その後の三鴨シェフ

恵比寿の「レトワール」を閉め、代官山辺りでサロン的なフレンチを開くと言っていた三鴨シェフ。その後の消息がつかめなかったのですが、読者の方からの情報で新しいお店がわかりましたので、ここに開示させていただきます。
今年の暮はまたあの「ロワイヤル」が食べられるかと期待して教えていただいたURLをクリックしてびっくり。どうやら今後も彼のロワイヤルは食べられないようです。
http://www.scapes.jp/service/dish.html
なんと、逗子駅近くのウェディング会場のシェフに就任したのです。株式会社ポジティブドリームパーソンズという会社が経営している宴会場であります。
披露宴のコース料理は、時間や人数の関係でどうしても画一的なコース料理にせざるをえません。2つ星(今は3つ星)の厨房で信任厚かった料理人が就任するポストなんでしょうか。性格は別にして、かなりのポテンシャルを持っている料理人だっただけに私はもったいないと思います。果たして宴会料理で彼の良さを反映できるのか。経営者側もそのような配慮をもって腕ある料理人の仕事場を考えていただきたいものです。
猫に小判、非常にもったいない、残念です。
「赤兎馬」ではないですが、能力ある人を乗りこなすには更に能力ある人でなければならないのは定説。
今の三鴨シェフは捲土重来、臥薪嘗胆といったところでしょうか。

最近訪問した店 短評編 6

日刊ゲンダイのコラムが休載になったことと、弁護士費用の捻出で懐が苦しくなった背景もあり、店訪問のペースがかなり落ちてきました。そんな中で最近訪問した3店を簡単に書いてみます。
ラ・グラディスカ 西麻布
ピエモンテ州の店でミシュラン1つ星をとった日本人シェフが、日本へ凱旋して西麻布3丁目、あの「ル・ブルギニオン」近くにオープンしてきました。
ちゃちな門扉を見ながら狭い階段を地下へ。入り口ドアがガラスには思わず引けてしまいました。地下なのに天井が高いところは評価できますが、内装もちょっとチープか。
コースは6800円と8200円の2つ。前菜、パスタ、メインと選択肢が少ないのでアラカルトがいいでしょう。前菜は2千円前後、パスタは2200円以上、メインも3千円前後とやや高目。ピエモンテ料理らしきアイテムは、パスタのタヤリン、アニョーダプリン、メインの牛のバルベーラ煮込みなど。バーニャカウダはありませんが、アンチョビやニンニクをつかったサラダのようなものも造るようです。
パスタはタヤリンを頼みましたがなかなかおいしい。ホエー馬のラグーでしたが、アニョーダプリンも良さそうで、近隣のピエモンテ料理店、「トルナヴェント」の脅威になるかもしれません。
ただ、メインも他には子羊、豚など(最近流行の銘柄の記述なし)種類が少ないのが難点。
ワインリストもかなり貧弱。その割に支払いは1万5千円をはるかに超えてしまいましたから、サービス、ワインなど総合的な満足度を考えるとCPは今のところよくないと考えます。もう少し、前菜、メインと地元色を強めて、ワインを充実させ、値ごろ感を出したら長く盛況が続くのではないでしょうか。
クッチーナ ヒラタ
久々の訪問。以前から気になっていたのですが、マダムがちょっと元気がないように感じました。シェフも不在の時があるそうですが、もう「ヒラタ料理」として完成しているといっていいのか、定番がほとんどですが安定した料理を出し続けていると思います。価格が書いていないですがメニューも常備しちゃって、マダムのマシンガントークも聞かれなくなり、ちょっと残念。
ハル・ヤマシタ
やっと夜に訪問。5月一杯は5800円コースと聞いていましたが、メインに但馬牛ではなく純血熟成神戸牛や熟成厳選神戸牛を用意したコース、8800円、11000円がありました。
メインの牛質だけで倍半分の値付け。私は、神戸牛は但馬産の黒毛子牛を兵庫県内(三田、但馬、淡路など)で肥育した処女牛、去勢牛の総称をいうのかと思っていたので、但馬牛より神戸牛の方が高いのにはビックリしました。シェフの話では、本物の神戸牛が最高だとか。しかし、あの「あら皮」の肉は確かチャンピオンも含めて「三田牛」だったと記憶しているんですけど、この「純血」とはなんなのか。但馬牛で純血でない黒毛がいるものなのか。ご存知の方がいらっしゃいましたらご教授ください。
さて、当然一番安い5800円コースを頼みましたが、この店ではこれで充分です。いや、このコースだからこそ(この価格だからこそ)良いのだと思います。
生肉とイチゴのカクテル仕立ては、ナリサワの「フォアグラとイチゴのコンビネーション」よりミスマッチでしたが、熊取の水茄子(細かい地名付き)、能登のカンパチ(実際はカツオに変わっていました)、オーシャントラウト、サラダなどこの価格ではかなり満足というか美味しい。メインは但馬牛のロール焼き2片でしたが、〆のカレーも玉葱の味が利いていてほぼ満腹になりました。
なぜかワインがオーストラリアものしかないなど「?」なところもありますが、かなり飲んで一人1万数千円ですから、CP悪くないと思います。

ミシュラン東京版の調査員がバレバレ?

これまた読者の方からの情報です。ご本人も伝聞だということで、裏を取っているネタではありませんが、あまりに突飛なことなのでかえって信憑性があるようにも感じます。こんないい加減な調査員による審査はしていないでしょうね、といった確認の意味で書いちゃいます。
以前のコラムで、今秋発売されるミシュラン赤本東京版、すでに調査員が店を回っているようだと書きました。今日はその調査員の情報です。
なんと、あの有名なグランメゾン(実名です)の支配人やレストランの元ソムリエが調査員として店を訪問しているというのです。なぜわかったかというと、身分を明かして、厨房を見せて欲しいと言ってきたからだそうです。
今まで、本国でも調査員は果たして店で名乗るのか、完全覆面なのか、意見が分かれていました。3つ星にするときなど、何人もの調査員が確認に訪問し、最後は名乗るといった話もあるようですが、これでは調査員の顔がばれてしまいますね。
今回、この東京では、厨房を見せてもらうために名乗っているというこの未確認情報。しかも、調査員の職歴から個人名まで噂で流れてしまっているようで、これが本当なら、厳格な覆面ガイドとは言えないではないか。だいたい、同業者が他店を冷静に評価できるものでしょうか。
この情報は、いただいた読者には申し訳ありませんが、間違いであると信じたい。そうでなければ、「ミシュラン神話」の崩壊であります。
この情報が間違いだったとしても、こんな噂が流れること自体、ミシュランの権威が落ちてきているのではないでしょうか。
今秋発売ということは、すでにかなりの店調査が進んでいると推測されます。どうも怪しい人たちが来たが名乗らなかった、いや名乗っていった、などの情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、メールいただければ幸いです。