店評価BLOG

和食

リニューアルで料理も最悪に、HANA吉兆

by tomosato on 6月.05, 2010, 和食

元々が京料理ではない吉兆料理。創業者・湯木貞一氏が考え出した創作和食で、「湯木料理」といえる独特のものだと私は思っております。和食の基本を残しながらの創作料理は京都の地元客にも支持されていたのですが、三代目になって改悪ともいえる大きな舵切りをしてしまった。

料亭を一般客に開放するとして、「嵐山吉兆」の予約が一見客でもネットで出来るようになりました。
誰でもお金を払えば料亭体験が出来るというのは画期的な試みですが、物事には限度と言うか、やり過ぎは禁物です。昔からの常連客より一見客、観光客を重視したのでしょうか、目先を変える奇を衒っただけのサプライズ料理にだけ注力してしまったのです。
カレー粉や赤ワインのソースを使うなどその迷走ぶりに眉をしかめる地元客が引いてしまったのは当たり前のことか。そしてその改悪は、二代目が最後まで関与していて京都吉兆グループでは唯一まともと言われた「花吉兆」にも及んでしまったのです。

この3月のリニューアルで「HANA吉兆」に変名、この店名だけでも引いてしまうではありませんか。「和紙作家」、「左官作家」、「景色盆栽家」という自己陶酔的な肩書きを自称する職人によって奇抜さを増した内装。料理も立派に改悪されていると確信し、ウリの「ワイン会席」(1万円)をダメを承知で先日体験してきました。

ワインに合うよう味(塩も)を濃いめにしたというこのコース料理、しかしワインは貧弱なリスト(泡、白、赤いれぞれがわずか3種類)からの別途料金による注文となります。

酢の物の蒸しアワビは生臭く、鱧のお椀は出汁が濃すぎて鱧もしょっぱすぎ。
造りの代わりに出たのがオリーブオイルでマリネした海老や烏賊、ホタテの石焼きです。胡椒も強すぎて料理の体をなしていない唖然の代物。
吉兆のウリである八寸も、まるでデパ地下弁当のレベルとしか思えません。鮎の塩焼き2匹がこの日辛うじて普通レベルでありました。
穴子がほとんど見あたらない穴子飯と果物で〆となりましたが、昼だったのでビールにグラスシャンパン2杯、安い赤ワインハーフ1本での支払いが2名で3万数千円。

観光客相手の大箱店と変わらないレベルの料理を出す三代目の迷走を、貞一翁は草葉の陰でどう考えているのか。人ごとながら心配です。

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あの店は今・・・、麻布 幸村

by tomosato on 6月.05, 2010, 和食

ミシュランガイドの3つ星店訪問(全世界)をライフワークにしている方から「幸村」の誘いを受けたのが今年はじめ。最近ご無沙汰でしたが、彼には「花山椒」の時期限定ならばとの条件を出しました。
鮎や蟹、松茸など京料理の代表的食材の時期は訪問済みでしたが、ネットなどで評判の「花山椒鍋」というものを食べたことがなかった。

前首相鳩山さんの懐刀、松井前官房副長官と友達で、前首相のネット戦略のブレーンであると自慢する電通勤務の佐藤尚之氏(さとなお)も絶賛していた「幸村」の花山椒鍋。
4月中旬の予約を入れた3つ星ハンターの「幸村さん、標準語でしたよ」との言葉に私は驚いたのです。
幸村氏は東京出身で二十歳を超えてから京都へ修業に行った人。帰京後も京都弁を使うのは不自然だと私は問題提起してきたからです。今回の訪問は、花山椒鍋に加えて幸村氏のしゃべりの検証も大きな目的となりました。

相変わらず繁盛しているカウンターに座ってまずは幸村氏と客の会話に聞き耳を立てました。なんと幸村氏、標準語になっているではありませんか。
麻布十番に凱旋してからかなりの年数京都弁を使っていましたから、自然に戻ったのではなく、意識して無理な京都弁の使用をやめたのでしょうか。

とろみを付けた蛤の出汁を使った山菜の先付け、蛤自体が効いておりません。山葵菜と赤貝のお浸しも、青海苔の投入で貝の質がわかりにくい。
油目のお椀は4月なのに白味噌仕立て。出汁のレベルを見たかっただけに拍子抜けしました。琵琶湖の稚鮎も5匹と数は多かったけどそれほどのものを感じず、京都の筍は塩が足りなく旨みを感じなかった。

そして花山椒鍋の登場です。産地はミシュランの記述(丹波産)と違いごちゃごちゃとの花山椒、これを熱した甘い出汁に牛肉と一緒にくぐらして食べます。
私の拙い経験では、京都で出会ったことがなかった「花山椒鍋」、ネットで調べると京都の家庭料理でよく造られるようです。牛肉共々かなりの時間加熱された花山椒、肝心の香りや麻(痺れ)が飛んでしまっていないか。味醂を多用している甘い出汁も私にはミスマッチにしか感じませんでした。

調理が簡単で京都では家庭でも充分堪能できる「花山椒鍋」、数ヶ月前にわざわざ予約し、3万円払ってまで食べるほどのものではありません。

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さらば、青柳

by tomosato on 4月.17, 2010, 和食

山本益博氏が最近まで不自然に絶賛していた「虎ノ門 青柳」。ミシュランガイドに掲載されないのが不思議だと、まるで名和食店のように持ち上げておりました。確かに店主の小山裕久氏の腕は私も認めるところ。鯛などの包丁仕事や鮎などの焼き技術には以前から感心しておりました。3人の弟子が星を8つも獲得していることでも、職人としての技量だけは証明されております。

しかし店経営となるといかがなものか。「バサラ」多店舗展開の他、六本木ヒルズにも進出しましたが閉店の連続。徳島の本家も実質的には大塚製薬の傘下に入ってしまった。東京もこの旗艦店である虎ノ門店と三田にある「ばさら」の2店だけになったのですが、「虎ノ門青柳」が3月一杯で閉店すると聞き私は久々の再訪を決意したのです。末日ではなく実は19日で閉めると言われ、我々の訪問は前日の18日昼となりました。

閉店を惜しむ常連で店は溢れかえっていると思っていましたが、何とその日は我々2名の貸切状態。勿論店主小山氏の姿はなく、HPではいくつかのコースがあったのに何の説明もなくお任せがスタートしてしまいました。

三つ葉のお浸し、筍の木の芽和えは凡庸。お椀は海老真丈でしたが出汁が酷い。濃すぎて薄口醤油の味しかしない素人レベル。造りは自慢の鯛でしたがなぜか昆布〆。徳島からの直送をうたっていたはずですが、閉店前日で客も少なく仕入れを怠ったのか。続くヒラメもよくまあこんなに旨みのないものを仕入れたと逆の意味で感心してしまいました。
煮穴子寿司や居酒屋レベルの八寸(タコの小豆煮など)もダメで、ポーションだけ大きかった鯛のかぶと煮も養殖と見紛う質。しかも出汁が甘すぎて食べられた物ではない。
〆はわずかな白魚(3匹しか確認出来なかった)を使った玉子丼。ここは定食屋だったのかとはじめて知った次第です。
香の物の干からびた胡瓜を食べ、果物とわらび餅で終わった「お任せコース」の支払いがなんと3万1000円前後。ビールに日本酒を飲んだとは言え、この食材と調理ではCPは最悪。

店側は道路拡張で建屋取りつぶしによる一時的な閉店と説明しますが、他のテナントは1年前に撤退済みです。この時期になっても移転先が未決ですから小山氏は再開を諦めたのでしょう。彼の最後の英断には星1つです。

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