店評価BLOG

この高額請求で広島の客が来るのか、吉鮨

by tomosato on 5月.29, 2010,

読者から広島に銀座の高額鮨屋も真っ青な請求をする鮨屋があると聞き、仕事の帰りに立ち寄ったのが広島市内にあるこの「吉鮨」。こう言っては失礼かもしれませんが、広島で客単価3万円超の鮨屋が存在できるのか。
伝説の鮨職人と言われる新津武昭氏の弟子とネットで知り、私の期待は膨らんだのです。たまたまなのか、私の訪問当日には、他の客がいなかったことを最初に報告させていただきます。

L字型のカウンター奥に座ってまず目に入ったのが蒸し器。つけ場に蒸し器は珍しい。そしてビールを飲みながらメモしていた友里に、主人がイエローカードを提示してきたのです。
「メモは禁止です」の言葉に友里は驚きました。カメラ撮影を禁止するのは理解できますが、何を食べたかのメモもダメとは珍しい。神経質で他人の評価が気になる主人なのでしょう。
しかしタネなど鮨に関する説明は饒舌で丁寧な対応でした。世にはメモをとらなければ何を食べたか思い出せない人もいますから、広い心で客対応してもらいたいものです。

ツマミは新津氏とは違って創作系が主体で豊富。
ナマコの漬け込みは面白かったですが、フカヒレや鮫の頬肉、銀ダラを使った蒸し物にはビックリ。鮨屋でフカヒレや鮫を食べたのは初めてでしたが、味醂を多用した甘めの味は人によって評価が別れることでしょう。
ヒラメを生唐墨やローリエ塩で提供し、鮪やサヨリのヅケにもかなりの味醂を感じた手法も私には理解できなかった。この店は鰹出汁と味醂を強調した漬け込みと蒸し物が主体のようで、私の持つ江戸前のイメージとは大きく異なりました。

握りもよく言えば一工夫されたもの。はっきり言うと「ヅケ」ばかり。他の光り物がコハダしかなかったのが残念でした。酢飯も赤酢でしたが特徴はなかった。
海鮮系ではないけどいわゆる江戸前でもない創作鮨屋。トリュフ塩、ローリエ塩、生唐墨、味醂などの調味料を多用するいじりすぎの加工鮨と感じたのです。

お酒(冷酒、燗酒とも)は一合が430円や630円とかなり値付けが安いのは、「仕事をしていない酒で儲ける気はない」という主人の方針ですが、ツマミと握りのお任せで、一人3万5000円前後の請求をすればお酒で儲ける必要はないでしょう。
広島で自腹でわざわざ行く鮨屋ではありません。

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これまた立地の妙で過大評価だ、初音鮨

by tomosato on 5月.15, 2010,

一昨年の11月に発売されたミシュランガイドに突如現れた蒲田の2つ星鮨店。業界内でも知られていない無名店で、勿論友里も知るよしもなく最初に訪問したのが昨年はじめでありました。

この店は一斉スタートで夜2回転させる営業です。一番良い状態の酢飯を提供するとの理由で、客に17時30分か20時のみの入店を強いる使い勝手の悪い店。
しかし蒲田に18時前に行ける客がそうはいるのか。この時点で、純粋無垢な蒲田の地元客を狙っている店であることが想像できました。換言すれば、サロン化に繋がる「井の中の蛙営業」と言えるでしょう。
駄洒落好きな主人や愛想の良い女将とのやり取りから飲み過ぎてしまって肝心の握り(ツマミはない)の記憶を失って評価が出来ず、やっと再訪できたのが今春になってからでありました。

ミシュラン人気も落ち着いたようで8席のカウンターは満席ではなかった。予約客が揃ったところで、まずは鮪の大きなブロックからのサク取りパフォーマンスが始まります。
赤身、中トロ、トロと先に人数分切り分けるのはすべてヅケにするから。石宮という有名な卸から仕入れる本鮪なのに、この店は「生」では提供しないのです。

この店の特徴は何と言っても酢飯。と言っても赤酢で赤飯より濃い色にするのが珍しいだけ。鮪なら未だしも、白身や烏賊だとそのコントラストが不気味でありますが、目を閉じて食べれば色以外は特徴のない酢飯であることがわかるでしょう。

握りはどれも小振りで1ヶしかでてきません。それぞれ産地がついたスミイカ、ホシガレイ、赤貝などに旨みを感じず、日本一と言われた蝦夷馬糞ウニと紫ウニは、何と混ぜ合わせて握ってきます。これでは各ウニの質(味も)がわからないではないか。
そして鮪だけではなくカツオも強く漬けこむので味や質がわかりにくい。唯一の〆ものだったコハダは生っぽく、内子を混ぜたワタリガニ(前回はズワイ)も味濃過ぎなど、大味好きか業界人向けの鮨としか思えないのです。

小さな握りが20ヶほどでの支払いが1万円台後半。都心の星付き鮨屋より安いですが、物足りなくて帰宅後ビーフストロガノフを食べてしまった友里。
立地、握り、総量を考えると、食の細い地元以外の人がわざわざ行く鮨店ではないでしょう。

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この店も銀座にしてはお買い得、鮨 大河原

by tomosato on 4月.24, 2010,

銀座の高額鮨「椿」をご存じでしょうか。カウンターが2つある大箱店で、なぜかオーナーのマダムが挨拶にでてくる変な寿司屋でありましたが、ツマミが充実していたこともあって以前は訪問しておりました。最近は昼の営業も開始し、店前には「お品書き」まで出すなど「イメージダウン」が目につくのですが、一昨年に辞めたその雇われ店長が昨夏にオープンしたのが、この店であります。

カウンター9席、主人と女将だけの小さな店。ただし女将は未だ不慣れで段取りはよくありません。
出身店と同じくこの店はツマミが充実しております。ツマミだけで10種以上はでてきますから、酒飲みには有り難いけど、その後の握りを充分に堪能できなくなる可能性もありますので食べ過ぎには要注意です。

白身や鮪の刺身の質はまずまず。傑出していませんが悪くもない。途中にはさむ「椿」でも定番だった「山葵明太子」や「温かいアン肝」でお酒が更にすすんでしまいます。しかしオペレーション(ちょっと大袈裟ですけど)が悪いので、タイムリーにお酒が提供されないのが残念。その他の定番であるシシャモの燻製や魚の煮付けもでてきて握りへと突入します。刺身以外は、漬ける、煮る、炙る、〆るなど一手間かけたツマミはそれなりに満足しますが、玉だけはイマイチ。ネバネバしていて甘いだけなので改善を提案したい。

握りは「椿」の時と同じく酢飯は可もなく不可もなし。塩は利いておりますが酢の風味をそれほど感じません。小振りな握りでタネとそれなりに調和しておりました。生姜が自分には辛すぎて好みでないところも変わっておりません。コハダの〆がちょっと弱く、サヨリは昆布が強すぎてオボロが甘過ぎ、穴子は炙り過ぎか熱すぎでツメも緩い、とすべての握りが満足する訳ではありません。しかしこの店の請求額を考えると文句を言う客は少ないのではないか。

再度の訪問でオミヤの太巻きを頼んで、お酒も充分いただいての支払いが2万数千円。安めの値付けだけで人気の「鮨 太一」と大差ない支払い額に私は驚いたのです。ツマミ、握りと勝るとも劣らない出来ではないか。現状は知名度ないのか空いていて予約がとりやすい。主人や女将には悪いですが、今の集客状態のままでいてくれと常連客は考えていることでしょう。

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