鮮度がウリなだけの串なし焼き鳥、庭つ鶏

鶏の解体免許を持ち、カウンター内でその「捌き」を見せるパフォーマンスで大人気の焼鳥屋。場所は山本モナと二岡選手の逢瀬で全国メジャーになった五反田ラブホの近辺。テーブル4卓にカウンターの小さなキャパに目一杯客を詰め込んで回転させる繁盛店であります。
この店の特徴はカウンターで鶏を捌き、奥で鶏を焼くシステムでしょうか。普通の焼鳥屋と違って目の前で焼かないのです。その訳は焼き物を食べて直ぐにわかりました。
この夜はなぜかJ.C.オカザワのサテライツ(取材協力者)との訪問。初訪問客に強く勧める「お任せコース」に単品を追加してスタートです。
まずは突き出しの納豆に驚嘆。焼鳥に合うはずない。「豆腐屋ジョニー製」の冷や奴は、ねっとり感だけで旨みなし。次の生玉葱もサプライズ。胸肉の刺身には添えられる粉山葵を見てこの店の拘りのなさがわかりました。その後の刺身まで食べ終わらずに次々料理が出され、テーブルは皿で一杯です。ひたすら回転を上げて早く客を追い出す営業に疑問を持ちました。
「庭つ鶏サラダ」は大根サラダに鶏を乗せたものでこれは×を強調したい一品。塩味のモツの煮込みも生臭さが抜けていない。続くササミは柚胡椒と山葵マヨネーズの2種。書いているだけで当時の濃い味が頭に蘇ってきます。ウリのレバーペーストは、軟骨入りでコリコリ感はありますが、これまた臭みが際だつ一品。そしてここから焼き物の始まりです。
手羽先、レバー、軟骨、ハラミ、皮と各焼き物はすべて串を打たれておらず皿は不自然な脂が滲んでいます。おいおい、焼鳥屋なのに串なしだけではなく「炭火焼き」でもないではないか。焼き場が奥なので確認出来ませんでしたが、まるでポワレのような焼き上がりで脂ベチャベチャです。パリパリ感がない「皮」なんて食べられないぞ。
銘柄や産地には拘わらなくとも店内で捌いている「新鮮さ」のウリが無意味にならないか。新橋の廉価店にもある「炭火焼き」で提供してこそ焼き鳥の良さを提供できると私は考えます。
〆のミックス丼はそぼろと「生卵」の合体とこれまたサプライズ。炭火焼きではない脂だらけの焼鳥の支払いは6000円前後と思ったより安かったですが、真の焼き鳥好きは近寄らなくても良いでしょう。