納豆捏造問題について

フジテレビ系で放送された「発掘!あるある大事典?」のデータ・コメント捏造事件について、TVや週刊誌の追求がかなり激しいようです。特に、他局のワイドショー系の番組では、鬼の首をとったかのごとく、厳しい論調での糾弾が目立っています。
確かに捏造や「やらせ」はいけないことですが、TVでこの手の手法を厳密に禁止してしまったら、番組は制作できないのではないか。他の番組でも似たようなことやっているではないか。それを今まで見逃していたではないか、なぜ今になって、と私は敢えて言いたいのです。友里ですから「食」に限定してみましょう。
例えば以前の「料理の鉄人」。あの番組を見て、出演している料理人が「食材」のヒントさえ教えられず、その場ではじめて知って1時間でメニュー構成を考えて調理までしていると心底信じている人はいないと思います。そんな事ができるなら、この世に「皿出し」の遅い店が存続できるはずがありません。すぐさま淘汰されるでしょう。限定された料理しかないのに、段取りが悪いからか調理がはかどらないのでパスタのオーダーを制限している「オオサコ」など、出演したらメニューを考えているだけで1時間が終わってしまうのではないでしょうか。食材そのものを教えていないまでも、数種に絞ったヒントを与えているのは誰でも知っていることです。
また、ある番組での来栖けい氏。チョコだかショコラをいくつもブラインドで食べて、すべて造った店を当ててしまったとか。でも、この番組は来栖氏の胡散臭さを立証するのではなく、人の良い「一般視聴者」に「へー、世には凄いグルメがいるんだ」と私に言わせれば間違った情報を与えることを目的にしているはず。もしくは外観からは想像できない大食いや奇抜さを全面に出して視聴率を稼ぎたいだけ。よって、彼が外してしまってはが番組は成り立ちません。あらかじめ答えを教えているかどうかは別にして、出すショコラの店リストは事前に教えているでしょう。本当に判別能力を立証したいなら、彼が食べたことのない店のショコラをいくつか入れても言い当てることができるはずですが、それをやったらまず当てることはできません。ワインのブラインドにも言えることですが、フランス、イタリアに限らず世界のワインからヴィンテージ含めて無作為に選んだものを出されたら、どんな世界一ソムリエでも当てるのは不可能に近い。せいぜい品種を当てるのが関の山ですが、最近はかなり多くの品種を混ぜた混醸ワインが流行ですのでこれまた難しいのです。
まずは、全問正解という結果ありき。今回の納豆問題も「まずはダイエット効果あり」でした。結論付けて企画しなければ番組のコンセプトが成り立たないのです。
2004年の暮れだったと記憶しています。ワイン評論家のパーカー、ロブションなどが組んでホテル西洋銀座で開催した「100万円ディナー」を取材したTV番組を思い出してください。番組の後半はこの豪華ディナーにどんな人が参加しているのかと帰り際任意に客を捕まえてインタビューし、「お家紹介」などその人物紹介に時間を割いていました。その中で私が違和感を覚えたのが鰻料理店「いちのや」の主人。しっかり自店の宣伝というか、番組で店紹介をしていたのです。日刊ゲンダイでこの「いちのや」を掲載した際、主人から問い合わせをいただいたそうですが、そのやり取りの中で、「あれはテレビ局に頼まれ、引き受けただけ。自分から売り込んだわけではない」と認められたそうです。いかにも偶然インタビューした人が料理店の主人だったというストーリーに仕立てあげていましたが、中身は完全な「やらせ」だったのです。
私は言いたい。教育再生として先日首相に答申があったようですが、まずはTVのお笑いタレントなどをつかったバラエティーやトーク番組、そしてこのような「やらせ番組」を減らしてはどうか。年寄り発言だと言われそうですが、放送作家の安直な企画のこのような番組、思考力を放棄しなければ見入ることができません。こんな番組でダラダラ時間を潰すよりもっと有意義な事が子供他たちには沢山あると思います。無理して24時間近く連続して放送する必要はない。無放映の時間帯があってもいいのではないか。
数いる放送作家たちの生活が脅かされるかもしれませんが、「一般読者」、「一般客」にはメリットにもなります。俄かグルメとしてお気楽に「ヨイショ店紹介」をやっている余裕がなくなるわけですから、彼らに唆されて過大評価の店へ行くことも無くなるからです。
最近はTV局関係の人が、家族そろって家でTVを見なくなったといった話をよく聞きます。放送作家の家族も実は最近のTVを見ていない、なんてことも充分ありえる話であります。

ミシュランスターシェフ来日イヴェント

毎年恒例になっているのか、ホテルニューオータニの「ベル ヴュー」でのイヴェントに行ってきました。
昨年も1月、2月とあったこの星付レストランシェフの来日イヴェント。5日間だけの限定でして、1月はピエモンテ州のレストラン「ヴィラ・クレスピ」のシェフ、アントニーノ・カナヴァッチュオローネでした。
1つ星シェフとの紹介で昨年予約を入れましたが、最新のミシュランでは2つ星に昇格したのではないかとの情報もあります。
この「ベル ヴュー」、私はこの来日イヴェントでしか利用したことがないのですが、毎回不満に思うことがあります。ワインが高すぎるんです。フランチャコルタ(スプマンテ:発泡酒)が最低でも8千円前後、プラネタのシャルドネやドンナフガータのタンクレディが1万円前後の値付けにビックリ。小売の倍以上というか、タンクレディなんてネットで3400円くらいで軽く買えてしまうワインですから、やりすぎです。店の仕入れは3400円よりも安いはずですから何倍の値付けにしているのか。絶対価格が安くCPが良いのが特徴であるシチリアワインに、1万円を超す値付けをしてしまってどうするのか。ワインリストをちょっと見ただけですが、2000年代のイケムも高すぎ。あの価格は私が67年のイケムをオークションで落とした数字とさほど変わりません。
最近はめっきりホテルのレストランへ行く機会が減りました。ニューオータニの「トゥール ダルジャン」、オークラの「ラ ベル エポック」、帝国の「セゾン」など友里にとってどれも魅力を感じる店ではありません。レストランは、料理がぴか一とか、ワインが安い、とかウリがなければならないと思うのですが、ホテルの画一的なサービスくらいしかないのですから行く気がしません。
今は数千円でワイン持込を許す一流ホテルも出てきております。ホテルの店では比較的流行っている「鉄板焼き」でも持ち込むことができるくらいですから、あまり集客が順調でない店ならば、よりワインの値付けを安くする配慮が必要ではないか。
肝心の星付シェフの料理は、伝統と現代と銘打った2種のコース。オータニは来日するシェフに必ずこの2つのコースを考えさせるのですが、地元でも伝統的、現代的な料理を2種造っているのでしょうか。普通はシェフのポリシーで、どちらかに絞った料理を造るものだと思うのですけど。普段造っていないスタイルの料理を考えさせても無理が出るというものです。
連れと別々のコースを頼み両方を味見しましたが、悪くはないまでも記憶に残る皿なし。一番安いであろうワインを頼んでも2万1000円のコース料理で一人当たり3万円を軽く突破してしまった現実。支払額だけが鮮烈に記憶に残った次第です。

「店評価ブログ」を更新しました

「鮨処 金兵衛」、「銀座 こびき」を追加しました。
両店は、ヨイショ系副業ライター、早川光氏、古川修氏が絶賛しているスシ屋と居酒屋ですが、私はまったくの「過大評価」と考えます。
お暇なときにお立ち寄りください。