2006年 友里征耶のこの10店  その2

今日は2006年に出会った「わざわざ行く必要のない店」、「CP悪すぎの店」を10店挙げてみます。
COGITO コジト 西麻布
マルシェ オー ヴァン ヤマダ グループの新店。ビストロと紹介されていますが、定番のビストロ料理は少なく、ポーションも小さく、値付けはワインも含めて高いという、まったくビストロとは対極の位置づけの店。CPの悪さは究極。周辺のフレンチより高くつく、正に「ビストロ偽装」の店です。
クルック キッチン 神宮前
ミスチルの櫻井氏や和食の「かんだ」の主人、神田氏が絡んでいるフレンチ。東京最高のレストランでは、1年がかりでオープンまでのメイキング宣伝記事を掲載していました。掲載料を払わずこんな特別待遇をアクセス・パブリッシング(出版社)がするとは思えません。
この雑誌得意のシェフの経歴も不掲載なのが不思議。チープな内装に素人料理に毛の生えたレベルの料理、ワインの知識に薄いスタッフ、とすべてが駄目でありました。
ドナステラ クッチーナ オオサコ
西麻布の「ダックイ」の大迫シェフが銀座へ出店、とオープン時かなり雑誌に露出していました。でも、この「ダックイ」というイタリアン、有名だったんでしょうか。私はその存在をまったく知りませんでした。無理して銀座へ移転すれば誰でも名店のシェフだったと取り上げられるのでしょうか。
20名近くのキャパをシェフとホールスタッフの2名で捌こうとするため、かなりストレスを感じる店となっております。段取りが悪いのか手際が悪いのか、シェフの皿出しはかなり停滞気味で、ボリュームないのにボリュームあると言ってパスタを1種(2名の場合)に限定させようとする営業。少しでも造る料理を少なくしたいのでしょうが、これが「ボリューム偽装」でちっとも多くありません。大きいのはスタッフの態度だけ。ストックをしたくないのか、リストを作らず数種のワインしか用意しないで押し付けてくる営業も疑問。
肝心の料理も可もなく不可もなし、何ら傑出していないのでストレス貰いにわざわざ行く必要はありません。
タツヤ・カワゴエ 代官山
イタリアンのプリンチペ(王子様)と東京最高のレストランがここ数年煽りまくっている料理人のイタリアン。「辻調」を出てからたいした修業歴はないと読みました。イケメンシェフの一人として、雑誌のライターを丸め込んだかのような露出の多さですが、肝心の調理の腕は王子様どころか「オコチャマ」並み。飲食店はホストクラブではないんですから、料理をウリにしてもらいたいものです。
キャンティ  飯倉
学生時代は無理してここぞのデートに使わせてもらいました。芸能人に遭遇したのも楽しい思い出。しかし、こんな賞味期限切れのイタリアンへ今更行くとは思いもよりませんでした。JC絶賛のこのイタリアン、はっきり言えば、一昔前の「イタリア風洋食屋」。メインの食材はメニューでは仔牛に若鶏、牛ヒレだけ。客層は予想通り年配客とその家族連れが主体でした。イタリア本国で食べた人にはまったく物足りない料理。そのくせ支払いはギンガムチェックのクロスの割にリストランテ並ですから驚きです。ワインも高く、こんな店で一人2万円も支払うのは時間とお金によほど余裕のある人しか無理でしょう。
アルキメーデ 神泉
やまけん、古川修氏が絶賛していただけに期待はしていなかったシチリア料理店です。前菜が10種ほど、パスタも2種、そして200グラムを優に超える豚などのメイン。ただでさえ量多すぎるのに単調な味付けなので、来栖けい氏など常識はずれの「大食い」でなければ完食できない6500円のコース1本は、まったく問題外のコンセプト。シチリア料理で子供駄目、そしてコース1本(メインやパスタは選択性です)では、季節の食材を楽しむ選択肢もなくなるというもの。
量から言えばCP悪くないのですが、そのコース一人分は2人前の量があります。つまり、ほとんどの人が食べ残すので、4千円くらいのコースを6500円払って食べている感覚になります。シェフの戦略がまったく空回り。やまけんや古川さんに結構宣伝してもらっている割に満席でないのがその証左といえるでしょう。
minobi ミノビ 田町
オー グー ド ジュールの3店目となる和食屋さん。カウンター主体ですが、結構単品の量が少なく値付けが高いので、料理だけで6千円は行ってしまいます。肝心の料理ですが、オーグードの「賄い料理」を出してきたかと思うほど、どれも味濃いもの。こんな下町味、マスヒロさんやJCくらいしか喜ばないのではないでしょうか。ワインの値付けも安くはないのでリピートは出来ません。
喰切り 江ぐち 西麻布
神宮前から移転して高額設定に戦略変更したスッポン料理屋。最初は「会員制」として秘密性を持たせてオープンしていましたが、集客が苦しいのか雑誌で住所や連絡先を公開してきました。ビールや日本酒が飲み放題とはいえ、数皿の小料理にトロ握り、そして身の少ないスッポン鍋に雑炊で一人3万円は高すぎです。どうみても二人で1匹のスッポンを使っているとは思えません。しかも、有名料亭関係者からスッポンの仕入れが1匹高くても4千円前後と聞いたことがCPの悪さに追い討ちをかけました。あまりに高すぎではないか。このスッポン料理店、移店前は1万5千円だったそうですよ。カードは不可、支払いは名刺を渡しての掛け払いが標準と、まったく時代錯誤な営業でもあります。
森本XEX  六本木
なんでこの人が和食の鉄人なのか理解に苦しむんですが、その「和食」の料理人がワイズテーブルと提携して出したのがこのスシと鉄板焼きをウリにしたXEXです。
スシと鉄板料理にはどうしても結びつかない派手な内装。JC流に言わせていただければ、入店して友里思わず「絶句す」。
自慢のスライサーの神戸牛刺身は薄すぎで味わかりません。魚のカルパッチョは、クラッシュアイスではなく角のアイスに乗っかっていましたがベチャベチャ。伊勢海老のロースト、前沢牛の鉄板焼きと業界人が喜ぶ食材が続きましたが、肝心の味はどれもイマイチ。〆の「ひまつぶし」もしけた鰻でした。この料理のどこに和食を見ることが出来るのか。1万5千円コースでしたが、これならまだホテルの鉄板焼きへ行ったほうがマシというものです。
田吾作寿司 練馬
1万円以上払ったスシ屋でこれほど食後感の悪かった店は記憶にありません。友里の人生の記念碑的なスシ屋となりました。
創作寿司なんですが、そのタネの取り合わせがひどい。海鼠腸、ホッキ貝、アオヤギを3つ入れたノンベ巻き。アン肝と奈良漬をレタスで巻いたスシ。個性のある味のタネを混ぜて何をしたいのか。こんな濃いタネをいっぺんに使ったら、科学調味料や味濃い料理が好きなマスヒロさんやJC以外の人には受け入れられません。
普通の仕事をしてあるタネも駄目。コハダ、カスゴなどもどれも街場の寿司屋並です。だいたいここの酢飯がひどかった。私は「すしの子」を使っているかと思ったほどの素人の出来でありました。
江戸前鮨を食べこんでいる人にはまったく受け付けられない、信じられない創作スシ屋であります。