。ワインの値付けも安くはないのでリピートは出来ません。
喰切り 江ぐち 西麻布
神宮前から移転して高額設定に戦略変更したスッポン料理屋。最初は「会員制」として秘密性を持たせてオープンしていましたが、集客が苦しいのか雑誌で住所や連絡先を公開してきました。ビールや日本酒が飲み放題とはいえ、数皿の小料理にトロ握り、そして身の少ないスッポン鍋に雑炊で一人3万円は高すぎです。どうみても二人で1匹のスッポンを使っているとは思えません。しかも、有名料亭関係者からスッポンの仕入れが1匹高くても4千円前後と聞いたことがCPの悪さに追い討ちをかけました。あまりに高すぎではないか。このスッポン料理店、移店前は1万5千円だったそうですよ。カードは不可、支払いは名刺を渡しての掛け払いが標準と、まったく時代錯誤な営業でもあります。
森本XEX  六本木
なんでこの人が和食の鉄人なのか理解に苦しむんですが、その「和食」の料理人がワイズテーブルと提携して出したのがこのスシと鉄板焼きをウリにしたXEXです。
スシと鉄板料理にはどうしても結びつかない派手な内装。JC流に言わせていただければ、入店して友里思わず「絶句す」。
自慢のスライサーの神戸牛刺身は薄すぎで味わかりません。魚のカルパッチョは、クラッシュアイスではなく角のアイスに乗っかっていましたがベチャベチャ。伊勢海老のロースト、前沢牛の鉄板焼きと業界人が喜ぶ食材が続きましたが、肝心の味はどれもイマイチ。〆の「ひまつぶし」もしけた鰻でした。この料理のどこに和食を見ることが出来るのか。1万5千円コースでしたが、これならまだホテルの鉄板焼きへ行ったほうがマシというものです。
田吾作寿司 練馬
1万円以上払ったスシ屋でこれほど食後感の悪かった店は記憶にありません。友里の人生の記念碑的なスシ屋となりました。
創作寿司なんですが、そのタネの取り合わせがひどい。海鼠腸、ホッキ貝、アオヤギを3つ入れたノンベ巻き。アン肝と奈良漬をレタスで巻いたスシ。個性のある味のタネを混ぜて何をしたいのか。こんな濃いタネをいっぺんに使ったら、科学調味料や味濃い料理が好きなマスヒロさんやJC以外の人には受け入れられません。
普通の仕事をしてあるタネも駄目。コハダ、カスゴなどもどれも街場の寿司屋並です。だいたいここの酢飯がひどかった。私は「すしの子」を使っているかと思ったほどの素人の出来でありました。
江戸前鮨を食べこんでいる人にはまったく受け付けられない、信じられない創作スシ屋であります。